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うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
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38話 段々本気を出していくお約束

櫓がシルヴィーの一撃を回避してからもお互いの技の応酬が続く。

様々な角度や緩急をつけての剣での攻撃をシルヴィーは自身の持つ槍で正確に受け流し交わし一太刀ももらっていない。

また櫓もシルヴィーから繰り出される突きの応酬を体捌きと剣による受け流しで全て交わしている。

シルヴィーは笑顔を浮かべ櫓との戦いを心底楽しんでいるのが見て分かる。

そして櫓も勝った時の賞品に釣られてはいたが、シルヴィーとの戦いを楽しんでいた。

この世界に訪れてから初めての真剣な対人戦、それに全力を出し切っても相手を殺すことのない環境、そしてBランク帯の魔物を軽々倒せる自分の戦いについて来られる相手、これらの状況が櫓を楽しませていた。


(せっかくの機会だ、このお嬢様でも色々試させてもらうとするか。)


一度危ない目にあってはいるものの、まだ櫓は全力には程遠い力で戦っている。

シルヴィーの方もまだ全力ではないと感じつつも、負けることはないだろうと技の練習に付き合ってもらおうと考えていた。

何度目かわからない二人の剣と槍がぶつかりお互いに距離を取る。


「このまま戦っているのも楽しいですけど、少しレベルを上げません?」

「やっぱり全力じゃなかったか。」

「それはお互い様ですわ!」


言い終わると同時にシルヴィーは走り出す。

そして右手に持っていた槍を左手に持ち替え、新たに槍をリングから取り出し右手で持つ。

片手に一本ずつ槍を持った状態で櫓に怒涛の突きを放つ。

流れる様な動作で順番に繰り出される突きの連打は剣だけでは捌き切れず、耐性の手袋を嵌めた手も使いなんとか凌ぐ。

それでも手からは槍の衝撃がどんどん伝わってきて、流石に痛みに耐え切れずその場を離脱させられら。


「いってぇ、なんて攻撃だ。と言うか、そんな長い武器二本もよく扱えるな。」

「私は本来槍をニ本扱う双槍使いですわ。それよりも守ってばかりいられてもつまりませんわ、櫓さんも少し本気を出して欲しいですわね。」

「その言葉後悔させてやる。」


にやりと笑いながら今度は櫓が攻めに転じる。

即座に距離を詰め素早い剣撃を放ちまくる。

しかしシルヴィーはそれを全て防ぎ逆にカウンターの一撃として槍を横薙ぎに振るってくる。

当たる直前で軽くジャンプして交わしシルヴィーの頭上を取る。


「破脚!」


魔装した回し蹴りを上からシルヴィー目掛けて叩き落とす。

槍を頭上で交差して櫓の蹴りを受け止める。

あまりの威力に足は地面に沈み、その地面はクレーター状にへこむ。

しかしシルヴィーも槍や身体を魔装していたことにより、そこまでダメージを受けていない。


「いいですわね、もっと楽しませてくださいませ。」

「少しは効いてくれるとありがたかったんだけどな。」


シルヴィーは受け止めていた櫓の足を交差させていた槍を払い弾き飛ばし突っ込む。


「我が魔力を糧とし、我が槍に疾風の加護を与えたまえ。(はやて)の舞!」


距離を詰めながらシルヴィーは魔法を詠唱する。

詠唱し終えると右手に持つ槍に風が纏わり付き渦巻いている。


槍連弾(そうれんだん)!」


今までの突きとは比べ物にならない速度の連続での突き攻撃が放たれる。

櫓も普通の攻撃では捌き切れないと判断し、剣に雷を纏わせる。


天剣(てんけん)八式(やしき)葉月(はづき)!」


如月の上位互換の技をぶつけ相殺を狙う。

二人の攻撃がぶつかり合いお互いがその場から弾かれ合う。


「今のも防ぎますか、困りましたわね。」

「それはこっちの台詞だ。」


全然困ってなさそうに笑みを浮かべているシルヴィー。

櫓もまだまだ戦えるが疲労は少しずつ溜まってきてはいる。

元の世界で剣術を親に教わっていた頃、櫓の才能は歴代でもトップクラスだったが、疲労が溜まった状態での親との模擬戦などで痛い目にあったことが何度もあった。

なので櫓は自らの身に疲労を感じると、一層気を引き締め戦闘に集中することにしていた。

つまらないミスなどをして負けないために。


「さてとそろそろ終盤戦といくか、充分楽しんだしな。」

「そうですわね、それでも勝つのは私ですわよ。」

「死ぬことはないからな、本気でいくぞ!」


刀をボックスリングにしまい、雷帝のスキルを使い両手に雷を纏わせていく。

両手を身体の前で突き出し、両手の雷を腕の直線上にいるシルヴィー目掛けて解き放つ。


極雷砲(きょくらいほう)!」


荷電粒子砲の様な極太の雷のレーザーが放たれる。

シルヴィーも櫓が手に雷を纏わせた段階で既に魔法の詠唱を始めていた。


「我が魔力を糧とし、全てを断ち切る風の一撃を。神断(しんだん)(やいば)!」


頭上に掲げた槍の先端が風に包まれる。

そして櫓の放った雷目掛けて振り下ろすと、風の斬撃が飛ぶ。

その斬撃は雷にぶつかるとレーザーまるごと真っ二つに切り裂く。

レーザーはシルヴィーの左右を通過し後方で地面に着弾し、盛大に地面を抉った。

そしてここから二人の戦いは終盤戦に突入する。

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