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うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
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159話 迎え撃つ以外無い

自分達のオークション番号の木札を係員に渡す。

最初に櫓が出品した物が売れた分のお金を渡される。

数えるのは店員がやってくれると言うので、任せて落札した物の取引をする。

所持していた分で足りたので、白金貨と金貨を取り出し係員に渡す。

白金貨八枚以上もの大金を一度に扱うのが初めてなのか、緊張した様子で運んで行った。

そして係員が櫓の落札した奴隷や素材を運んで戻ってくる。


「これらが落札された品物で御座います。ご確認下さいませ。」


素材の入った袋をチラッと見て間違い無い事を確認してボックスリングの中に仕舞う。

奴隷も十一人全員落札した者達で間違い無い。


「奴隷契約される主人はこの場にいらっしゃいますか?」

「俺だ。」

「ここでは奴隷契約をサービスで行っているのですが、やっていかれますか?」

「ああ、名前は東城 櫓だ。」


そう言うと係員の後ろに控えていた奴隷商人が、十一人の奴隷に手をかざし、何かを詠唱し始める。

全員の足元に魔法陣が浮かび上がり、少し光って消える。

調査の魔眼で視ると全員の状態の欄に奴隷(主人 東城 櫓)となっている。


「金は全部あってたぜ兄ちゃん。」


店員も数え終わった様で、金の入った袋を受け取りボックスリングに仕舞う。


「それでは取引は以上となります。またの御参加お待ちしております。」


取引も終わったので、奴隷達を率いてオークション会場を出る。

ステージに立たされていた時に比べれば表情は幾らか明るくなっている。

同じ性別のシルヴィーが居て少し安心しているのだろう。

しかしその中で一人だけずっと暗い表情の者も居る。

櫓が最後に落札したエルフの女の子だ。

エルフからしてみれば若い櫓も中年のおっさんも同じ人間なので大差が無いのだろう。

下手に話しかけても怯えさせるだけだろうと考え、後でメリーに話をしてもらうまでは干渉しない事にした。

幸い反抗してくる様子は無く、他の奴隷同様櫓達の後を黙ってついて来ている。


「早速宿に向かうか?」

「待ってくれ兄ちゃん、先に俺の事を冒険者ギルドに送ってくれないか?用事があるんだ。そこまで行けば襲われる心配も無いだろうからな。」


冒険者ギルドの周辺となれば当たり前だが冒険者が多い為、チンピラに絡まれる事なども無い。

夜も遅くまでギルドの中にある酒場が営業しているので、殆ど二十四時間安全地帯の様なものだ。


「分かった、俺達の宿からしても通り道だしな。」


オークション会場から冒険者ギルドまでの距離は歩いて十分程だ。

十四人の大所帯での移動かつ、美人ばかりなので非常に目立つ。

エルフの女の子には耳が目立たない様にフードを掛けているが、すれ違う者達の殆どが櫓達に目を向けている状態だ。


「シルヴィー、気付いてるか?」


隣を歩くシルヴィーにしか聞こえない様に小声で話す。


「ええ、尾行されてますわね。」


シルヴィーも気付いていた様で小声で返答する。

オークション会場を出て直ぐの辺りから、ずっと複数人に跡をつけられていた。

すれ違った者達とは違い殺気も僅かに感じる。


「まさかいきなり仕掛けてくるとは思わなかったな。」

「どう致しますの?私だけで行ってきましょうか?」

「うーん、数が多いからな、逃したく無いし何処かで待ち伏せするってのはどうだ?」


オークション会場から離れるにつれて、跡をつけてくる者達が少しずつ増えていた。

既に十人以上はおり、たまに辺りを見るフリをして後ろを見れば、建物や物陰に不自然に隠れている者達が見える。


「他の皆さんに危険が及びませんか?」


軽い護身術や剣術等なら心得がある者も奴隷の中には居るが、実戦レベルかと言われるとそうでは無い。

そしてエルフの女の子も本来であれば弓と魔法が得意な種族なので、戦力として申し分ないのだが、現在の状態ではあまり期待出来そうも無い。

結局戦えるのは櫓とシルヴィーの二人しか居ないのだ。


「俺が傷一つ付けずに全員守りきるから安心しろ。」

「それならば大丈夫ですわね。私は全力で尾行している者達の相手をしますわ。」

「分かった、少し進んだとこの路地に入るぞ。」


小声での相談を終わり、大通りから人気の少ない路地に入っていく。


「お、おいどこ行く・・。」

「しっ、跡をつけられてるんだ。多分貴族の雇ったチンピラとかだろうな。」


店員がいきなり進行方向を変えた櫓に文句を言おうとしたので、肩を組んで状況を説明しておとなしくさせる。


「なっ!?どうしてわざわざ人気の無い場所に行くんだ!?」


店員はそれを聞いて小声で怒ると言う器用な事をしている。


「ずっとついてこられても面倒だからな。雇い主の情報ももしかしたら聞けるかもしれないしここで叩く。」

「勝てるのか?」

「任せておけ。万が一負けそうになったら走って逃げても良いぞ。」


そう言うと店員は喋るのを止めて黙って歩いた。

大通りから大分離れた場所まで来ると、路地に繋がっている様々な道からニヤニヤといやらしい笑みを浮かべた男達が姿を現してきた。

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