大切なもの
ある大きな家にきつねの人形がいました。
きつねの人形には悩みがありました。
悩みは、その家にいる女の子に大事にされていないことです。
きつねの人形の身体は汚れていたのです。
その女の子はいつも、きつねの人形を連れて行きます。
女の子が歩くと、きつねの人形は地面を引きずられます。
今日も、きつねの人形は女の子に連れられて庭へ行きました。
庭には、美しいバラが咲いていました。
きつねの人形はバラに聞きました。
「きみはそんなに美しいのだから、悩みなんてないのでしょう?」
バラは答えました。
「私の悩みは寂しいことです。
棘があるから、みんなは近付かないで遠くから褒めるだけ。」
きつねの人形は、美しいバラに悩みがあることに驚きました。
女の子が歩きました。
きつねの人形は引きずられます。
女の子が歩いた先には、クモがいました。
きつねの人形はクモに聞きました。
「きみは、巣の中に独りでいて、寂しくないの?」
クモは答えました。
「寂しくないわ。一人が好きなの。
私に近づくものはみんな糸に引っかかる。
一人だと全部、私のものなのよ。」
きつねの人形は、一人でも寂しくないクモを凄いと思いました。
女の子が歩きます。
家の中に入りました。
そこには大事に飾られているネズミの人形がいました。
きつねの人形はネズミの人形に言いました。
「きみは、大事に飾られていて、うらやましいな。」
ネズミの人形は答えました。
「きみの方こそ、いつも一緒に居てくれる人がいて、うらやましいよ。
ぼくは、いつもここに一人さ。」
きつねの人形は、信じられませんでした。
「大事に飾られて、きれいなままのきみが、この汚れたぼくをうらやましいのですか?」
ネズミの人形は言いました。
「その汚れは、彼女がきみを大事にしている証しじゃないか。」
きつねの人形は気付きました。
自分を大事にしていないと思った女の子は、自分を大事にしてくれていたのです。
きつねの人形は、それから身体の汚れが気にならなくなりました。
土がついても、食べ物の汚れがついても
それは女の子が自分を大事にしてくれているということなのです。
きつねの人形は今日も女の子と一緒です。
ご飯を食べる時も、お出かけするときも、眠るときも
きつねの人形は大切なものを見つけたのでした。
冬童話2012投稿用に書いてみました。昔、読んだ童話って、こんな感じの書き方していたような気がしたのですが、なんか変な感じが・・・。
読み手を本当に小さい子向けに書いちゃったのが失敗ですかね




