第7話 これはチャンスなのでは⁉
「大丈夫、清彦? しんどかったら今日も学校休んでいいんだよ?」
「別に平気だよ。昨日は疲れただけだって言ったろ」
朝。
登校する通学路を歩いていると、隣を歩く幼馴染の綾乃が心配そうにこちらを見上げる。
「でも、心配だよ。共学校では、私以外の知らない女達からジロジロ見られたり話しかけたりして、清彦も気疲れしちゃうでしょ?」
「そうそう学校を休んでばかりもいられないだろ」
昨日は仮病で休んだら、綾乃が放課後に来て甲斐甲斐しく看病してくれたからな。
別に元気だったから、ちょっと心苦しかった。
「別に大丈夫だよ。家に引きこもっても、清彦の事は私が一生面倒見るから。その方が、清彦を独り占めできて、私も幸せかも♪」
「はいはい」
ウットリ顔の綾乃だが、男の独占は男女比1:99の世界では許されないんじゃね? と思いつつ、俺は軽くあしらいつつ、俺は昨日の事に想いを馳せていた。
──理恵さん、綺麗だったな……。
急に倒れてしまった理恵さんをソファに寝かせたが、そのまま襲い掛からなかった自分を褒めたい。
疲れて気が抜けた格好を見せてくれる幼馴染のお母さんとか、俺の大好物なんだからな!
必死に欲望を抑えるために、無心で掃除してた。
まぁ、理恵さんに関しては焦ることは無い。
「なぁ綾乃。今度、お前の家に遊びに行ってもいいか?」
「ふぇ⁉」
幼馴染の家に遊びに行くのは実に自然だ。
出来れば綾乃が居ない時に、お母さんの理恵さんと逢引きしたいところだが、いきなりそれは難しい。
昨日のように、毎度仮病を使って学校を休むわけにもいかないし。
だから、俺が何度も幼馴染の家に行って実績を積み、俺が綾乃抜きでも理恵さんの家に訪れても不自然がないようにする。
最近の佐野清彦は、どうやら思春期の時期には理恵さんの家にはしばらく行っていなかったようだが、そこは男子が大事にされている男女比1:99の世界である。
男の主張は大体は通る。
「ダメか?」
「いや、ダメじゃないよ……。ただ、ちょっと準備させてもらいたいっていうか……」
真っ赤な顔をした綾乃が、モジモジしながら指先同士をツンツンする。
「準備って?」
「部屋も私も綺麗にしたり……。あと、ママにはXデーの日には外出してもらって」
「いや、理恵さんは家に居ていい」
俺は綾乃の言葉に被せ気味に答える。
これから理恵さんとの仲を進展させたいのに、理恵さんが家に居なかったら意味ないだろ!
「え? だって、する時に階下に聞こえて……」
「むしろ居ないとダメだ。綾乃の大事な人は俺にとっても大事な人なんだから」
「ふぇ……。それって、もう結婚後の同居を考えて……(義母との同居的な意味で)」
「ああ。家族になるんだから当たり前だろ!(理恵さんと結婚して同居する的な意味で)」
「きゅ~~」
「だ、大丈夫か綾乃⁉」
突然目を回して倒れる綾乃を、慌てて抱きとめる。
昨日の理恵さんといい、早見家は俺と話していると突然意識を失ったりするな。
今度、母娘とも人間ドッグでも受けてもらわないとと思いながら、俺はお姫様抱っこで保健室へ向かった。
◇◇◇◆◇◇◇
「ぬお~! 遅刻! 遅刻!」
学校に着いて、倒れた綾乃を保健室に連れて行ったら、始業チャイムが鳴る中で、慌てて教室の扉を開ける。
「セ~フ!」
チャイムが鳴り終わる前に、所属クラスの教室内に存在する。
よって、俺が怒られる事はない!
「え……」
「佐野君……だよね……」
「男の子が……走って来た……」
あれ?
何だか、悪目立ちしているな。
いや、遅刻ギリの奴が来たら注目はされるもんだが、何だか雰囲気がおかしい。
「あ~、佐野……」
「おはようございます桜山先生」
「う、うん……。おはよう」
理知的なメタルフレームのメガネに、スーツにブラウスというデキる女教師像ど真ん中な桜山先生が、困惑している。
今日もお美しいな……。
「こうしてお話しするのは初めてですね。佐野清彦。16歳です」
「自己紹介しなくても知ってるぞ。担任教師だからな……。それで、あの……」
「どうしました桜山先生?」
「て……手を離してもらえるか? これでは出欠を取る事もできないから……」
桜山先生は顔を赤らめながら俺の目線から顔を逸らせる。
「おっと、これは失礼しました」
大人しく桜山先生の指示に従い、俺自分の席に着席した。
お仕事の邪魔をしてはいけないからな。
その点は、俺も前世で社畜をやっていたので理解あるつもりです。
「佐野君って、初日の入学式の日は心ここにあらずって感じで、昨日は休んでたけど……」
「もしかして、女の子に対してかなり積極的なタイプ?」
「普通の男子は、担任の女教師なんて汚物扱いするって言われてるもんね」
「でも、さっき桜山先生の手握ってたよね。あれって、男性風俗なら30万円コースじゃないとつけられないオプションなはず」
「今日は、あの忌々しい幼馴染マウント女も居ないし……」
「「「「これはチャンスなのでは⁉」」」」
一瞬の静寂の後。
ドッ!とクラスの女の子たちが俺の前に押し寄せてくる。
「佐野君! 良ければ今日、一緒にお昼どうかな?」
「あ、ズルい! 私も!」
「佐野君は部活どこにするか決めた? よければバレー部のマネージャーに」
「ズルいぞ! 独占しようとすんな!」
──おお……。これが男女比1:99で貞操逆転した世界の女子達か。熱量が違う。
「こらお前らぁぁ! 朝のホームルームがあるから席に着けぇぇぇぇええ!」
圧倒される俺と、殺到する女子に、激高する桜山先生。
入学から3日目。
朝から俺のクラスは、実に賑やかであった。
ママパートが湿度高目だから、貞操逆転世界定番の流れが何故かホッとするな~。
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