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うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
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225話 激戦

「ちっ、極雷砲!」


体勢が悪く回避は難しいと判断して、両手を突き出して荷電粒子砲の様な極太の雷のレーザーを放つ。

荒れ狂う暴風と雷のレーザーがぶつかり合い激しく攻めぎ合う。

少しの間拮抗したが威力で雷が押し負けてしまい、軌道がズレてあらぬ方向に向かってしまう。

そのまま暴風は櫓に直撃して、辺りの地面共々吹き飛ばす。


「勝負あったかな?」


土煙が上がって櫓がどうなったか分からないので、ハイヌは近付きながら様子を確認する。

近付いた事により、土煙の中から櫓の声が僅かに聞こえてきた。


「・・自然の力を示せ。天召・三雷!」


櫓は暴風の直撃で吹き飛ばされ大ダメージを受けながらも魔法の詠唱をしていたのだ。

声が小さく土煙で姿も見えなかったので、ハイヌは詠唱に気付かず反応が遅れてしまう。


「しまっ・・。」


上空に出来た雷雲を電気がバチバチと音を鳴らして駆け巡り、詠唱が終わった直後に耳を劈く様な爆音を轟かせながら三筋の雷がハイヌ目掛けて落ちて来た。

ハイヌの居た場所が眩い光に包まれて爆発し、盛大に土煙が舞う。

奴隷達も自分達のご主人様が一方的にやられているのをずっと見て悔しがっていたが、一矢報いる大魔法に湧いている。


(どうせ倒せてないよな。)


今迄の戦いを振り返って魔法一発で勝負が決まる程簡単な相手で無い事は理解している。

櫓は全身に走る痛みを堪えつつ立ち上がり、霊刀を抜いて構える。


「いやあ、今のは流石に危なかったね。」


土煙が晴れてハイヌが姿を表す。

全身に少し焦げた箇所が見えるが、怪我と言える程の怪我はしていない。

だがハイヌは魔力を大量に消費してしまっていた。

それは櫓の魔法を膨大な魔力を使った魔装で防御した為だ。

速度威力共にハイヌに危機感を抱かせる程の攻撃だったので、軽い口調で言ってはいるが内心少し焦っていたのだ。


「神速歩法・電光石火!」


たたみ掛ける為に痛む身体に鞭打って身体を動かす。

残りの魔力量が大幅に減少した事を感じて、そろそろ決着を付けなければ魔力切れで戦いどころでは無くなってしまう。

櫓は瞬間移動したかの様な速度でハイヌの背後を取り霊刀を上段に振りかぶる。


「同じ手は通じないって。」


ハイヌは後ろ向きのまま攻撃を受け止める為に短剣を向けてくる。

動きには追い付けていないが、櫓が攻撃するまでの僅かな時間を反応速度で埋めてくる。


「だろうな。」


その動きを読んでいた櫓は、霊刀を振り下ろしながらもう一度超スピードで移動して、ハイヌの正面に移動する。

更に文字通り目の前に居るハイヌと目を合わせて、神眼のスキルを発動させて呪縛の魔眼を選択して使用する。


(尽き掛けた魔力だが一秒だけでも止めてくれ。)


呪縛の魔眼は込めた魔力量に応じて相手の動きを止める事が出来る。

しかしどんなに長くても五秒と言う制限があり、使う魔力が少なければ当然全く動きを止められない。

既に膨大な魔力を使用する超スピードでの移動を三回、それに加えて魔法やスキルの連発をして、人間の平均よりも遥かに多い櫓の魔力も無くなる寸前だ。


「天剣一式・睦月!」


霊刀がハイヌ目掛けて振り下ろされていく。

ハイヌはそれを防御しようとしたが自分の身体が何故か動かず、目を見開いて驚いている。

その様子を見て呪縛の魔眼が効いていると確信する。

だが残り数ミリでハイヌに当たると言うところで、呪縛の魔眼の効果が切れてしまった。

櫓の残り僅かな魔力を使った呪縛の魔眼では、一秒にも満たないほんの一瞬しか動きを止める事が出来無かった。

一瞬でハイヌの空いている左腕全体が風を纏う。


風迅烈波(ふうじんれっぱ)!」


櫓の霊刀が残り数ミリを進むよりも早く、ハイヌの掌底が霊刀に当たり、引き離す様に押し返す。

軽く仰け反ってしまい、霊刀を上段に構えた状態に戻ってしまったので、隙だらけの状態になってしまう。

しかし櫓はその勢いのまま足で蹴り上げの攻撃を放とうとする。


「どんな状態でも勝ち筋を見出そうとしてくるね。」


ハイヌは右手に持っていた短剣を手先だけで器用に操り、櫓の足目掛けて投擲する。

刺さるまでの威力は無かったが、地面から少し上がっていた櫓の足を少し押し戻す事に成功する。

そしてその時間が稼げればハイヌにとっては充分だ。

スキルを使って右手に荒れ狂う風を纏わせる。


剛風烈波(ごうふうれっぱ)!」


そのまま櫓の腹に掌底を叩き込む。

櫓は地面から浮き上がり、様々な方向に身体をグルグルと回転させながら吹き飛び、訓練場の壁に勢い良く叩き付けられる。

壁は弾丸の様に突っ込んで来た櫓によって粉々に砕け、櫓もその衝撃で気を失ってしまった。


「ふう、危なかった。こんなにギリギリの戦いをしたのは久しぶりだったよ。」


自分の残存魔力を感じてそう呟く。

櫓との戦いでハイヌの魔力は残り半分を切っていた。

未だ余力を残している様に感じるが、元々櫓よりも魔力量が多かったと言うのもある。

魔力量は強くなっていけば、自然と増えていくので追い付く日がくるかもしれない。

そして一番ハイヌが驚いたのは、一回の戦いでこれだけ魔力を消費したのが初めてだった事だ。

過去に戦った人や魔物でもここまでの経験は無い。


「直ぐに追い抜かれちゃうかもね。」


ハイヌは気絶している櫓をお姫様抱っこする様に抱き上げながら言った。

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