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うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
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181話 村長の紹介

翌日の朝食を食べ終わった後に、昨晩出来上がった無色の剣を村長に渡した。


「もう出来たのか、頼んで正解じゃった。」

「そう簡単に量産するのは難しいですけどね。」


あの後自分達様にもう一本作ろうと思ったのだが、ミズナに拒否されてしまった。

精霊であるミズナは魔力量が多い分、回復するのに時間が掛かるのだ。

ポーションを複数飲めば解決するのだが、苦くて不味いポーションをミズナは飲みたがらない。

無理に作らなくてはいけない事もないので、ミズナの気が向いた時に作ってもらおうと今回は見送ったのだ。


「簡単に量産されては、エルフの武器職人の立つ瀬があるまいて。」


無色の剣は出来上がるのに年単位の時間が掛かる特殊な魔法武器だ。

簡単に量産されればやる気が無くなってしまうだろう。


「それで何に使うんですか?」

「これを渡したい奴がいるんじゃよ。ストックの無色の剣が無かったので助かったわい。」

「なるほど。」


櫓は村長が自分自身で使うものだとばかり思っていた。

元々強い村長が無色の剣を使えば、更に戦術の幅が広がるだろうと思えたからだ。


「お主にも無関係な話では無いし、付いて来るとよい。」

「俺に?どう言う事ですか?」

「フェリンから聞いたがエルフを仲間にしたいのじゃろう?」


旅の最中にティアーナの森で冒険者志望の者がいれば仲間にしてもいいのかと聞いた事があった。


「まあ、無理に誘うつもりは無いので付いて来たいと思う人がいればですけど。」

「ほっほっほ、普通の人間なら従う者など誰もいないじゃろうが、お主達の様な者であればそう思う者も多いじゃろう。」


フェリンを助けた事は村中に知らされているので、エルフ達は皆好意的だ。

現在櫓以外のメンバーが村を自由に探索していても何も問題は無い。


「心当たりがあるんですか?」


櫓としてもパーティーメンバーが増える事は有難いので興味がある。


「わしが稽古を付けている子がいてのう、村から出た事が無いので見聞を広める意味でも外の世界を見せてやりたいんじゃよ。」


ティアーナの森は結界に覆われてはいるがかなり広い。

魔物も生息しているので戦闘訓練にもなる。

しかし結界の外の広大な世界と比べれば、遥かに見劣りしてしまう。


「その子をうちのパーティーにって事ですか。」

「お主達になら安心して任せられそうじゃからな。それにもう何日かはいるんじゃろ?その間にわし自らお主達を鍛えてやれば、更に安心出来ると言うもんじゃ。」


突然今日から数日間は村長によるスパルタ稽古を受ける事になったが他の者達は未だ知らない。

稽古は有難いのだが一日目からハードだったので、何人かは拒否しそうだなと思った。


「何処に向かっているんですか?」

「昨日の訓練場じゃよ。朝から昼までそこで素振りをしておるからのう。」


村長の後を付いて歩いて行く。

訓練場の利用者が多いのか、同じ方向に進む者が周りにも何人かいる。

長命種であっても魔法の才能が与えられてても、日々の訓練を欠かさないのは村長の教えらしい。

いつ人間の軍隊に攻め入られても返り討ちに出来る様にと言う事だ。


「おったおった、あやつじゃ。」


村長が遠くを指差し、その方角を見ると熱心に素振りをするエルフが居た。

可愛いと言うよりは凛々しいお姉さんと言う感じの美形だ。

スレンダーな身体と金髪のロングヘアーを動かして、朝日に照らされた姿はとても映える。

そのエルフが振るっている剣は、普通の鉄剣の様でその代わりにと無色の剣を与えるのだろう。


「リュン、ちょっとよいかのう?」


村長の声に素振りを止めて此方を振り向く。


「おはようございますお師匠様。」

「うむ、今日は前々から言っていた件について話そうと思ってのう。」

「なるほど、その為の彼ですか。」


リュンと呼ばれたエルフの視線が村長から櫓に移される。


「お初にお目に掛かる、私はリュン・ルミナール。気軽にリュンと呼んでほしい。」


そう言って手を差し出してきた。


「俺は東城 櫓だ。前からある程度話がされていたみたいだがそう言う事らしい。」


櫓も手を差し出してリュンの手を握る。

重い鉄剣を振っていたとは思えない程に華奢な手だった。


「リュン、お主には随分と稽古を付けてきて教える事も無くなってきた。いい機会じゃし、櫓達に付いて行き外の世界を見て色々学んでくるとよいじゃろう。」


そう言って無色の剣をリュンに差し出す。


「これは無色の剣!?私が頂いて宜しいのですか?」

「餞別じゃ、扱い方は分かるのう?」

「はい、早速覚えさせて宜しいですか?」


無色の剣は一つだけ魔法を覚える事が出来るのでその事を言っているのだ。


「決まっておるのか?」

「いつか無色の剣を扱うのが目標でしたから。覚えさせる魔法も私が得意とする魔法にと決めていました。」

「良い判断じゃ。あの魔法は使い勝手もいいじゃろうからな。」


リュンの言葉を聞くと村長は満足そうに頷いた。

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