計画通りです
つい思いついたので書いてみました。
幼馴染とのほのぼの恋愛もの? のはず?
「あなたが好きです。私と恋人になってください」
16歳の誕生日の夜、真剣な表情で幼馴染が告白してきた。
俺と幼馴染は同じ年に産まれ、今までずっとの付き合いだ。
両親がお互いに仲の良い友達同士で、隣に住んでいる。
家族ぐるみの付き合いだ。
お互いの両親たちは、よく俺たちの仲をからかってくる。
そのたびに幼馴染は顔を赤らめ、俺はそっぽ向いたものだ。
俺と幼馴染はずっと一緒に過ごしてきた。
まるで空気がそこにあるように一緒にいるのが当たり前の存在だった。
幼馴染はしっかりしていて、きちんと計画を立て、実行し、結果を出す性格だった。
夏休みの宿題など、俺は後で済ませたいタイプだが、幼馴染によってはやめに終わり、その後の休みを満喫していた。
そういった意味では感謝している。
幼馴染は美人というよりは小柄で可愛い部類だ。
美少女とまでは言わないが、男どもから見たらクラスで上位に入るだろう容姿である。
きちんとしているが、それを俺以外の人に強要することはなく、人付き合いもよい方だ。
部活の時は一緒にいないが、それ以外では常に俺と一緒にいるため、付き合っているとみんなに思われているらしい。
幼馴染といっても朝起こしてくれるわけではない、お弁当は作ってくれるがあーんとかしているわけではない。
といってもとても気が利く女である。俺が忘れ物をしている場合、登校途中で気が付いたりしてくれる。
アレ取ってとか言ってもすぐに分かってくれる。まぁ、俺も幼馴染がアレコレと言ったら分かるんだけどな。これも付き合いの長さのなせる業だ。
登下校はいつも一緒で何気ない話をいつもしている。
帰りはお互い部活の時間があるので、ずれるときは連絡して一緒に帰っている。
俺たちが付き合っていないと知った男どもが、たまに幼馴染に告白していると聞くと、
胸の奥がむかむかしてくる。別に付き合ってないから幼馴染が誰と付き合おうが自由だと思ってもむかむかしてくる。
しかし、幼馴染は誰の告白も受けなかった。
聞くところによると好きな人がいるらしい。それを聞いて俺はもやもやするのだった。
誰が好きかと聞いても秘密だとはぐらかされる。
なおも俺はもやもやする気持ちで過ごすのだった。
幼馴染のことは好きかって? 勿論好きだ。でも一緒にいるのが当たり前過ぎてそれが恋愛感情なのかどうか俺にはわからなかった。
高校は近くにあるところを選んだ。無論、通学に楽だからだ。
幼馴染も同じ思いなのか同じ高校に通うことになった。
そんな関係の俺と幼馴染だったが、幼馴染の誕生日が近くなった。
今までずっと祝われたし、祝ってきた。
プレゼントを選ぶのはいつも迷う。
祝ってくれる気持ちだけで十分だよと言われているが、かといって何もなしは、流石にない。
幼馴染に似合いそうな小物をプレゼントすることにした。
誕生日だったが、その日、幼馴染は昼は女友達と、夕方から夜にかけては家族と祝うらしい。
俺も幼馴染の家族と一緒に祝おうと言ったが却下された。
なぜだか知らないが、今回は夜に俺の家で俺と俺の妹と祝われたいらしい。
まぁ、主役は幼馴染だ。彼女がそうしたいというなら従おう。
そんなこんなで誕生日の夜、俺は妹と二人で幼馴染を祝っていた。
俺の両親たちは、残念ながら泊りで出かける予定があったそうだ。
俺の部屋で祝われたいとのことなので仕方なく綺麗にした。
たまに幼馴染は俺の部屋を漁ってHな本を処分していく。
どこに隠してもなぜか全部見つかってしまう。
抗議しても妹や両親に見せるぞと脅迫されるので、仕方なく諦めていた。
最近は妹が部屋に夜中まで入りびたるし、部活もハードで疲れ切ってすぐに寝てしまう。
なので欲求不満気味だった。
妹がごゆっくりと言って、嫌らしい笑みを浮かべて部屋から出て行った。
部屋で二人きりになった。
いつも二人でいても気にならなかったが、今日だけはなんだか落ち着かなかった。
そうしてまごまごしていると、幼馴染が真剣に俺に告白してきたのだった。
正直、衝撃だったしパニくった。
しかし、真剣で真っ赤な顔をした幼馴染に対して、俺は真剣に答えなければならないと思った。。
「正直自分の気持ちがよくわからない。でもおまえとはずっと一緒にいたし、これからもずっと一緒にいたい。離れることなんて考えられない」俺は正直な気持ちを言った。
幼馴染は、うれしい、と言いながら、抱き着いてきた。
ちょっと泣いていた。
胸に幸せな感触が伝わる。幼馴染の甘い匂いがする。
成長したなぁとこの場にそぐわぬ不謹慎なことを考えた。
幼馴染と抱き合っていたら、欲求不満だったせいか大きくなってしまった。
それに幼馴染に気がつかれてしまった。
幼馴染は真っ赤に俯いていたが、顔を上げ言った。
「男の子だから、しょうがないよね。それに……もう恋人同士だし。今日は安全な日だからいいよ……」
部屋に恋人とふたりっきり、両親も泊りでいない。
我慢する理由がなかった。
俺たちは愛し合った。
幼馴染は俺の部屋に泊ることにし、俺たちは一緒になって寝たのだった。
翌朝、すでに着替えを終えた幼馴染に起こされた。いつの間に着替えを持ってきていたんだろうか。
朝ごはんということでリビングへ行くと、なぜか両親と妹が揃っていた。
「昨日はお楽しみでしたね」妹が嫌らしい笑みで言う。
俺はスルーしたが顔はおそらく赤くなっている。幼馴染も真っ赤である。
「なんで母さんたちがいるの? 泊りだったって聞いてたけど?」俺は両親に問いかけた。
「思ったより早く用事が片付いたからね。夜中になったけど家のほうがゆっくりできるし、帰ってきたんだよ」
なんだか曖昧で変な返事が返ってきた。
「それよりもうまくいったみたいだね。良かったね! お義姉さん!」妹が幼馴染に抱き着いて言う。
んん? こいつらグルだったのか?
「私たちのことを本当の親みたいに思ってくれていいのよ? 今回みたいになんでも協力するからね?」母さんが幼馴染に言う。
んんん? 今回みたい……だと?
「いやぁ、幼馴染ちゃんがこいつと恋人になってくれるなんて、娘が増えたみたいでうれしいなぁ」父親がのんきなことを言う。
まさか、こいつら全員……。
そんなときメールが入ってきた。部活の友人からだった。
【うまくいったみたいだな。ようやく、くっついたか。おめでとうございますwww】
ちょっとまて、昨日の今日だぞ! なぜもう知っている。
【勿論、幼馴染ちゃんに協力してたからだよ。最近部活がかなりハードだったろ?】
なんだって!? 俺は幼馴染を振り返る。幸せそうな顔をしていた。
「最近、夜中まで頑張って邪魔してた甲斐があったにゃあ」妹が言った。
バカな!? ということは、最近欲求不満だったように仕向けられていたのか!?
そういえば夕べの食事も精がつくものが多かった気がする。
幼馴染はしっかりしていて、きちんと計画を立て、実行し、結果を出す性格だった。
俺は一つだけ、どうしても気になったことがあった。
「安全な日ってのは……、本当……、だよな?」
俺は声が震えるのを止められなかった。
「計画通りです」
答えにならない返事を幼馴染はニッコリと笑って言った。
いったいどんな計画だったのか、俺は怖くてそれ以上聞くことができなかった。
これもヤンデレというのだろうか。
ホラーってタグに入れた方がいいのかな?
根回しって大事だね! っていうお話。
お互い好きな同士が結ばれる。まさしくハッピーエンドですね( ゜∀゜)