169話 呪われた村
点々と続いている紗蔽が流した血を辿って馬車を走らせる事数分、小さな村らしき物が見えてきた。
「あの村で間違い無さそうです。ここからでも分かるくらいに腐臭や血の臭い等が感じ取れます。」
御者台に座っているネオンが可愛い顔を顰めながら言う。
櫓も御者台と馬車内を繋ぐ小窓から臭いは感じないが遠くに村を見る事は出来ている。
「一旦ここで止めてくれミズナ。」
櫓が言うと馬車は村から少し離れた場所で停止し、紗蔽以外の者が馬車から降りる。
「村は目の前だがここからは歩いていく。」
「どう分けるんですか?」
今いる者達全員で行くわけにもいかないので、ネオンがリーダーの櫓に質問する。
「そうだな、取り敢えずフェリンは紗蔽と一緒に馬車内で待機だ。遠距離で戦えると言っても今回は危険かもしれないからな。」
「分かりました、どうかお気をつけ下さい。」
フェリンも自分の実力がここに居る者達と比べれば遥かに劣っている事くらい分かっているので食い下がったりはしない。
「村に向かうのは俺の他にネオンとユスギの三人にする。他の四人は馬車の警護だ、何かあった場合の指揮はシルヴィーに任せる。」
「分かりましたわ。」
シルヴィーは冷静に周りを観察する目を持っているので、指示等は安心して任せられる。
「戦いたいからいいけど、なんで私を選んだの?」
ユスギは純粋に選ばれた理由が分からず櫓に尋ねる。
「俺とユスギは一人でも大体の敵ならなんとかなりそうだと思ったからだ。ネオンは獣人としての優れた五感とスキルで、危険の察知が誰よりも優れている為だな。」
この集団の中でも櫓とユスギの個人的な戦闘力は頭一つ抜けている。
仲間の援護が期待出来ない状況になったとしても、一人でどうにか切り抜けられるだろうと櫓が判断した。
そして他の者には教えていないがネオンはダンジョンで手に入れたスキル超直感がある。
これにより敵わないと判断すれば即座に引くか遠距離での戦いのみに切り替えるので、連れて行っても特に問題は無い。
そして他の四名に関しては、紗蔽の様に呪いを受ける可能性があるのでメリーを最前線に出すのは無い。
そしてメリーと長い間コンビを組んで来た藍も近くに置いておいた方がいいだろうと判断した。
ミズナは攻めるよりも守る方が向いているので馬車の警護に残して、それらを束ねる事の出来る指揮官はシルヴィーが向いていると思ったのだ。
「そっか、じゃあ早速行こう。」
「敵の正体が分からないんですから、慎重にですよユスギさん。」
「警護は任せたぞ。」
村に向けてどんどん歩いて行くユスギの後ろを警戒しながらネオンが付いて行く。
櫓も馬車の事は任せたので意識を村に切り替える。
近付くにつれて人の気配がせず、血の臭いが感じ取れる。
そして村の入り口らしき場所で何人かの村人が倒れているが、既に死んでいた。
「酷いですね。」
「可哀想だとは思うけど、この人達からは情報も得られそうだね。」
そう言って倒れている村人達を見るユスギ。
倒れている村人は、血を流している者、干からびている者、外傷が一切無い者と様々な死に方をしている。
予想はつくが櫓は調査の魔眼を使い村人達を視てみると様々な呪いに掛かっていた。
「全員が違う呪いに掛かっているな。」
「敵は呪いを主体に戦ってくるって事で間違い無さそうだね。」
「呪いの発動条件が分かればいいんだがな。俺達に避けられるのかどうか。」
「一方的に掛け続けられるって事は無いんじゃないかな?メリーだって前準備を色々してたし。」
メリーの呪い魔法に関する事を櫓は知らないが、パーティーに入ったユスギは知っている。
詠唱、魔法陣、魔法道具等様々な物を使用しているので、隙が無いとは思えなかった。
「そうか、でも油断はし無い方がいいな。」
「呪いって厄介だもんね。」
「櫓様、ユスギさん、こっちに来て下さい。村の中も酷いですよ。」
入り口から少し中の方に入ったネオンが手招きしている。
見渡せばそこら中にこの村の人達が倒れている。
老若男女関係無く事切れており、産まれて間もないと思われる赤子まで苦しそうな表情で死んでいる。
「生存者かこれをやった奴は見えないな。」
村はそれなりに大きく近くには見当たらないので、村の中に入り奥へと慎重に進んで行く。
奥に進むにつれて倒れている者達が増えていく。
「っ!?声が聞こえましたこっちです!」
ネオンは遠くから「うぁ・・。」と言うか細い声を聞き指差して二人に伝える。
唯一の手掛かりかと三人は警戒しつつネオンの指差した方角に急いで向かう。
声のした場所に辿り着くと一足遅かった様で、包丁を自分の心臓に突き刺して倒れている女性が居た。
そして女性から少し離れた場所で、全身黒ローブに包まれた黒い仮面を付けた者が佇んで居た。
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