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だからあなたは愛せない  作者: 篠月珪霞


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お父様。お母様。お兄様。

ごめんなさい。

…ごめんなさい。

謝罪しかできないわたしをどうか許してください。

けれど、わたしももうすぐあなたたちと逢える。


「しっかりしろ! 誰か…! 早く医師を!! 早く…っ!!」


焦りの混じった叫びが近くで聞こえる。

そんな声を聞いたのは初めてね。…こんなときなのに少しだけ、嬉しくなる。

もうずっとずっと、心は凍り付いていた。凍らせなければならないと思っていた。

だから嬉しい。

わたしを救おうと、必死に声を荒げているあなたが。

ほんの少しでも、あの頃のあなたが、嘘ではなかった気がして。

もういつのことだったか。

あなたを、純粋に慕っていたのは。それほど昔のことではないのに、もう思い出せない。


「まだか?! 医師はまだ来ないのか?!」


たぶん、もう遅い。

もう誰が来ても何をしても、きっと変わらない。

自分でもそれが分かる。


「頼む、医師が来るまで、気をしっかり持ってくれ…!!」


最期に抱き締めてくれるのが、あなたでよかった。

最期に目に映すのが、あなたでよかった。

最期くらいは、いいわよね…?


「…う、れ…しぃ…」

「っ!!」


あなたを、守ることができたのが。

あなたが、生きていてくれることが。


「お願いだ…俺は、まだ…君に何も、何も伝えてない……」


ああ、目が霞む。

命の終わりが手に取るように分かる。

落ちてくる水滴は、なに…?

もう何も分からない…。


最後に、何か聞こえた気がするけれど、分からなかった。




ごめんなさい。

お父様、お母様、お兄様。

わたしはどうしても、このひとを。

あなたたちを手にかけた、このひとを。


──どうしても、憎むことができませんでした。






BGM:Butt●rfly Co●e「VA●S●E」


最期と最後は意図的です。


衝動的に書きたくなって、数時間の突貫工事。

連載放置ですみません(>_<)

いや展開は決まってるんですけど…(言い訳)。

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