幽霊とは憑依出来るものみたいです。
ドラゴン様との奇跡的な共感を体験した後、様々な事を教えて頂きました。
曰く、グリフォンの肉は鶏肉と獣肉の中間のような食感であるとか、街道はあるものの人の住む場所はかなり遠くであるとか、この辺はドラゴンにとっては良い狩場だけど人間にとっては戦地の方がまだ生存確率が高い場所であるとかです。
・・・生きたまま転移してきたとしても、すぐに死んでいたでしょうね。
色々と教えて頂いた序でに、例の石についても聞いてみましょうか。
もう死にようがありませんが、SAN値は守りたいですし。
「そういえば森で石化して砕かれたような鳥っぽい石が転がっていたんですが、心当たりあります?」
『うむ。実際に見てみないことには断言出来んが、おそらくはコカトリスの縄張り争いの敗者だろう。ちなみに奴らの肉は旨いぞ?』
後半の情報要らないです。
しかし、コカトリスと言えば敵を石化させる力を持った巨大な鳥ですよね?
そんなのが闊歩してるんですか、あの森は。
ドラゴン様はどうやらコカトリスが好物らしく、グルメリポートに夢中になっております。
「私としましては安全な場所、それこそ人のいる場所に行きたいのですか、近くまで運んで頂く事は・・・出来ませんよねぇ・・・はぁ・・・」
独り言と共に溜め息を洩らしてしまいます。
どうせなら平和な場所で幽霊ライフ送りたいのですよ。
まぁ、ドラゴン様からしてみればメリットなんてありませんし、運んでなんか頂けませんよね。
『ん?別に運んでやっても良いぞ。だが、お主は本当にそれで良いのか?』
「・・・どういうことです?」
『お主は幽霊だろう。人間に見られれば浄化されるのがオチだ。まぁ、消えたいのなら、それで良いのだろうがな』
なるほど。そりゃ人からしてみれば幽霊も十分に恐怖の対象ですもんね。
一人寂しく人気のない場所で暮らすしかないんですかね・・・。
「消えたくはないです。かと言って、このまま一人寂しくと言うのもお断りしたいのですが・・・良い案ありませんかね?ないですよね。はいはい解っt『あるぞ?』・・・あるんすか!?」
ドラゴン様からまさかの発言!!
是非、お聞かせ頂かねば!!!
『何かしらの死体に憑依すれば良い。ものによっては人間の住み処は無理でも、その近くで暮らすことは出来るだろう。注意点としては、あくまでも動く死体でしかないからな。長い間使っていればいずれ腐る。時折、身体の交換が必要になるな』
なんと言うか、実に幽霊らしい生き方(?)ですね。それ。
『む?こんなところにグリフォンの身体があるなぁ・・・・使うか?』
ドラゴン様はニヤリとして言いますが、そんな怪物の身体で人に近づいてもダメでしょう。
・・・ここはお断りするのが吉ですね。
「いえいえ、それは貴方様のご飯でしょう。私なんぞウサギか何かの身体で十ぶn『ワレ。オナカ。イッパイ。コレ。イラナイ』アッハイ。サヨウデスカ」
逃げ場断たれました。
でもグリフォンは嫌です。
もっと可愛いのが良い。私としましては角ウサギも捨てがたいのですが、森でチラ見した大きめのリスなんかも良いですね。・・・噛っているのがドングリではなく動物の頭でさえなかったならば、ですが。
『因みにこの辺に居るのは、どいつもこいつも人間にとっては驚異だからな。ウサギもコカトリスもグリフォンも扱いに大差ないぞ?』
おおっと!?どうやらウサギにも様を付ける必要がありそうですよ!?・・・シリタクナカッタ。
『なに。人間の住み処の近くまで飛んで行って、その近くで新たな身体を見つければ良いのだ。いわば間に合わせだ。今は変に拘るな』
「貴方が天才・・・いえ、神でしたか!」
ドラゴン様の素晴らしい案に感動です。
しかし、問題があることに気付いてしまいました。
「ところで、なんですが・・・」
『む?』
「憑依ってどうやるんですかね?」
『生きている我に聞かれてもなぁ・・・。幽霊仲間にでも聞いてくれ』
もしくは気合いでなんとかしろ、なんて言われましたが、どうやらまだ人の居る場所には行けそうにありません。
幽霊仲間?人の居ない場所に居るわけないでしょう。(笑)