第4話 ママ。いつもありがとう
【早見綾乃──視点】
「わきゃああぁぁぁああああ!」
清彦からの電話が切れた直後、私はようやく我慢していた喜びを奇声として吐き出し、ベッドの上をゴロゴロ転がった。
「ど、どうしたの⁉ 綾乃ちゃん」
「あ、ゴメン、ママ。起こしちゃった?」
「ううん、まだ仕事中なの。締め切りが明日の朝までだから。ゴメンね、仕事のせいで入学式に出れなくて」
私のママは、文筆業をしている在宅ワーカーだ。
何を書いているのかはよく知らないけど、結構人気らしくて、毎日忙しくしている。
「大変だねママ。いつもありがとう」
「ど、どうしたの急に?」
「だって、ママがお仕事をしているから、こうして生活が出来て、月詠学園という学費の高い学校にも通わせてもらえてるんだし。本当にありがとう、ママ」
「うう……綾乃ちゃん……。大きくなって……」
不意打ちの私の発言に、ママが思わず涙を袖で拭っている。
「私、今日は幸せなんだ♪ 私の好きな人は、やっぱり素敵な人なんだって、より好きになったの」
「それって、もしかしなくても清彦君のこと?」
「うん。ママ、ひょっとしたら意外と早く、ママはお祖母ちゃんになるかもよ」
「ええ~、そうなの⁉ いいわね~。ちょっと、お話聞かせてよ」
「でもママ、締め切りヤバいんじゃないの?」
「ちょうど煮詰まってるからいいの。女子高生の娘の恋バナなんて私の仕事に直結するんだし」
相変わらず、ママの仕事ってなんだか良く分からないなぁ。
でも、たしかにこういう話は、友達に話すとマウント取ってる感じになっちゃうんだよね。
その点、ママなら清彦の事も昔から知ってるし話しやすい。
そして何より、私がこの話を早く人にしたくて仕方がない!
「あのね。今日、清彦がね~」
その後、私はママに色々と話した。
月詠学園では入学初日から早速正妻ムーブをして、他の女の子たちを牽制した事。
清彦が私との将来をちゃんと考えていてくれて嬉しかった事。
私だけじゃなくて、ママの事も大事に想ってくれている事を話した。
ママは私の話を、うんうんと嬉しそうに頷きながら聞いてくれて、時々涙ぐんでいた。
私の高校生活初日は、こうして順調そのものなスタートを切った。
綾乃ちゃん幸せそうだな~(棒)
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