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うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
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220話 王子様に見えた

「ミーシャ様!気が付かれましたか。」


トリアンが目を覚ましたミーシャに気付いて反応する。

櫓に何かされていなかったか念入りに確認している。


「トリアン・・?ここは・・。」


ミーシャは目が覚めたばかりで頭が回っていない様だ。


「やっと目が覚めたか。」


櫓の言葉遣いにトリアンは一瞬ムッとしたが、特に口は挟ま無い。

危害を加えてきてはいないので、一応様子見と言った感じだ。


「あなたは・・っ!私が攻撃をした・・。何故私はこんな事を・・。」


ミーシャは櫓の方を少し見た後に、気絶する前の事を思い出した。

そして何故自分がその行動を取ったのか分かっていないらしい。

これが操られているのに自分で考えて行動した事だと錯覚させると言う操り人形のスキルの効果だ。


「落ち着け、お嬢様は操られていたんだ。今迄してきた事は全て操られての行動だから、自分を責める必要は無い。」


ミーシャに記憶はあっても、ミーシャ自身がそれをしたいと思って行動した訳では無い。

これでミーシャを責めても無意味だろう。


「そ、そんな・・。それでも私は到底許されざる事を・・。」


ミーシャは操られていたと言われても、半年間様々な悪事をしてきてしまった。

自分の意思では無いとしても実行したのは自分なので、後悔や懺悔が次々と押し寄せて来る。


「一先ず戻ってると見てよさそうか?」


櫓は頭を抱えて黙ってしまったミーシャではなくトリアンに尋ねる。


「ああ、本来のお嬢様だ。くっ、私がもっと早く気付いていれば。」


トリアンは急に豹変したミーシャに違和感を感じてはいたが、その理由を突き止める事が出来無かった自分を責めている。

誰もが櫓の様に人のステータスを視る手段を持っている訳では無いので仕方が無い事だ。


「何度も言うがお前達の責任じゃ無い。傀儡子と言うスキルを持つ者のせいだ。」


誰かは分からないが傀儡子のスキルを持った者がミーシャに操り人形のスキルを与えるアンクレットを渡して、テトルポート伯爵家を滅茶苦茶にしたのだ。

その被害は騎士や使用人だけで無く、全く関係の無い一般人にまで及んでいる。


「・・傀儡子?そのスキルが今回の件と関係あるのですか?」


ミーシャは聞き慣れない単語なので、関係性がよく分かっていない様だ。


「ああ、そのスキルの持ち主か関係者が、お嬢様が今付けているアンクレットを渡したんだろう。それが操られていた原因だ。」


これを教えておかなければ、又同じ目に遭う可能性もある。


「っ!これが・・。」


ミーシャは驚いた様に自分の足首を見る。


「一応壊したから効果は無くなってるけど、外した方がいいだろうな。」


櫓が忠告するとトリアンがミーシャの足からアンクレットを外して、忌々しそうに握り潰す。


「誰から貰ったかは覚えているか?」


これが分かれば犯人を割り出せる。

同じ貴族と言えども、今回の様な件が公になれば爵位剥奪や牢屋行きは免れないだろう。

野放しにしておけばミーシャの様な犠牲者が増えるので、対処しておくに越した事は無い。


「・・これは半年前に貴族から贈り物として受け取った品です。誰から頂いたかまでは屋敷に戻ってみなければ分かりません。」


貴族の集まりに行った時に様々な贈り物を貴族達に貰った様だ。

ミーシャの見た目はかなり美しいので、気を引きたい貴族達から大量に貰った物の中に紛れこまれてしまったのだろう。


「そうか、送ってきた貴族には気を付けた方がいいぞ。自分達で対処が難しいと感じたら、冒険者ギルドに依頼するといい。」


櫓自信が解決に動くにしても、その犯人である貴族がミネスタの出身で無ければ直ぐに動く事は出来無い。

何でもかんでも引き受けていては身体が幾つあっても足りないし、冒険者は他にも沢山居る。

櫓よりも実力がある者も沢山居るので、櫓でなければ解決出来無いと言う事も無いだろう。


「はい、屋敷に戻ったら調べてみようと思います。」

「じゃあ用も済んだし、俺達は帰らせてもらう、ミズナ。」


櫓は椅子から立ち上がり隣で黙々と団子を食べていたミズナに声を掛ける。

ミズナが立ち上がると同時に騎士達の水球が一斉に地面に流れ落ちて解放される。

水球の中でもがいた騎士達は体力を奪われて立ち上がるのに苦労している。


「あの!最後にお名前を教えて下さいませんか?」


ミーシャは立ち去ろうとしていた櫓を呼び止めて尋ねる。


「冒険者の東城 櫓だ。」

「櫓様、本当に有難う御座いました。貴方と出会わなければ私は未だ罪を重ねていたでしょう。そしてご迷惑をお掛けしてしまい申し訳ありませんでした。」


ミーシャは平民の櫓に深々と頭を下げ、トリアンもそれに倣っている。

貴族であるミーシャが平民である櫓に頭を下げた事に少し驚きつつ、櫓はその場を後にした。


「櫓様、見ず知らずの私を助けて下さったお方・・。」


櫓は気付かなかったがミーシャは小声でそう呟き頬を少しだけ染めていた。

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