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うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
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219話 スキルからの解放

「貴様!ミーシャ様から手を離せ!」

「何が目的だ!」


既に最初の騎士達同様にミズナの水球に囚われた二人の騎士が激昂している。

櫓からミーシャを取り返そうと必死に水球から脱しようとしているが、身体にまとわりつく様に一緒に動くので一向に抜けられそうに無い。


「安心しろ、別に危害を加えるつもりは無い。」


ミーシャが操り人形のスキルによって傀儡子のスキルを持つ者に操られているのだとしたら、それによって黒い噂が流れていた可能性があったので、解放しようと思っていただけだ。

ドランもそれで巻き込まれたのであれば、ミーシャを責めても何もならないので、文句を言う事も出来無い。


「信用出来るか!」

「我々にこの様な仕打ちをしておいて!」

「それはお前達が襲い掛かってきたからだろうが。」


念の為騎士達も全員調査の魔眼で視てみたのだが、ミーシャの様に操り人形のスキルを持っている者はいなかった。

未だミーシャが操られて敵対して来たのかは分からないが、女の子を道端に寝かせる訳にもいかないので、出店が吹き飛んで何も無くなった場所まで戻り、ボックスリングからテーブルと椅子を取り出して座らせておき、向かいの椅子に自分も腰掛ける。

いつ目を覚ますか分からないので、おやつでも食べて待とうとボックスリングから団子を取り出す。


「私も食べる・・・。」


騎士達は水球に捕らえているので何もする事の無いミズナが、隣の椅子に腰掛けて団子を食べ始める。


「別にいいけど、騎士達の拘束も頼むぞ?」

「食べながらでも余裕・・・。」


団子にしか目が行ってない様な気もするが、実際のところ水球は維持されているので文句は無い。

そして騎士達も櫓とミズナが呑気に団子を食べ始めたので、呆気に取られて暴れる者はいなくなった。


「あー・・、お前達がミーシャ様に手を出さないと言う事は分かった。だからこの水を解除してくれないか?」


威圧で倒れなかった一人の騎士がそう持ち掛けてくる。

鎧で顔は見えないが声からして女性である事が分かる。

現状の態度を見てミーシャに危険は無いと分かってくれた様である。


「解除した途端に攻撃して来ないとも限らないだろ?」

「それならば、これでどうだ?」


女性の騎士は水球に捕われたまま剣を手放す。

剣は水球から落ちて地面に転がる。


「まあいいか、どうせ攻撃してきても対処は簡単だ。」


櫓の返答に対して少しムッとした様だが事実である。

実力差が有り過ぎて、櫓どころかミズナにも傷一つ入れる事は出来無いだろう。


「ミズナ、剣も一応隔離しておいてくれ。」

「ん・・・。」


団子を食べながら剣を一瞥しただけで、騎士達同様水球に包まれて浮上していく。

解放された騎士は兜を外して櫓達の下に歩いて来る。

凛とした顔立ちの美人で、他の騎士達とは違う風格を感じる。


「分かっているとは思うが、妙な動きをすればもっと酷い目に遭うと思えよ。」


櫓は食べ終えた団子の串で指しながら騎士に言う。

騎士には貴族出身の者も多いのだが、理不尽に攻撃して来た者達に敬う気持ちは無い。


「君達にはどう足掻いても無駄と言う事は理解したつもりだ。それに本来悪いのは此方だからな、主人に代わって謝らせてくれ。」


騎士は立ったまま深々と頭を下げてきた。


「一応悪いと言う自覚はあるんだな。こっちも聞きたい事があるんだ、お嬢様が目覚めるまで付き合ってもらうぞ。」


櫓はもう一脚椅子を取り出して座る様に促す。


「質問によるが答えられる範囲であれば答えよう。申し遅れた、私はテトルポート伯爵家騎士団長のトリアンだ。」

「騎士団長と言うからにはお嬢様と一緒に居る機会も多いだろう?いつからかおかしくなったと感じはしなかったか?」


操り人形の効果で先程までの様な振る舞いをしていたのであれば、急に性格が豹変した時期がある筈だ。

その時期に接触した人物から犯人を見つけられるかもしれない。


「・・確かにミーシャ様は元々この様な正確では無かった。明るく気の強い方だったが、民を傷つける様な方では無い。変わったなと感じたのは半年程前の事だ。」


それからトリアンの話を聞くと、どうやら半年前に開かれた貴族の集まりから態度がおかしくなったと言う。

気に食わない者には容赦せず、自分の思い通りにならなければ気が済まない性格になってしまったのだとか。

ミーシャの父である前テトルポート伯爵や兄弟は、皆寝たきりで目を覚まさないと言う。

治す為に動こうとする者もいたが、ミーシャに屋敷から追放又は酷い目に遭わされるのだと言う。

そして動ける伯爵家の者はミーシャしかいないので、横暴な行いにも誰も口出し出来ず、ミーシャの言いなりになるしか無い様だ。


「事情は分かった、その原因は解決したと思うから性格も元に戻るだろう。」


間違い無く傀儡子のスキルを持つ者のせいだろう。

操り人形のスキルが無くなった今、ミーシャは解放された筈だ。


「?それはどう言う・・。」

「ん・・。」


トリアンと話をしていると気を失っていたミーシャが目を覚ました。

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