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うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
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206話 公爵家の依頼

昨日ハイヌと冒険者ギルドで待ち合わせする事にしていたので、朝食を食べた後に宿を出て向かった。

ネオン達も同じ時間に宿を出たので、食料を買う為の資金を多めに渡してやる。

基本的にパーティーの金は櫓が管理しており、稼ぎも櫓が一番多い事から自由に使って良いとメンバー達に言われている。

だがメンバー達にも自分の欲しい物があった時にはそこから出したり、街に寄る時はそこから幾らか皆に待たせたりしている。

なので食料を買うくらいの金は皆持ってはいるのだが、元々櫓の自己満足で助けた事なので手持ちを使わせる気は無かった。


(遅いな。)


櫓は約束の時間通りに冒険者ギルドの中で待っていたのだが、ハイヌは中々現れない。

何もしないで待っているのも退屈なので、中に設けられている酒場で果汁水を頼んで飲みながら待つ。


(流石は五大都市の冒険者ギルド、人も依頼も多いな。)


朝や夕方は依頼を受けたり達成の報告で一番混む時間帯だ。

どの街でもそれは変わらないのだが、特に多い様に感じられた。

依頼内容に関しては他の場所と違い、鉱石の採取や鉱山に巣食う魔物の討伐が殆どである。

鉱山都市と言うだけあって、鉱山を中心とした依頼がメインの様だ。


「悪い悪い、待たせてしまったね。」


いつもと少し違う冒険者ギルドの中を見ているとハイヌがジョッキ片手に近付いてきた。


「昨日あれだけ飲んでおいて、朝から酒か。」

「飲んだ方が調子が出るのさ。」


席に座るなりエールの入ったジョッキを一気飲みして空にする。


「おーい、エールのお代わりをくれ。」


近くに居た店員に追加の酒を注文する。


「食事をすると言ってなかったか?酒呑みに付き合う気は無いぞ。」

「そう言うなよ、少しくらいいいじゃないか?それと急な話だが食事よりも一緒に依頼に行かないか?」

「依頼?」


ハイヌは櫓の前に依頼書を一枚寄越してから、追加で届いたエールを楽しんでいる。

説明する気は無い様なので依頼書に目を通す。

櫓はこの世界に来てから合間を見て勉強した事により、文字の読み書きは出来る様になっていたので、依頼書の内容も自分で読み取れる。


「場所は北鉱山、Aランクモンスターのミスリルゴーレムが採掘の邪魔となる為、一階層から十階層に居る個体の全討伐依頼。数が不明の為Aランク以上の者に依頼する様に。依頼者は領主レクロード公爵家、ミネスタのトップからの依頼か。」


名前は初めて聞いたが、前にシルヴィーの父であるロアから話を聞いた時に、五大都市の公爵家の頭文字は国の名前として使われていると言われた。

歴史ある家系で国の創設に関わっているのだ。

つまりレクロード公爵家と言うのはフレンディア公爵家と型を並べる程の大貴族と言う事になる。


「さっき受付嬢に頼まれてしまってな。断ってもよかったのだが櫓と依頼と言うのも楽しそうだったから受けておいたのだ。」

「断る可能性を考えていなかったのか?それにこの依頼書にはAランク以上と書かれているだろう?俺はBランクだから受けられないぞ?」


櫓は依頼書と一緒に自分の冒険者カードを見せながらハイヌに言う。


「・・な、なにいいいい?」


ハイヌは櫓に言われた言葉の意味が分からず少し固まってから驚いた様に櫓の冒険者カードを取り上げて確認する。


「な、なんでBランクなんだよ!?櫓程の実力ならばAランクでないと可笑しいだろう!?」

「そう言われてもな。」


ハイヌの言った通り櫓はAランク並の実力はある。

既にAランクとなっているシルヴィーや希望の光と戦って勝てる実力を持ち、Aランクの魔物達とも渡り合っているからだ。

しかし櫓は冒険者ギルドで素材の買い取りや解体作業の依頼をするが、自分自身が依頼をあまり受けていない。

ランクを上げる為には依頼をこなさなければならないので、やらない櫓は上がっていないのだ。

ちなみに雷の剣のそれぞれのランクは、櫓とネオンがB、シルヴィーがA、リュンとミズナが未登録となっている。

ネオンは街での自由時間によく一人で依頼をこなして小遣い稼ぎをしているので、ランクが櫓に追いついたのだ。

ミズナは精霊なので登録はしておらず、リュンは初めて人間の街に着いたばかりなので、未だ登録を行っていない。

しかし全員がAランクの実力者と言ってもいい、実績は無いが凄いパーティーなのだが本人達は気付いていなかった。


「私がランクを上げる様に掛け合ってやろうか?」

「別にそこまでしてもらわなくてもいい。と言うか前にフリーの用心棒とか言ってなかったか?その口振りに加えてこの依頼を任せられるところを見ると、相当ランクが高い冒険者だろう?」


受付嬢に頼まれた事からAランク以上である事は確実である。


「まあ私の事は気にしないで、飲み終わったなら行こうじゃないか!一応受付嬢に確認だけはしていこう。」


残りのエールを呑み干したハイヌが受付に向けて歩いて行ったので、櫓も仕方なくその後に続いた。

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