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うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
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180話 共同作業

紗蔽と村長が戦い終わった後、日も沈んできたので今日はここまでと言う事になった。

櫓達は村長の家に泊まっていいとの事なので、全員で食事をご馳走になり、与えられた部屋に分かれる。


「ふぅ、一人ってのも久しぶりだな。」

「ご主人忘れてる・・・。」


櫓の近くに居たミズナが自分の事を忘れられていると思い言う。


「人間が一人って意味だ。ミズナは精霊の腕輪の中で寝るだろうしな。」


旅に出てからは常にパーティーメンバーのネオン、シルヴィー、ミズナと行動しているので、ミズナと二人きりと言う状態も珍しい。

櫓が一人で過ごしていたのは、この世界に来てからネオンに会うまでの数日だけだ。

短期間で様々な騒動に巻き込まれて、一人の時間というのはあまり作れていなかった。


「まだ眠く無いし、久々にがっつり作るか。」

「ご飯・・・!」

「違う、魔法道具の話だ。て言うか今さっき飯は食ったばかりだろう。」

「全然足りない・・・。」


エルフの料理は肉もあったが野菜中心のメニューだった。

身体に良さそうなメニューではあったが、その分ミズナは物足りなかったのだろう。


「俺の邪魔にならない様に静かに食ってくれよ。」


櫓はボックスリングから取り出した山盛りのフライドポテトが乗った皿をミズナに渡す。

ミズナは笑顔で受け取ってテーブルに持っていき、黙々と食べ始めた。

フライドポテトは作るのが簡単なので、旅の最中に暇な者に役割分担させて、何十キロと言うレベルの量をストックしてあるので、何皿か与えてミズナの小腹を満たすのに丁度いい。


「さて、せっかく村長から貰ったんだし有効活用しないとな。」


櫓はボックスリングから取り出した葉や枝を床に並べる。

戦いが終わった後に村長がフェリンのお礼にとくれた物だ。

世界樹の周りに作られている堀から内側は理由無く入る事が禁じられているのだが、村長はフェリンのお礼の為と理由を付けて大量に運び出してくれた。

そんな理由でいいのかと思ったが、ティアーナの森の村長が言っている事だし、欲しいのも事実なので黙って受け取っておいた。


「万能薬のレシピは、普通のポーションの材料に世界樹の葉だったな。世界樹の枝の方は・・、なるほど武器に使うのか。」


錬金術の名人のスキルで二つの希少素材から何が作れるかを調べていく。


「おっと、そう言えば忘れる前に作っておかないと。」


櫓は折り畳まれた紙を取り出して広げる。

各々の部屋に分かれる前に村長から渡された物だ。

特殊な魔法武器の製造方法が書かれた紙で、作るのにかなり時間が掛かるのだと言う。

スキルか魔法で直ぐに作れるならば一本作ってもらえないかと言われたのだ。


「やっぱスキルだと思うよな。」


錬金術の名人に関して話してはいないのだが、馬車の件で何かしらの手段がある事は気付かれた。


「えーっと・・、なるほどこれは時間が掛かるな。」


製造方法を見ていると年単位の時間が掛かる事が分かった。

魔力を自然に大気から取り込める様にする為に、魔力を多分に含んだ液体に漬け込む必要があり、それの時間が相当掛かる様だ。

しかし櫓には完成の呪文があるので、素材さえあれば魔法武器を作るのも一瞬だ。


「魔力が足りれば良いんだが。完成!」


呪文を口に出したが目の前にある剣と素材に変化は現れない。

作る為の魔力が足りない場合にこうなってしまうのだ。


「ご主人おかわり・・・。」


フライドポテトが山盛りに乗った一皿を食べ終えたミズナが近くに来て言った。


「丁度良かった、おかわりはやるから魔力を貸してくれ。」

「フライドポテトの為・・・。」


ミズナはそう言って手を差し出してくる。

櫓は左腕に嵌めている精霊の腕輪の能力でミズナに魔力の譲渡が出来るのだが、これは精霊との間に魔力の回路を作っているので出来る事なのだ。

つまりその逆の事も可能であり、魔力回路を繋いだ状態で二人分の魔力を一つの事に使用すると言った事も可能なのだ。


「完成!」


櫓はミズナの手を握って再び呪文を言う。

すると今度は目の前の剣と素材が光り輝き、一つに合わさって白い刀身の剣が出来上がった。

それと同時に自分の中にあった魔力がごっそりと無くなったのを感じる。


「頭痛い・・・。」


手を繋いでいるミズナは魔力切れ寸前らしく、実体を保つ分の魔力しか残っていない状態だ。

魔力量が普通の人間よりも遥かに多い櫓と、その櫓と比べても更に多い精霊のミズナ二人の魔力を殆ど使い切らないと作り上げられない魔法武器であった。

予め用意してあったポーションを二人で飲んで魔力を回復すると、ミズナはおかわりの皿を持って離れて行った。


「これだけ苦労して作ったが、どんな魔法武器なんだ?」


紙には製造方法しか書かれていなかったので、武器の名前すら分かっていない。


「どれどれ・・、っ!これは量産して損は無さそうだな。」


調査の魔眼で剣を視た櫓は、その効果を知って量産を視野に入れる事にした。


無色の剣 この魔法武器自体が一つだけ魔法を覚える事が出来る。覚えた魔法は使用者が魔力を使う事により発動出来る。魔法に必要な魔力の内半分は剣の内包している魔力が使われ、失った魔力は徐々に回復する。

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