表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハニームーンの卵~炎竜と言霊使い~  作者: 伊藤ひおり
始まりの旅
13/119

離れ

「悪いっ!俺はどうやら、この職業に出会う為に生まれてきたみたいだ!」

 その言葉を同意と受け取った長老は、指示を出してコウキの縄を解かせた。

 体の自由を取り戻し、コウキは伸びをして体のあちこちをパキパキ鳴らす。

「あ~やっと楽になった。んじゃ、さっそく案内してもらおうか♪」

「ちょ、ちょっと・・・っ!」

「本気で言ってるのかコウキっ!!」

 本当にこのまま行くつもりなのかと慌てたリンとミルアを、コウキは一瞥した。

「当たり前だろ?殺されるより、ハーレムに決まってる。ま、お前らも運が良けりゃ死にはしねーだろ」

 あっさりと言い捨てて納屋から出ていく後ろ姿を、二人は呆然と見詰めた。

 納屋から出る瞬間、コウキはちらりと振り返って言った。

「・・・ああ、そいつら喚くとうるせぇから、猿ぐつわでも噛ませといた方がいーよ?」

「・・・っ!」

「こらっ!コウキお前むぐっ!」

 コウキの助言に従って、老人はリンとミルアに布切れを噛ませた。

 ミルアは抵抗していたが、呆然としたリンは無抵抗のままだった。

 口を封じられて扉を閉められ、足音が遠くなるのを聞きながらリンはぎゅっと瞳を閉じた。

(・・・口が弱点って、知ってるのにっ・・・!)

 知っていて、わざと口をふさぐよう言って言ったことが信じられなかった。

 このままでは、リンは何もできない。


 コウキはそのまま長老に連れられ、屋敷の離れに案内された。

「この中に、村の女達を集めた」

 本当にこの老人は本気なのかと半ば呆れながらコウキは口を開く。

「本当に俺みたいな流れ者でいいのか?」

「構わん。今の時代に必要なのは強さじゃ。強い子を作ってくれ」

「はぁ・・・」

 曖昧に頷きながら、コウキは長老の後について離れに入った。

 中にいた女達の視線がコウキに集まる。

 その視線にコウキはふむと考える。

(やっぱりな・・・。どう見ても「きゃ~男~♪」「私が先よ~♪」って雰囲気じゃねぇよな)

 中には当然、怯えた目をした娘もいた。

「皆、子を孕むまでここから出ん覚悟じゃ。さぁ」

(・・・「さぁ」って言われても・・・)

 そのまま動こうとしない長老に、コウキは渋い顔をした。

「んじゃじーさんは出てってくれよ。やりづらいだろ?」

「・・・・よかろう。頃合いを見て、食事を持ってこよう。・・・あの娘たちは、明日の朝には売り飛ばすからな」

 コウキは笑みを浮かべた。

「ああ、好きにしてくれ」

 コウキの返事に長老はうむと頷き、離れを出、外にいた老人たちに目配せをする。

「・・・見張れ」

 老人たちに命じ、長老は自分の屋敷の中に入っていった。

 長老が扉を閉めたが、鍵までは掛けられなかったと確認したコウキは、女達へと向き直る。

 びくりと震えて身をすくませる女達を見て、コウキは苦笑した。

「・・・え~と、先に言っとくけど、俺そういうつもりで来たわけじゃないから。ちょっと話聞かせてくれないか?」

 突然やって来た見知らぬ男に怯え警戒していた6人の女達は、コウキの言葉と態度を見て顔を見合わせた。

 もう一押しとコウキは続ける。

「ここの村長さん、ちょっと考えが行き過ぎなんじゃって思うんだけど、前からそうなのか?」

「・・・・いいえ、違うわ」

 顔を見合わせ、目配せし合った女達の中で年長と思われる女が代表して答えた。

 コウキより4~5歳ほど年上だろう。

 答えてくれたことにコウキはホッとする。

「違うっていうと?」

「・・・戦争が始まって、男達がいなくなってからよ。村長が異常なほど、この村に執着するようになったのは」

「村長だけじゃないわ!他の老人たちもよ・・・」

「村の存続の為に手段を選ばなくなって・・・」

「言う事を聞かない娘は、反逆者として売り飛ばすって!」

 次々に話出した娘たちの話を聞きながら、コウキはなるほどと頷く。

 集めたられた娘の中には、夫や婚約者が戦争から帰ってくるのを待っている者もいた。

 今まで誰も聞いてくれる相手がいなかったのだろう。

 一度話し出したら止まらなくなった女達の声を、コウキは辛抱強く聞いた。

「・・・・もうひとつ聞いていいか?村を水害から守ってくれてた守り神って?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ