第十三話 大鷲(eagle) 大神夏煌、辰姫紅壱により一層、懐く
着実に召喚した怪異と契約していく紅壱
悲鳴を聞き付け、愛梨の元へ瞬動法で駆けた彼らと遭遇したのは、常識外れな長さと太さを誇る蛇であった。足のない生き物が大の苦手である愛梨は失神していただけであり、戦闘は辛うじて免れる
人語を解せる大蛇と契約を果たした紅壱は、瑛と共に次の怪異の元へ急ぐ
果たして、夏煌の元には、どんな姿の怪異がいるのか、走りながら楽しみになってしまう紅壱であった
間隔が一定以上は広がらなくなり、「大神の気配だ!」と瑛が叫ぶのと、紅壱が自分の中の『空白』になっている箇所が小刻みに震えたのは、ほぼ同時だった。
(ナツも見つけてくれてたか)
もう、どんな奴がいても驚くまい、と考えていた瑛と紅壱だったのだが、やはり、それを見た時には一瞬だけだが、目を見開いてしまうのだった。
予想通り、そこにいた霊属の大きさは規格外だった。
「こ、今度は鷹か」
その鷹は軽トラックならば余裕綽々、鋭い鉤爪で掴んで持ち上げられそうなパワーを秘めているのが丸分かりの巨体で、翼も広げたら10mは有に超えていそうだ。片方だけでも全力で振り抜かれたら人間など立っていられず、容易に吹きとばされ、舞い上げられてしまいそうだ。
だが、二人を戸惑わせた光景は予想と違うものだった。
休憩所の屋根の上に止まっている大鷹は鋭い目つきで夏煌を見下ろし、夏煌はそんな大鷹に委縮するどころか、心の底から羨ましそうに見上げていた。思い返せば、辰姫に向ける瞳も、そんな感じだ、と瑛は気付く。手の届かないモノへの、純粋な憧れ、その色が夏煌の澄んだ茶色の瞳に宿っていた。
周囲の損害が皆無なことから考えても、大鷹は実体化してから夏煌を襲ってはいないようだ。むしろ、妙に羨望の色が強い彼女を気味悪く感じ、触れられないように屋根の上でジッとしているようにも思える状況であった。
「大神、無事か?」と、瑛は念のために確認する。
ジッと大鷹だけを見つめていたのだろう、夏煌は二人が来ていた事にも気付いていなかったようだ。瑛が声をかけた途端、派手に肩が跳ね、動きが乏しい筋肉が「驚き」を作る。
「・・・・・・」
オーバーアクションで深呼吸を繰り返し、落ち着きを取り戻したらしい彼女は、自分から紅壱へ視線を移している大鷹を指差す。
「見張っててくれたのか? 俺たちが来るまで」
少し躊躇ってから、ぎこちなく頷いた夏煌の頭を少し乱暴な手つきで撫でた紅壱は尖った犬歯を剥き出すように笑いをこぼす。一方で、瑛は夏煌が乱れた髪を直しながらも、紅壱の手が乗っていた箇所に手を当てて、口の端を緩めているのに気付き、感情が乱れていた。その波形は驚きではなく、苛立ちに近く、何故、自分は今、大神にイラッとしたんだ、と瑛は戸惑う。
(何なんだ、このモヤモヤは・・・・・・もしや、これは「嫉妬」か?!)
自身が生まれて初めて、異性の後輩に対し、妬みの念を抱いてしまった事に瑛が愕然としているとも気付かず、紅壱は夏煌の横にしゃがみ込み、彼女と目の高さを合わせてから聞く。
「デカい生き物が好きなのか?」
コクリ、と頷く夏煌。
「――――――・・・羨ましいのか?」
「・・・・・・」
先程よりも大きく頷く夏煌。そんな彼女の煌めく双眸は、丹念に研ぎ、切れ味を良くした曲刀を思わせる。
紅壱はふと、音桐荘の近くの家で飼われている小型犬の姿を重ねてしまう。体の小ささは元より、自分に対し、好意を全く隠しもしなければ、惜しみもしない点は、実にそっくりだ。
「大丈夫だろ、これから大きくなる可能性だってある」
そう紅壱が言った刹那、素早く胸を両手で覆った夏煌の両耳の縁が赤らむ。
隣の夏煌にはわずかに潤んだ瞳で、背後の瑛には般若が見えそうなほど濃厚な怒気を孕んだ眼で睨まれ、紅壱は慌てて、「背、背だよ、俺が言ってるのは」と弁解する。ちなみに、言い訳しつつも、今後、成長の兆しが現れそうもない胸からは視線を逸らしていたのだが。
「さて」と誤魔化すように咳払いした彼は頑健な意志が宿る瞳に、自分の頬に注がれているそれに勝るとも劣らない鋭い眼光を燈らせて、大鷹を見上げた。
そうして、彼が「来い」と言わんばかりに顎をしゃくると、大鷹は空気の層を叩き打つように翼を広げ、ゆったりとした動作で三人の前に降り立った。閉じる動作で空気が震え、彼らの髪がわずかに乱れてしまう。
(め、目の前に来られると、迫力が段違いだな)
巨体、鋭い目つき、猛禽類独特の雰囲気、瑛はその長身にビシビシと当てられる圧迫感で無意識に後退しそうになってしまうも、辛うじて堪える。一方で、大鷹を召喚した紅壱は鷹揚とした風体で、大鷹を細部まで目で確かめ、強さを推し量っていた。彼の隣では、夏煌がその巨体に抱き付き、顔を埋めたい衝動を、その小さな身の中に押し込めているから、プルプルと震えていた。
「ぉ」
自身が放つ圧迫感を跳ね除けるように、意識して闘気を剣呑なものへ変えて全身から放った紅壱に、トントンと地面を軽く蹴りながら近づいてきた大鷹は、彼の厚い胸板を尖った嘴で軽く打ってきた。
『遅イッスヨ』
「ッッッ」
本鳥は軽めのつもりなのだろうが、体重差は相当にあるのだ。さすがの紅壱も衝撃に耐え切れず、何歩かは下がらされてしまう。しかし、真に驚くべきは、鉄板にすら穴を開けられそうな、鋭く尖った嘴が「ドンッドンッ」と当てられたのに、シャツこそ破れど、出血すらしなかった紅壱の逞しい大胸筋であろう。
思わず、後輩と同級生の熱い胸板をガン見してしまう女子二人を他所に、紅壱と大鷹を会話を続ける。
『待チクタビレタッス、オイラ。
ヤット、君ノ中カラ召喚サレタト思ッタラ、待チ惚ケ食ワサレテ、アノ嬢チャンニ、ジット見ツメラレテ、息ガ詰マッタッス』
「そら、すまん」
紅壱が大鷹に頭を下げた事で、夏煌は自分が精神的な不安を強いていた事実に気付いたのだろう、彼女も申し訳なさそうに謝罪の姿勢を取る。
『構ワンッス。オイラハ、バカネコト違ッテ、器ガデカイッスカラ』
値踏みと愚痴りが済んだのだろうか、大鷹は握手でも求めるかのように右の翼を、後で痣がいくつも浮かび上がってくるであろう、己の胸を擦っている召喚者へ突き出してきた。
握った途端、紅壱の脳味噌に直接的な画像として、大鷹の望む物が浮かび上がる。
(週一で一時間、自由に空を飛びたい、か)
『無理ッスカ?難シイナラ、隔週デモ我慢スルッス』
足元の雑草が倒れている事からも判るように、今、この大鷹は重さがある肉体を得ている。つまりは、生物に憑依するしかないエネルギー体の時とは違い、魔術を使えない一般人にも「見えてしまう」だろう。目の錯覚だと思われれば良いだろうが、警察に通報されてしまったり、自衛隊のレーダーに感知されたりしたら、一大事である。
(だけど、この巨体だし、そもそも、生き物じゃないわけだから、一般的な常識の範疇に収まる速度で飛んだりはしねぇんだよな)
高度3000mで亜音速は軽く出せそうだ。そうなれば、地上からの狙撃はまず不可能だろうし、大抵の戦闘機は振り切れるだろう。
問題になったら、その時、考えればいい、と半ば投げ遣りに結論を出した紅壱は右の親指と人差し指をくっつけてみせた。
途端、大鷹から歓声と一緒に、『喜』の感情がヒシヒシと伝わってきた。
空の王者の貫禄が満ち出ている精悍な雰囲気が緩んだわけではないが、確かに感じた紅壱も口の端を吊り上げる。
『ジャ、契約ッス!!』
大鷹は嘴により紅壱が手の甲を突き破られた痛みをわずかに覚えたのと同時に、面々の前からその大きな姿を一瞬で消した。
彼が穴一つどころか血の一滴すら出ていない手の甲から上腕部へ目を移せば、新たに鷹を連想させる薄紫色の痣がハッキリと浮かび上がっていた。やはり、欠落感が和らいでいる。
(残るは一体か)
「これで四体だな。蜘蛛、鰐、蛇、鷹、と来た。次は何だろうな?」
瑛は召喚者である紅壱よりも、ワクワクしているようだ。ニヤニヤを堪え切れていない瑛に苦笑いを漏らしつつも、胸が弾んでいるのは同じだった彼は「さて、何でしょうね」と淡々とした口調で返すに留める。
「虫系、水棲系、爬虫類、そんで、鳥類と来てる訳ですから、もしかすると、次は四つ足の猛獣ですかね」
大鷹は先ほど、「バカネコ」と言っていたので、可能性は高いだろう。ただ、普通の猫じゃあるまい。普通に大きい猫であるはずもない。それを踏まえて考えれば、最後の一匹はアレだろう、と紅壱は背筋に寒いモノを覚える。
(熊はあるけど、これは森の中でバッタリってコトが、まだねぇからな)
「うむ、ありえる」と、瑛は彼の推測に首を力強く振った。
「よし、一度、鯱淵先輩とエリがいる地点まで戻ってから、豹堂の所へ向かおう」
冷静さと自分のペースを取り戻している瑛の言葉に、紅壱は一度は首を縦に振りかける。けれど、躊躇いの表情を浮かべたかと思いきや、視線を足先を恵夢と愛梨―ちなみに、まだ、愛梨を大蛇への恐怖と、紅壱の顔を見られない、そんな羞恥心が交互に襲っており、大樹の下に蹲り、恵夢は声にならない嗚咽を漏らしている後輩を優しく慰めていたーのいる場所へ向けていた瑛からズラし、あらぬ方向を見詰め、舌打ちを発した。
「いや、俺、先に一人で行っててもいいですかね・・・ちょっと悪い予感がするんで」
それは、単なる勘だったが、最後の一体は今までとは違い、骨を折られそうだ、と紅壱は予想していた。
だからこそ、彼はニヤけてしまうのだった。一人で向かうのは、もちろん、瑛と夏煌を危険な目に遭わせたくないからだが、楽しみを奪われたくないのも本音だった。
(それに、マジになっちまった時の面も見られるわけにいかねぇしな)
瑛は彼の言葉に眉をきつく寄せたものの、しばらく考えてから、「よし、許可しよう」と鳴がいる筈の方角を指す。
「・・・・・・」
紅壱の険しい表情に心がざわついたのか、それとも、彼同様に鳴の身に及んでいる危険を感じ取ったのか、夏煌は膝の曲げ伸ばし運動をする紅壱のシャツの裾を、小さな手でキュッと掴んだ。
自分の背後を簡単に取られた事は驚きだったが、何故か、いつもより、夏煌は存在感を強めていたので、紅壱は反射的に裏拳を繰り出さずに済んだ。
「どうした?」
そう、極力、優しい声で、紅壱は彼女が自身を引き留める理由を尋ねるも、夏煌は「行かないで」と目で訴え、ぐずる幼女のように首をしきりに左右へ振る。
困り果ててしまう紅壱。夏煌の行動に決心が揺らがないでもないが、鳴の事も気がかりだ。しばし、虚空を見上げて悩んだ紅壱だったが、「ふぅ」と一息を吐いた際には、もう、鳴の元へ急ぐことを決めたらしく、「心配してくれて、ありがとな」と、夏煌の頭を再び、優しく撫でる。
掌から伝わってくる仄かな熱で、夏煌の瞳はより一層に潤み、裾を抓む指にも力が入る。しかし、これ以上、ゴネると紅壱に嫌われてしまう、そう、瑛に裾を離すように促される事で思い至ったようで、迷いながら、細い指を一本ずつ、シャツの裾から離していった。
「じゃ、お先に」と小さく下げた頭を元の位置へ戻したか戻さないかの刹那で、紅壱は二人から相当な距離を開けた。既に、高速移動の初歩を極めつつある後輩に、一つ軽々しい口笛を漏らしてから、瑛は夏煌を伴って彼とは反対方向に駆け出す。
(そうか、これが後ろ髪を引かれる、か。胸は痛いが、どこか嬉しさもある。
本当に、彼は私が知らなかった事を教えてくれるな)
麻痺系の毒が滲み出ていそうな茨が生い茂っていた道を迂回し、時間をいくらかロスしてしまった紅壱。毒を持つ蜘蛛、蛇と契約できているので、悪影響はないかもしれない。だが、魔王の一部が封印されている森に生えている植物だ、警戒するに越した事はない。
厄介だな、刺々しい舌打ちを漏らしつつも、紅壱は自身の予想が正しい事を確信していた。
(森全体に、術が張り巡らされてるな)
全貌までは、素人である紅壱には正確に把握できないものの、術がかけられている、その独特の気配はハッキリと感じ取れるようになっていた。これは、四体の霊属と契約を成功させたからに他ならないだろう。
この森に施されている術は、恐らく、感覚を狂わせるものの類だな、と周囲に気を配りながら、紅壱は推測する。
狭い森を方向感覚と距離感を狂わせる事で、広大に感じさせているのではなく、実際にこの森は相当に広いのだろう。総面積は、どれほどなのか、想像もつかない。少なくとも、学園の敷地の半分は占めているに違いないだろうが。
魔力の無い、もしくは有っても使い方を知らぬ一般生徒が足を踏み入れてしまったら、逆に術の効果で森は広く感じず、同時に、足が自動的に最短かつ安全なルートを選択するようになっているのだろう。
魔力を持っていて、なおかつ、使い方は知っている上で、何らかの邪念を抱いて、森に足を踏み入れた不届き者は術により、正しいルートを歩めず、半永久的に遭難させられるに違いない。下手をすると、命も奪われるのではないか、と紅壱は後ろの冷えた首を自然と竦めた。
姿こそ見えないが、間違いなく、この森には幻術を得意とする魔属が存在しているようだ。そこらかしこから好奇心丸出しで見られている時特有の、くすぐったさを伴った感覚があり、時折、「クスクス」と可笑し気な笑い声も微かに聞こえる。
瑛らが気付いていないハズはないので、何らかの契約を結び、この森に術を展開しているのか、と紅壱は自身の推理に説得力が生まれ、幾度も頷いた。
魔力の使い方に関しては素人な自分は、瑛から幻術の対処法を教わっていない。だけれども、今、自分は魔属が発動している術の影響を受けていない。森の広さを把握し、自分の意志でルートを選択でき、目的地へ全力疾走できているのが良い証拠だろう。
生徒会の一員である事を証明する、胸につけたバッジをつけている事で、対象から除外されているか、もしくは、魔王の依代ゆえにレベルの低い幻術が効かないのかもしれないな、と紅壱は頭で色々な事を推測しつつも、足は依然として軽やかに動かし、大地を力強く蹴って、前だけに進む。
凹凸の激しい道での全力疾走が三分ほど増えたところで尽きてしまうような体力ではなかったから、彼の呼吸はさほど乱れていなかった。
むしろ、足をどう動かせば、無駄なく加速力に変換できるか、を把握し始めていた紅壱は、今までになく体が軽く感じた。
(なるほど・・・確かに、この走行技術は極めて、なおかつ、風を操作する魔術も使えたなら空中も走れそうだな)
空気がケーキのスポンジのように、色や厚みが異なっている何重もの層であるのを素直に受け入れる事が出来たのなら、足場にするのは容易い、と生徒会メンバーの中で唯一、空中歩行を使える瑛は「常識だ」と言わんばかりの顔で彼に語った。だが、魔術のイロハも少ししか教わっていない紅壱には理解も納得も難解だった。
説明の内容、それ自体は頭の中でぼんやりと想像できた。だが、いざ、実行に移すとなると勝手が違ってくる。空気の層を蹴りつけたつもりでも、足は空を切ってしまい、そのまま地面に無様に落ちるのを何回も繰り返した。
無謀なチャレンジを、傷だらけになりながら繰り返す彼を、瑛は感心した表情を見せながらも、「どうして、出来ないのか?」、口に出さない分、ハッキリと伝わってきてしまう、そんな不思議そうな揺らめきが起きている瞳で見つめていた。
この時ばかりは、紅壱はさすがに、彼女との間に大きな溝を感じてしまった。
悪意があって浮かべている訳ではないのは、彼女と少し付き合えば分かっていたから口にこそ出さなかった。それに、「アンタは弱者の気持ちを、もう少し理解しようと努力すべきだ」と噛み付く気すら浮かばなかった。こんな完全には程遠い、チグハグな部分がある、だから、紅壱は瑛に惹かれているのだ。そして、鳴はそこに気付かないほど、瑛に心酔してしまっている。
(カリスマ性ってのは、実におっかねぇな。
いっそ、離れた方が、豹堂は成長できるんだろうが、無理だろうなぁ、あの調子じゃ)
大きな石が進路を塞いでいる事に気付き、彼は近場の木の幹を折らないように力加減し、三角飛びの要領で石をパスし、先を急ぐ。
鳴の気配を察知したのは、それからすぐだった。
アッチから感情を剥き出しにして突っかかってくる事が多いから、コイツの気配が一番に感じ取り易いな、と目元に苦笑いが浮かびかけた寸前、紅壱は髪の毛だけでなく、全身の毛が一気に逆立ってしまう。
その感覚を、紅壱は知っていた。それは命を脅かすほどの相手が自分の察知領域に入り、逆に、自分も相手の知覚範囲に踏み込んだ事を意味していた。
勢いも良く開いた毛穴から体液が滲み出してくるのを感じながら、紅壱は一秒でも早く鳴の元に辿り着けるように、一瞬でも速く走れるように前傾姿勢を取ると、まるで一発の弾丸のごとく、一直線に強烈な気配を目指す。
夏煌に見張られていた怪異、それは巨大な鷹の姿を取っていた
小さな体から妙なプレッシャーを放っていた夏煌からの熱い視線を受け、大鷹は紅壱を待っている間に、随分と疲れてしまっていた
紅壱により強く好感を持つ夏煌に、瑛は心の奥底に嫉妬が芽生えるのを感じ、驚いていた
大鷹とも契約を果たせた紅壱は、単身で鳴の元へ急ぐ
森の秘密を理解しながらも、鳴に及びつつある危険を感じ取り、自然と紅壱のスピードは上がる・・・