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うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
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152話 早過ぎる再会

「よし、こんなところか。」

「ああ、有意義な取引だったぜ兄ちゃん。」


あの後恩恵の宝玉の売買についての話を長い事して、やっと取引が終わった。

未だボックスリングの中にはダンジョンで回収したお宝が大量に残っているが、それはオークションの出品として取っておく事にした。


「用も済んだし帰るとするか。」

「長い間話しちまって悪かったな。オークションの開催日は二日後だ、夕方頃に会場前で落ち会おうぜ。」

「分かった、またな。」

「毎度あり。」


櫓は魔法道具を売却する用事が終わったので、宿に帰ろうかと足を向けるとダンジョン入り口が騒がしい事に気付いた。


「気の毒にな。」

「今からじゃもう・・。」


否定的な言葉が聞こえてきて、重傷者でも居るのかと近付いて行く。

櫓は自分で作った市販の物よりも性能が高いポーションを使えば助けられるのではないかと考えたからだ。


「頼む、誰か助けてくれ。」


しかし助けを求めている男を見ても、多少の切り傷が全身に目立つが、致命傷と言える怪我は無い。

市販のポーションで充分事足りる。

呪いの類かとも思ったが、調査の魔眼で視ても特に異常は無い。


「どうかしたのか?」


周りの物は遠巻きに見ているだけで誰も動こうとしない。

原因が分からなかったので、櫓は直接聞く事にした。


「た、助けてくれないか?」

「何か怪我しているのか?」

「俺じゃ無い。ダンジョンの中にいる仲間が盗賊に襲われているんだ。俺は助けを呼んで来いと仲間に言われて・・。」

「何回層だ?」

「三回層に降りて直ぐの場所だ。」


それを聞いて櫓は納得した。

周りの者達は助けてやりたいが時間的に厳しいと判断しての事だろう。

三回層に降りる階段まで入り口から最短距離で急いでも大体三十分は掛かってしまうだろう。

この男が助けを求めに来るまでの間で既にその時間が経過しているのだ。

そして今から向かう時間も考えれば襲われてから合計で一時間を超えてしまう。

目の前の男の切り傷が盗賊による物だとしたら実力的にも近いか負けている。

なので誰もが今からではもう手遅れだと考えていたのだ。


「なら俺が代わりに行ってこよう。」

「助けてくれるのか!?な、なら俺も。」

「場所は三回層に降りて直ぐなんだろう?それなら道案内もいらない。それに一人の方が早いしな。」


櫓は雷帝のスキルで雷を足に纏わせて、爆速でダンジョンを駆ける。


(なんだかんだで、人助けする事が多いな。まあ俺の力で助けられるなら、いくらでもやるけど。)


勿論人助けだけが目的では無い。

盗賊を撃退すれば、犯罪奴隷として売る事が出来るのと、盗賊の所持品が撃退した者に所有権が移るのだ。

ここはダンジョンの中なので、恩恵の宝玉を溜め込んでいる可能性も充分に有る。


(そろそろだな。)


櫓は速度を緩める事無く階段を降りて三回層に辿り着く。

すると少し遠くの方から金属と金属がぶつかる戦闘音が聞こえてきたので一気に向かって行く。

そして視界に捉えたと思った瞬間、片方が地面に崩れ落ちて倒した者が此方に気付く。


「新手ですか。」


振り向き様に小太刀を振るってきたので、それを耐性の手袋を嵌めた手で受け止める。


「藍!?」

「櫓さん!?」


櫓は小太刀を振るってきた者の顔を見て驚いた。

その者は前に違う街で出会ったAランクパーティー希望の光の斑 藍だったのだ。

藍の方も櫓を見て心底驚いている様だ。


「盗賊ってのはお前達の事か?」

「誤解ですよ、そんな訳無いでしょう。偶然通り掛かって加勢していたのです。」


藍は小太刀を引いて鞘に仕舞う。

既に戦闘は終わった後だったらしい。


「藍〜、そっちは終わった?」


離れた場所から藍のパートナーであるメリー・カースドが複数の傷だらけの者達を引き連れて戻ってきた。


「ええ、終わりましたよ。」


メリーに対して藍が返答するが、自分で聞いておいて藍を見てはいない。

その視線は櫓に向けられている。


「な、なんでここに櫓君が居るの!?」

「それはこっちの台詞だが、まあそれは一旦置いておく。俺は仲間を助けて欲しいと冒険者の男に言われて来たんだが、その冒険者ってあんたらの事か?」


櫓はメリーの後ろに居る者達を見て聞いた。

メリーと藍には傷らしい物が一つとして見えないが、その者達は助けを求めて来た男同様に全身切り傷だらけであった。

メリーには世界一強いパーティーを作る目標があると聞いていたので、ここまで実力に差が開いている者達を仲間にしたとは思わなかったのだ。


「そ、そうだと思います。ロンメルは無事なのですか?」

「ああ、切り傷だらけだったが重傷では無かったぞ。今頃ダンジョンの入り口で手当を受けているんじゃ無いか?」


それを聞いて明らかにロンメルの仲間達がホッとしている。

助けを呼びに行かせるにしても一人でダンジョンの入り口まで無事に辿り着けるかは分からなかったのだろう。


「取り敢えず色々話す事もあるだろうが治療しておけ。」


櫓はそう言ってボックスリングからポーションを取り出して、冒険者達に配った。

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