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うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
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151話 何が何でも参加したい

「ふぅ、やっとか。」


櫓達はミスリル鉱石を回収した後、ボスも倒してしまったのでダンジョンから出る事にした。

ボスをクリアしても入り口にワープするみたいな物は無く、休憩も挟みつつ二日掛けてやっと登りきったのだ。


「今日はこれからどうしますか?」


未だ正午を少し回った辺りの時間帯だ。


「トーナメント戦にダンジョン探索と続いてたからな、数日間ゆっくりするとかどうだ?」

「いいですわね、ではここからは別行動に致しますか。私冒険者ギルドに少し用がありますので。」

「分かった、俺は色々ダンジョンで手に入れた物を売却しときたいから、皆は自由にしてくれ。」


そう言って櫓は金袋から取り出した金貨を配り皆と別れる。

自由行動の時には何かと金を使うので、適当に分配する事にしているのだ。

既に櫓の金袋にはそこらの貴族の資産を上回る程の大金が魔物の素材等を大量に売った事により貯まっている。

ここにダンジョン探索した分が合わされば、暫く金に困ることも無い。


「さてと、色々やらないとな。」

「おーい、兄ちゃん!」

「ん?」


櫓が考え事をして歩いていると近くの店から声を掛けられる。

視線を向けるとダンジョンに潜る前に地図を購入した店だった。


「俺の事を呼んだのか?」

「ああそうだ、初めての探索なのに全く出て来ないから死んじまったのかと思ったぜ。」

「よくこれだけ人が多いのに覚えているな。」


ダンジョンの入り口には店も客も相当な数がおり、出入りする人数も多い。

約一週間も前にダンジョンに潜った櫓の事を覚えていた事に素直に驚いた。


「俺は人の顔を覚えるのは得意なんだ。それに俺の店から地図を買ってくれた客なんだ、生きて生還してほしいからな。」

「なるほどな、全員無事に生還したから安心してくれ。」

「そうか、それはよかったな。それでどうだったんだ?これだけ長い事滞在していたんだ、持ち帰った物も多いんじゃないか?」


櫓は一見すると荷物を持っている様に見えないのだが、店員の男は櫓の右手に付けているボックスリングを見て言っているので、これがどう言った物なのか分かっているのだ。


「まあ地図を購入した時に売らせてもらうと言ったからな。どの店でも俺はいいし、この店に売らせてもらうか。」

「そうこなくっちゃな、なら奥に来てくれ。」


ダンジョン入り口付近にある店は屋台系が多かったが、この店は奥に部屋などもあり、ちょっとした家に近い造りになっていた。


「それで何を持ち帰ったんだ?」

「先ずはこれだ。」


櫓はリビングアーマーから手に入れた鎧を一つ机の上に置く。

剣も一緒に手に入るのだが、此方は何の変哲もない安物なので出さない。


「かなり良質な鎧だな。」

「リビングアーマーから手に入った物だ。」

「リビングアーマーってBランクの魔物だよな!?なるほど良い鎧のはずだ。」

「どれくらいになる?」

「金貨三枚は少なくとも出せるな。他の店だと多少の上下はあると思うがどうする?」


防具一つに金貨三枚は中々だろう。

本来リビングアーマーからは鎧と同等以上の価値のある魔石も取れるのだ。

一体倒すだけでもかなりの稼ぎになる。


「それだけ貰えれば充分だ。次に質問だがこの鎧何個まで買い取れる?」

「複数所持しているのか?」

「あと五十個程な。」


それを聞いて店員は驚いている。

櫓がBランクの魔物をそれだけ討伐する力を持っているとは知らなかったので、苦労の末に一体だけ討伐した物だと思っていた。


「そ、そんなにか。悪いがうちでは買い取れても十個と言ったところだな。需要はあるからオークションに出してみるのも良いかもしれないぜ?」

「マギカルでもオークションがあるのか?」

「ああ、入場出来る奴は限られてるけどな。俺は参加出来るから代行役で出品してもいいぜ?」


ロジック同様誰でも参加可能と言う訳では無い様だが、どうやら運が良いみたいだ。


「代行では無く同行させてくれないか?」

「兄ちゃんをか?うーん、問題が起これば同行させた俺の責任になるから、出会ったばかりの奴を同行させるのはな・・。」


しかし反応はあまり良くは無い。

それも当然だがこの店員は櫓の事について詳しく無い。

オークションには金持ちの貴族や商人等も多数参加するので、問題が起きてしまえば一大事だ。


「タダでとは言わない。こいつを幾らか参加費として寄付するって事でどうだ?」


そう言って櫓が取り出したのは恩恵の宝玉である。

ダンジョンから手に入る物の中でトップクラスに価値があると言っても過言では無い。


「恩恵の宝玉か、こいつは痛い所を突いてきやがるな。」


店側としてはどんなスキルであっても高額で確実と言っていい程売れる恩恵の宝玉は是非手に入れたい商品だ。

それが無償で一定数手に入るとなれば、儲けはかなり上がる事になる。


「当然問題を起こす気は無いが、口ではなんとでも言えるからな。俺がオークション参加に見出す価値はこれくらいだな。」


そう言って櫓は恩恵の宝玉を十個机に並べた。

櫓はそれだけ払っても参加したいと考えている。

ロジックで参加した時で分かっている事だが、この程度の出費を余裕で取り返せる程オークションは価値がある。

それに欲しい物が金さえ積めば入手出来るので、欲しいスキルの恩恵の宝玉を狙って手に入れられるのも大きい。


「十個だと!?」


その数に流石の店員も驚かずにはいられない。

最低でも金貨数枚で売れる物が十個分だ。

リスクを考えてもリターンは充分過ぎる。


「更に追加で恩恵の宝玉を売ってもいいぞ。」

「未だ持っているのか!?」


その言葉を聞いて店員の中で断る選択肢は消えていた。

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