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うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
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195話 初ドワーフ

希望の光の面々と別れた櫓達は、そのまま鉱山都市ミネスタを目指して馬車を走らせた。

一時間程走らせると街の近くまで来れて、その大きさに圧倒される。

鉱山都市ミネスタは、五大都市の中でも最も規模が大きい。

今迄櫓が見てきた城塞都市ロジックや魔法都市マギカルと比べても、数倍以上と言う規模だ。

その理由は街の中に巨大な鉱山がある為である。

その鉱山を中心に囲む様に街が作られたので大きくなってしまったのだ。

そしてその街の周りにも一回り小さいが幾つもの鉱山があり、どこも人の行き来が激しい。


「取り敢えず門の方に向かってくれ。」


御者をしているミズナに言う。

五大都市ではそれぞれ街毎に通行証を貰わなければ中に入る事が出来無いので、門の前はかなり混みやすい。

ここも行列が出来ており、人や馬車が長々と並んでいる。

暫く待って櫓達の番となり、五人分の通行証を銅貨を払って貰う。


「通行証を受け取ったら直ぐに進んでくれ。混んでいく一方だからな。」


門番に言われたので街の中に馬車を進める。

外と同じで中の方も人の行き来がかなり多い。

鉱山で取れた鉱物類を運ぶ者や製錬した金属を店に届けている者等様々だ。

そしてその様子を眺めていると、知識は有ったがこの世界に来てから初めて見るものと遭遇する。

一応調査の魔眼を発動させて視たので間違い無い。


「やっぱり居るのかドワーフ。」


普通の人間よりも背丈が低いが筋骨隆々な身体を持ち、長い髭を蓄えた種族。

知識として知っていたドワーフそのままだった。

人間が苦労して運んでいる重い鉱物類を涼しい顔で運んでいる。


「ご主人見るの初めて・・・?」


物珍しそうに見ている櫓にミズナが聞いてくる。


「ああ、ミズナは見た事あったのか?」

「色んな場所に居たから・・・。」


ミズナは櫓と出会う前は、精霊として様々な場所を点々と過ごしていた。

その間にドワーフの事も見かけたのだろう。


「俺も知識としてはあったけどな。」

「おう、そこの人間の坊主。」


声のした方を見るとドワーフの男が御者台に乗っている櫓の方を見上げている。

初対面でいきなり坊主呼ばわりかとも思ったが、ドワーフが敬語を使っている方が珍しいかと思い直す。


「俺の事か?」

「そうだ、旅で今来たところなんだろう?初めてなら良い宿を紹介してやるぜ?」


今声を掛けられた場所は門から入って直ぐの場所だ。

宿の客を取る為の呼び込みの類だろうと予想出来る。

辺りを見回すと他にも門から入って来た者達が同じ様に話し掛けられている。


「ふむ、未だ決まってないし教えてもらうか。」


元々馬車を引いている馬を置ける宿は取らなくてはならないので、手っ取り早く見つかるならばとドワーフの話に乗る。


「話が分かるな、付いて来な。」


馬車を先導する様にドワーフが歩いて行く。

大通りから直ぐ近くの脇道に逸れて進んで行くと一軒の宿が建っていた。

大通りに面していないので、外から来た者は此処にある宿を見つけるのは難しいだろう。

その為見た目は綺麗で立派なのだがあまり客は居ない様である。


「この宿だ。俺と女房で経営しているんだが立地が悪くて客足が伸び悩んでいてな。普通の宿となんら変わらないがどうだ?」


一応泊まるか聞いてくるあたり、無理矢理泊める気は無い様だ。

馬車を止めるスペースもある様なので問題は特に無い。


「ああ、暫く泊まらせてもらう。」


むしろ人があまり居ない方がトラブルにならずに良いだろう思い泊まる事に決めた。


「助かるぜ、客が居ないんじゃ経営が危ういからな。馬車を停めたら中に入ってくれ、カウンターに女房が居るから部屋に案内してくれる筈だ。」


そう言ってドワーフは再び大通りに向けて歩いて行った。

櫓達以外にも客を探しに行くのだろう。

言われた通り馬車と馬を置いて宿の中に五人で入って行った。


「あら、いらっしゃい!」


カウンターから元気な声が聞こえてくる。

先程のドワーフが女房と言っていた者だと分かったが、見た目が子供の様に小さかったので一瞬戸惑ってしまった。

カウンターに居た者も女ではあるがドワーフだったのだ。

女のドワーフは男のドワーフと違い筋骨隆々でも髭が長い訳でも無く、身長が低い以外は人間と変わらない。

なので見た目だけだと人間の子供と見間違えてしまうのだ。


「男のドワーフに中に入ったら案内してくれると言われたんだが。」

「はいよ、何部屋を何日取るか決めてるかい?」


聞かれてからそう言えば決めてなかったなと櫓は思った。

なんと言おうかと迷っているとシルヴィーに後ろから軽く指で叩かれる。


「経営が困難な様ですから協力して差し上げませんか?一先ず五部屋を一週間で如何ですか?」


後ろからシルヴィーが櫓にのみ聞こえる声で囁く。

確かに金はフェリンの件でかなり消費したとは言え、まだまだ持っているので一人一部屋借りるくらいの出費は大した事は無い。

櫓はシルヴィーの言う通りに部屋を注文すると、女のドワーフは嬉しそうに櫓達を案内してくれた。

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