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うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
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213話 思わぬ棚ぼた

「わしのせいだろうな。」


近付いただけでドランが言ってきた。

先程起こった襲撃の事を言っているのだろう。


「貴族にまた目を付けられたって事か?」

「なんだ知っていたのか。」

「俺の住んでいる宿の店主が言ってたんだ。」


ゴッツの言っていたテトルポート伯爵家が今回の騒動に絡んでいる可能性は充分にあり得る。


「そうか。まあ、そう言う事だろうな。武具を渡さないならば、わしをもう一度寝たきりにさせたいのだろう。」


原因が分かっていても渡す気は無い様だ。

職人気質なドワーフは、頑固な者も多いので自分の考えを曲げたく無いのだろう。


「仕返しには動かないのか?」

「証拠は無いからな。それに相手は貴族だ、平民であるわしには簡単に荒事を起こせはしない。チビ共にも危険が及んでしまうからな。」


ドランは武具を作ることに長けているが、戦闘が得意な訳では無い。

やり返せば返り討ちにあうだけだ。


「俺が代わりにやってやろうか?貴族は何回か相手にしてるからな。」


過去に自分の街だからと権力を振りかざす貴族や、美男美女ばかりの種族であるエルフを奪おうとした貴族などを懲らしめてきている。

貴族に何と言われようと正当性は此方にあるので問題は無い。

もし武力を振りかざしてきても、ハイヌの様な化け物が敵に居なければ負ける事は無いだろう。


「辞めておこう、貴族の中でも過激派で知られているからな。関係無い者達まで巻き込みたくは無い。」


テトルポート伯爵家の現当主は、貴族の中でも特に過激派だと言う。

自分の親族にまで手を出したと噂されている程なので相当だ。


「じゃあどうするんだ?」

「チビ共だけでも他の街に連れて行き、何か生活出来るだけの職につけてやる事は出来無いか?」


ドランは質問に質問で返してくる。

自分が付いて行けば危険も一緒に付いてくるだろうと思い、子供達だけでもと思っているのだろう。


「普通に考えれば厳しいだろうな。カルト達くらいの子達なら職も見つかるだろうが、小さい子達は難しいだろう。」

「チサはドラン爺ちゃんも一緒じゃなきゃやだ。」


大人しく話を聞いていたチサが櫓の腕の中でそう言った。


「わしが付いて行く訳にはいかないんだ。」


ドランはチサに言い聞かせる様に言う。

だが未だ幼いチサは納得出来ないらしく、唸りながら可愛く睨んで否定的だ。


「仮にだ、条件付きで子供達全員を雇う手段があると言ったらどうする?」

「そんな事が出来るのか?条件はなんだ?」


子供達に普通の生活を送らせてやれるならとドランは食い付いてきた。


「ドランも一緒に雇われる事だ。」


櫓はドランを指差しながら言う。


「わしが?だがそれは・・。」

「最後まで聞け。俺は商会を開いててな、人手は幾らあっても足りないから子供でも特に構わない。それに武具を作る事に長けている者が商会には居ないから、丁度いいんだ。あと戦える者もそれなりに居るから身の安全は保障するぞ。」


櫓は城塞都市ロジックにある拠点で子供達を雇う事を提案した。

定期的に旅の途中で手に入った人材や物資を拠点に送っているが、子供達を労働力としてドランを武具の作成や指導係りとして送ろうと考えた。

それに拠点には元最強の傭兵団と言われていた絆誓の面々が居る。

貴族の手先くらいならば全く問題にならないだろう。


「成る程、確かに櫓の下ならば安心出来るか。分かった、恩を返すのにも丁度いい。全員纏めて厄介になる。」


ドランはそう言って頭を下げてきた。

目が覚めてからの櫓との関わりで、信用してくれている様だ。


「決まりだな。ドラン達が旅立つ迄は、毎日何人か護衛として此処に残していくから安心してくれ。」


ドラン達がミネスタを旅立つ迄は、櫓達で安全を守らなければならない。

そしてミネスタからロジックまでの長距離を護衛して送り届けてくれる者を冒険者ギルドで捜さなくてはならない。

人数も多いので実力があり、信用出来る者を沢山見繕わなければならないので大変だ。


「悪いな。」

「商会の一員になるんだから、これくらい当たり前だ。」

「話も終わったみたいだし、ちょっといいかな?」


子供達と遊んでいたハイヌがタイミングを見計らって会話に混ざってくる。


「どうかしたのか?」

「ドランって名前が聞こえてきたからさ。もしかして名匠ドランかい?」


聞き慣れ無い呼び名でハイヌがドランに尋ねる。


「そう呼んでくる奴も居たな。」

「やっぱり!良かったね櫓、最高の人材を手に入れられて。」


ハイヌはドランの事を知っている様だ。

そしてかなり評価している。


「名匠とは凄そうだな。」

「武器作りに優れているドワーフの中でも五指に入るだろうね。」


それを聞いて驚く櫓。

まさかそこまでの人物とは思わず、人助けがいい出会いに繋がり自然と笑みが溢れた。

閲覧ありがとうございます。

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