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うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
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184話 強さを求める者達

「ほっほっほ、これだけの実力を見せられたら安心じゃわい。」

「満足させられたなら良かったです。」


スキルと剣技の両方を使い、本気でリュンと戦った甲斐はあった様だ。


「まさか剣術まで扱えるとはのう。お主の戦術の幅はかなり広そうじゃ。」

「村長には及びませんけどね。」


櫓達はティアーナの森に到着したその日に村長と戦って稽古をつけてもらった。

櫓は魔力切れによって途中気絶していたが、目が覚めてからも他の者達が戦っているのを見ていた。

剣術、魔法は気絶する前に規格外な事が分かっていたが、シルヴィーとの戦闘で槍を奪い取って扱った槍術やエンチャントで強化されたユスギと平然と渡り合う体術等、戦闘面においては苦手な事が無いのかと言う程圧倒的だったのだ。


「十数年しか生きておらん者に簡単に負けては、わしの数百年の戦いへの研鑽は立つ瀬が無いからのう。」


長命種であるエルフには時間だけは沢山ある。

村長は世界樹の恩恵もあり弓と魔法の腕は早々に極めてしまった。

そして弓と魔法の腕を衰えさせない様に維持して、これから何百年も過ごして行くのかと考え、時間だけはあるのだからついでに他の事にも挑戦してみようと言う結論に至った。

しかし剣術や体術等元々エルフで扱う者などいなかったので、ある程度形になるまでに数年、実戦レベルまで仕上げるのに数十年と言う月日が掛かった。

一見村長は何をしても規格外の様に見えるが、その裏には人間の一生よりも長い時間を掛けた修行の日々があったのだった。


「まだ少し滞在させてもらう予定なので、その間に出来るだけ学んでいきたいですね。」

「やる気があるのは良い事じゃ。明日から旅立つ日まで、稽古を付けてやろう。それとリュンよ、いつまで呆けておるつもりじゃ。」


村長は地面にへたり込んでいるリュンに向かって言う。

櫓との戦いが終わってからずっとそのままの姿勢で二人の話しを聞いていたのだ。


「・・人間とはここまで強い者なのですか?私は全力で挑みましたが、まるで歯が立ちませんでした。」


リュンは師匠である村長に稽古を付けてもらっていた事もあり、他のエルフ達と比べると実力は頭一つ抜き出ていた。

ティアーナの森の中でもトップクラスの実力の持ち主だったのだが、櫓に実力差を見せつけられて少し落ち込んでいる様だ。


「櫓が特別なだけじゃ。いや、櫓達がと言うべきか。此奴らは皆人間の世界で言えば上位の実力者ばかりじゃ。基準としては考えられんのう。」


冒険者のランクとしてはAに届いていない者もいるが、間違い無く全員がAランク帯の実力者ばかりだ。

そしてリュンも冒険者のランクで言えばAランク帯の実力は充分にある。

ただ運が悪く、櫓がAランク帯の中でも実力が少し抜きん出ていただけの事だ。


「では、私でも足手纏いにならずに共に歩む事は出来るのですね。」


リュンは村長の言葉を聞いてホッとしている。

人間の世界で更に強さを追い求めたいと思って櫓達に付いて行こうとしたが、足手纏いになって迷惑を掛ける事になるのは嫌だったのである。


「それだけ戦えたら充分だ。旅をしていれば勝手に実力は付いていくしな。」


櫓達のパーティーの中には戦闘経験が殆ど無いネオンがいた。

しかし櫓と出会って旅を重ねているうちに著しい成長を見せて、今では立派な戦闘員の一人だ。


「その通りじゃ、世界を知って存分に成長してくるとよい。しかし無理は禁物じゃ、自分の実力に見合わない相手との戦闘は、命を無駄に捨てるだけになる事もあるからのう。」

「そうですね、命を失っては何も出来ませんから。」


リュンは村長の言葉に素直に頷いている。


「櫓よ、お主もじゃ。リーダーを務めるのであれば、危機を避ける判断も重要となる。焦らず慎重に敵を見定められねば仲間を危険に晒す事になるからのう。」


櫓は村長に旅の目的を話してはいない。

しかしその事について言われてる様な気がしてならなかった。

人類の敵である魔王達、そして魔王の上に立つ存在である邪神。

復活には未だ時間が掛かるらしいが、いずれは対峙しなくてはならない。

そして邪神の情報を少しでも集める為、邪神側の戦力を削ぐ為、魔王達とも戦っていかなくてはならない。

その中には今の自分達では太刀打ち出来ない程強大な力を持った魔王も居るだろう。

櫓の判断一つで全滅もあり得てしまうのだ。


「もし・・、もしも避けられない危機に直面してしまったら?仲間を危険に晒す時が来てしまったらどうしますか?」


自分で気を付けていてもイレギュラーな事は起きてしまう。

今迄は仲間と協力して大体の事は切り抜けて来られたが今後も上手くいくかは分からない。


「強くなれ。」


村長の放った言葉は短かかったが、不思議と櫓の心に響いた。


「強く?」

「どんな敵が相手になろうと、どんなに不利な状況になろうと、全てを覆し圧倒出来る程強く。お主はまだまだ強くなれる。このわしをも越えられるかもしれんな。」


村長は櫓の成長が楽しみで仕方がないと言った感じで笑いながら言った。

それを受けて櫓は、明日から行われる村長の稽古が更に楽しみになっていた。

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