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うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
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147話 初めてのAランクの魔物

ゴブリンキングを倒した櫓達の前に下に降りる階段が現れたので、それを使い十階層に移動する。


「今までの階層と作りが違いますわね。」

「大きい扉ですね。」


階段を降りた場所には三メートル近い大きさの巨大な扉があるだけだ。


「いかにもボスが居ますよって感じだな。」


扉の意匠も凝っていて、大きな虎が彫られており、物々しくも美しい雰囲気が伝わってくる。


「今までの階層の魔物よりは強いと思われますわね。」

「ううう、ちょっと怖いですね。」

「なら今回は前衛を俺とシルヴィー、後衛をネオンとミズナにしとくか。」


普段は実力的に少し劣っているネオンを鍛える為に前衛をさせる事が多いが、無理をさせてまで鍛えようとは考えていない。

それに他の人の戦い方を見る事も大事なのだ。


「危険だと判断したら撤退の指示を出す。俺が少し時間を稼ぐから全員構わず扉から九階層を目指してくれ。」


櫓の発言に一人は危険だからと否定的な事を言う者はいない。

このパーティーで最も速く動けるのは雷帝のスキルを持つ櫓だ。

魔力を多く消費するが奥の手を使いさえすれば、世界が止まったかと錯覚する程の速さで移動する事も出来るのだ。

速さに自信がある魔物でもその速度に平然と付いて来られる者は少ないだろう。


「じゃあ行くか。」


巨大な扉に手を当て押し開ける。

未だ扉を潜らずに中の様子を見てみたが、扉の向こうは真っ暗で広々とした空間が広がっている。


「こう暗くちゃ中の様子が分からないな。」

「あ、櫓様見えないですよね。中には今のところ何も居ないですよ。」


ネオンが中の様子を見ながら言う。

獣人は夜目が優れている者が多く、暗闇の中でも物の判別がしっかり出来るのだ。


「そうか、なら入ってみるか。」


四人は扉を潜って中に入る。

それなりに広い空間が広がっているが何も無いので随分と殺風景である。

すると突然壁際に設置されていた松明が順々に火を灯していく。


「ふえ!?ビックリしました。」

「中々凝った演出だな。」


ネオンだけが突然火を灯していく松明に驚いているが、他の者は辺りの警戒をしている。


「前方に魔法陣ですわ。」


壁際に設置されている松明が全て灯されてフロアを照らすと、大体中心部に巨大な魔法陣が浮き上がる。

その魔法陣から徐々に巨大な魔物が迫り上がってきた。


「でかいな、こいつがボスか。」


魔法陣から出て来た魔物は大型の虎の様な魔物であり、入ってくる時に扉に彫られていた絵とよく似ていた。

牙や爪が鋭く、掠っただけでも致命傷になりそうだ。

櫓は戦う前に情報を得るために調査の魔眼で虎を視る。


名前 ポイズンタイガー

スキル 毒吐息 猛毒の衣 咆撃

状態 平常


名前から危険そうだったが、スキルも危なそうな物を幾つか所持していた。


「ポイズンタイガーって名前の魔物で、近づけば毒の鎧を纏われる。離れれば毒のブレス攻撃や咆哮を使ってくる様だぞ。」

「ポイズンタイガーと言えばAランク指定の危険な魔物です。時間を掛けて戦えば戦う程辺りに毒が充満して不利になるばかりだった筈です。」


ネオンは魔物の解体についての本をよく読んでおり、魔物についてパーティーで一番詳しい。

ポイズンタイガーについても読んだ魔物の本に記載されていたのだろう。


「なら攻撃を仕掛けて来ていないうちに速攻で畳み掛けるぞ。各自遠距離攻撃の準備が出来たら同時にぶっ放してくれ。」


櫓は雷帝のスキルを足に纏わせて、ポイズンタイガーに突っ込む。

ネオンやミズナはスキルで即攻撃が出来るが、シルヴィーの遠距離攻撃となると魔法になるので、詠唱時間の少しだけ時間を稼ぐ為に、自分にヘイトを向けさせようとしたのだ。


「破脚!」


猛毒の衣と言うスキルが発動していないのを確認してから、ポイズンタイガーの胴体に魔装した回し蹴りを叩き込む。


「グルゥウ!?」


ポイズンタイガーは櫓の速さを目で追えていなかったのか、痛そうな声を上げながら蹴りをまともに受ける。

しかし少し身体を後退させただけで、ダメージはあまり期待出来なそうだ。


「魔装した破脚でこんなもんか、Aランクとなると一気に格が上がるな。」

「グルルルゥ!」


ポイズンタイガーは反撃とばかりに巨大な爪を振り下ろしてくるが、それを引き付けてからギリギリで躱す。


「櫓様準備出来ました!」


遠くからネオンの合図が聞こえて来たので、再度振り下ろされた爪を高くジャンプして躱す。


「豪炎弾!」


遠くにいても熱を感じる程の大きな火の玉をネオンが放つ。


「神断の刃!」


風を纏わせた槍を振り下ろし、全てを断ち切る風の斬撃をシルヴィーが放つ。


「水流砲・・・!」


轟音を唸らせ大量の水による極太のレーザーをミズナが放つ。


「極雷砲!」


ポイズンタイガーの真上に位置している櫓も両手に雷を纏わせ、荷電粒子砲の如きレーザーを放った。

するとポイズンタイガーは三人の方を向き、さっきまでの唸り声とは違う爆音の咆哮を上げ、引き起こされた衝撃波によって三人の攻撃を相殺する。

櫓の攻撃に対しては身体の上部分に猛毒の衣のスキルで毒を張り巡らせる事で雷を通さず完全に防いだのだった。

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