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うっかり女神に邪神討伐頼まれた  作者: 神楽坂 佑
1章 異世界転生
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30話 長期依頼はベッドが恋しくなる

「・・・んぅ、ふぁああ〜よく寝た。」


まだ日は出ておらず、焚き火の明かりが周囲を照らしていた。

櫓は大きなあくびをしながら目を覚ます。

次はネオンを寝かせて自分が見張りをする番なので、寝起きの身体を起こす。


「あれ?」

「すぅーすぅー。」

「見張りの途中で寝ちまったのか、まあ昨日は頑張ってたししょうがないか。」


ネオンは椅子代わりにしていた木に座りながら眠っていた。

本来見張りの最中に寝てしまっては、魔物や盗賊の接近に気付けず命に関わることになってしまうが、櫓は寝ていても気配や物音などに敏感で直ぐ目が覚めるためあまり気にしていなかった。

数時間経ち日が登り始めた頃にネオンも起きだす。


「・・・ふわあぁぁ、むにゃむにゃ。」

「おはよう、よく眠れたか?」


櫓に声をかけられて眠気が吹き飛び挨拶を返そうとするが、見張りをしていた時と姿勢が同じである自分の姿に気づく。

そしてよく考えてみると寝る前に櫓と見張りの交代をした覚えがない。


「・・・・・・。」


次の瞬間ネオンは櫓が人生の中で今まで見たことがないほど綺麗な土下座をしていた。


「す、す、す、すすすみませんでしたぁああ。」

「まあ落ち着け、何も責めてないから。」

「し、しかし見張り中に寝落ちなど・・・。」

「言ったろ?気にしてないって。次から気をつけてくれればいいからこの話は終わりだ。」

「うぅ〜すみません。」


最後に申し訳なさそうに謝ってから、気持ちを切り替えていつものネオンに戻った。

失敗した分は他の場所で補おうと考えたためである。

なおこの後昨夜の戦闘の話を櫓が持ち出して、自分の剣の状態を思い出し、再び綺麗な土下座を見ることになったりもした。

それから朝ごはんを食べて二人はギルドに向かった。

数時間ほどするとロジックの南門が見えてくる。

中に入る手続きを済ませそのままギルドに辿り着く。


「ようやくついたな、長期依頼なんて初めてだったから今日はベッドでゆっくり寝たいな。」

「毎日日帰りだと確かに久々に帰った感じがしますよね。」


二人は馬を返してからギルドの中に入る。

まだ昼を少し過ぎたくらいなので、冒険者の姿はほとんどない。

そのため中に入った瞬間櫓達に声がかかる。


「櫓君!ネオンちゃん!よかった〜。」


声の主はアリーネである。

受付の席で立ち上がって櫓達の帰りを喜んでくれていた。

二人が依頼で出発してから一日経つごとに不安が増していたので、その姿を見た瞬間に嬉しくなってしまったのは仕方ない。

しかし喜んでばかりもいられないと、二人を手招きして呼び寄せ早速ローガン山脈での調査結果を聞き出す。


「取り敢えず無事なようでよかったわ。」

「俺達なら無事に依頼をこなせると思ったから任せたんだろ?」

「そうだけどそれでも心配なものは心配なのよ。それで調査の結果はどうだったの?」

「単刀直入に言うぞ、ローガン山脈の岩場には魔人がいた。」

「!!?」


魔人と言うその単語一言で、大体を察してしまった。

ギルドの受付嬢は実際に魔物と対面する事はないが、知識で魔物の事を冒険者に色々と教えられるくらいには詳しい。

当然魔人が最低限Bランクの強さを持つことも知っていた。

そして櫓達が行く前にローガン山脈に行った者達のランクはC以下。

それでも万が一と言うこともあり聞かないわけにはいかない。


「櫓君達が行く前に行った冒険者達は?」

「全滅だったよ。」


受付嬢をしていると数日前まで楽しく会話していた冒険者が、数日後には帰らぬ人となるなんてことは珍しくない。

アリーネも何度も経験していて、今回も薄々気付いていたが、それでも多くの若い命が失われたことを知ると悲しい気持ちになってしまうのはしょうがないことだろう。


「冒険者達の亡骸は一応回収してきてはいるんだ。見た目は少しきついかもしれないが、それでも遺族なんかは最後に一目会いたいと思う人もいるかもしれないからな。」

「ありがとう櫓君。それはギルドの方でやっておくから、後でお願いしてもいい?」

「了解。」

「それと話が途中だったわね、続きを聞かせてもらってもいい?」

「魔人がどの程度の戦闘力か戦ってみないとわからないから、やばかったら逃げる事にして戦ってみたんだがなんとか勝てたよ。」

「流石ね、二人に頼んでよかったわ。」

「あともう一つあるんだが、魔人との戦いの影響で岩場に深い穴が空いてしまったんだすまん。」

「採掘場と言っても戦いの影響なら仕方ないわよ。」

「ふぅ〜、弁償しろとか言われるかと思ったぜ。」

「そこまでギルドもせこくないわよ。」


その後も雑談を交えて今回の依頼の件について話し合った。

依頼の内容があやふやな部分が多かったため、櫓達の成果を元に報酬などの依頼の内容も見直していく。

ちなみに依頼の達成具合の正確性を調べるため、過去を少しの間調べる事が出来る特別な魔法道具がギルドには置いてあるため、その道具を使えば櫓の魔人討伐発言が本当であるかどうかもわかる。

冒険者の亡骸もギルドに預かって貰った。

遺族から何かお礼が来るかもしれないとアリーネが言ってきたが、そういうためにしたことじゃないから受け取るつもりはないので立派な墓でも建てるために使ってくれと答えた。


「じゃあ今回の調査の依頼は本来は受けれないBランクだったんだけど、事情が事情だから特に問題はないってことにしておくわね。そして無事達成ということで、報酬の金貨十五枚ね。」

「やはりBランクともなると報酬がすごいな。」

「やりましたね櫓様!」

「本当にお疲れ様二人とも。」


櫓達のパーティではCランクまでの依頼しか受けれないため、アリーネから受け取ったBランクの報酬の多さに喜びを隠しきれない二人であった。

閲覧ありがとうございます。

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