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序章
気が向いたとき投稿です。
暇潰しにでもなれたら幸いです。
麗らかな日差しが差し込む、彼女と2人で作ったお気に入りの場所で。俺は彼女に抱きしめられながらゆっくりと眠りにつく。
「なぁ、ティア」
「…うん?」
「俺が死んだらさ」
「うん」
「俺を元の世界に返してくれよ」
「…………」
「帰りたいと思ってたわけじゃないぜ。けど、もうお前ともいれないしさ」
「…うん…いいよ」
ティアが微笑む。本当に綺麗なやつだ。美しく清らかな雫が俺の頬に落ちる。俺はそれを拭うことももう出来ない。
けれど、俺は幸せだ。愛する人に見守られて逝けるのだから。
「…ティア、愛してる」
「私もだよ」
「ごめんな、1人、置いて行く」
「…この身体はもうすぐ死ねる。1人じゃないよ」
「…いつかまた、会おう」
「うん」
「…………」
「いつか…また、ね。ユー」
冷たい頬を温かい雫が滑る。それが俺の感じた最後の感覚だった。