表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハニームーンの卵~炎竜と言霊使い~  作者: 伊藤ひおり
始まりの旅
1/119

プロローグ

初めまして。

初めての投稿です。

気ままに連載していきたいと思います。

よろしくお願いします!

 出会いは、凶暴化したモンスターの群れの真っ只中だった。

 森のなかで次々と襲いくるモンスターを倒すのにも、いい加減飽きてきた頃。

 疲れを感じ始めたコウキは、しかしとある事情からその場を離れるわけにもいかず、どうしようかと考えていた。

 そのとき。

 頭上に突然光が現れた。

 そのまばゆい光は上空から真っ直ぐにコウキへと向かって降りてくる。

 何事かと驚くコウキと、突然現れた光の球体が敵か味方かと警戒するモンスター達の見る前で、その光は地面へと降り立った。

 すなわち、モンスターの群れのど真ん中にいるコウキの目の前へ。

「・・・・・・・・」

 光の球体の正体を見極めようと目を細めたコウキの前で、光は急速に薄れ、一人の女が現れた。

 光が消えるまで閉じられていたその女の瞳が、ぱちりと開く。

「・・・・・・・・」

 ゆっくりと辺りを見渡した女は、驚きの声を上げた。

「・・・・えっ!?何この状況っ!?モンスター!?」

「・・・・残念ながら、その通りだな」

 大人しそうな外見に似合わず、長い黒髪を揺らしてなんだか場違いなすっとんきょうな声を出した女の言葉を、コウキはとりあえず肯定してやった。

「・・・・あなた誰っ!?こんな所で何してるのよっ!?」

「・・・・俺も、全く同じコト聞いていいか?」

 軽くパニックになっている様子の女に半分あきれてしまったコウキの背後から、隙をうかがっていたモンスターの一匹が襲いかかった。

「あっ・・・!!」

 女が何か叫ぶより早く、コウキの剣が閃いた。

 襲いかかったモンスターが一閃のもとに断ち切られたのを合図に、様子をうかがっていた周りのモンスター達が二人目掛けて一斉に襲いかかってきた。

 舌打ちしたコウキは目の前の女の腕を掴み引き寄せると、近くの大きな木の幹へと押し付けた。

「登ってろ!!」

 モンスターに襲われないように隠れていろと言われ、女はムッとした。

「うらぁっ!!」

「・・・『風刃』!」

 無数のモンスターを相手に剣を振るうコウキの顔の横を風がかすめた。

 その風が、一瞬にして三匹のモンスターを一度に切り裂いた。

 その光景に、モンスター達が一瞬身を引く。

 コウキも驚き、思わず振り返っていた。

 そこには、ムッとしたままの女が、片手を突き出して敢然と立っていた。

「ばかにしないで。私も戦えるわよ」

「・・・・」

 しばし呆気にとられたコウキは、ニヤリと笑う。

「・・・上等!行くぞ!」

 頷いた女はコウキの後ろについて走り、呪文を繰り出した。

「『炎陣』!」

 周囲のモンスターを火であぶり、ひるんだ所をコウキが剣でとどめを刺していく。

 だが、どれだけ戦ってもモンスターは次々と湧いて出てくるように二人を囲んだ。

「・・・ったく、どれだけいるんだっ。おいっどうやって逃げるか考えとけよっ!キリがねぇぞ!」

「『風刃』!・・・そうはいかないわよっ!」

「なんでだっ!?」

 多勢に無勢のこの状況では、全てのモンスターをたった二人で倒すなど奇跡に等しい無謀な考えだ。

 体力が無くなる前に逃げる算段をつけた方が賢明だ。

 だが、黒髪をなびかせた女は、目の前のモンスターを見据えたまま戦う姿勢を変えなかった。

 コウキの疑問に、女は前を見たまま答えた。

「ここで待ち合わせしてるの!だから、ここを動くわけにはいかないっ!!」

 その強い意思にコウキは目を見張り、そして口元をゆるめた。

「・・・へぇ、奇遇だな。俺もだ!」

 コウキの呟きにも似た言葉は、真剣に戦う女の耳には入らなかったかもしれない。

 闇夜に放たれた炎の光を反射して、コウキの剣が煌めいた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ