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貞操逆転ギャルゲーに転生してヒロインのママ達ばっかり攻略してたらヒロインが病んだ  作者: マイヨ@電車王子様2巻【4/24発売】


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第29話 凡な奴らに興味ありません

【桜山萌花──視点】


「そっち出るなよバカ! そっちはスナイパー張ってるに決まって……あ~! もうっ! マジ味方無能!」


 自チームの負けのリザルト画面が出たFPS用モニターに向かって、私はヘッドホンを投げつけた。


「あー、もうっ。これだから無能な味方って敵より厄介だわ」


 こっちの作戦意図を理解もせずに好き勝手動きやがって。

 こんなんでイモータルの称号与えるとか、運営もこのゲームもぬるい奴しかいないのか。


「ただいまー、萌花」

「あー、おかえりママ」


 もうママがお仕事終えて帰って来る時間だったか。

 私の部屋のドアを開けたママが疲れた顔で立っていた。


「萌花、またゲームばっかりやってたの?」

「ばっかりじゃないよ。ちゃんと朝からシステム設計とAI学習プログラム構築のお仕事もしたし」


「今日、起きれたなら学校に行けばよかったのに……」

「あんな(ぼん)な奴らと関わるとこっちの感性が狂う。行く必要なんてない」


 話は終わりとばかりに、私は机に向き直る。

 FPSゲームのランクマッチに戻る気はないから、仕事でもするか。


 これでもフリーのプログラマとして人気なんだよね私。

 将来も、余裕でこれで食っていけるし。


 今更、学校なんて。


 共学校の教師というエリート職に就くママだけど、所詮は体制の中の歯車の一つに過ぎないから、発想が(ぼん)なのよね。


 今の世の中、才能さえあれば女一人で余裕で生きていける。


「あ、萌花、それでね。お母さん、今年度は部活の顧問になってね」

「ふーん」


 いつもは直ぐに、私の様子を見たらリビングに引っ込むのに、雑談なんて珍しいな。

 そんな事を思いながら、私は案件ファイルを呼び出しつつ生返事を返す。


「それで、週末のサイクリングなんだけど、部員の男子生徒が萌花も一緒にどう? って誘ってくれたんだけど」

「ふぁ⁉」


 え、男の子が?

 一緒に⁉


「やっぱり無理よね。佐野には私から断って」

「い、行く行く! 行くから! 何を勝手に決めてるの!」


「え……。だって、萌花。最近は碌に外に出てないのに、いきなりサイクリング何て。距離も結構あるみたいだし」

「行く、絶対行く。ロードバイク買って、室内漕ぎのトレーニングもする」


 私が外に出ないのは、凡な奴らと関わるのが嫌だから。

 男という、存在自体が非凡で、おまけに顧問の年増教師と、世間一般的にエロ猿とされているJCまで一緒に誘ってくれる男なんて、希少種もいい所だ。


 これは、良いインスピレーションを与えてくれそうだ。


 そう、これは己の感性を磨くため。

 断じて、女子中学生の旺盛な性欲によるものではない。


 ないったらない。




 ◇◇◇◆◇◇◇




「あ~! くそっ! 佐野先輩のケツにむしゃぶりつきてぇ!」


 サイクリングから帰って早々、私はベッドに突っ伏して枕を抱えながらジタバタした。


「あんなケツを強調するような格好を見せつけるとか、完全に痴男でしょ」


 あんなん、性欲旺盛な女子中学生なんて我慢できんて!

 佐野先輩の後ろを走行している時に、何度トリップしかけたか分かんない。


「男の人なのに、女に護られるんじゃなくて、率先して先頭を引っ張ってくれて、サプライズも用意してくれて……ウキャアアァァアア!」


 カッコ良くて、先輩として頼れて、スケベな格好もしてくれるとか、もう最強じゃん。

 男の中でも更なる非凡。


 間違いない。

 同じ非凡同士、私と先輩は間違いなく(つがい)になる。


「ど、どうしたの萌花? 何だがドタンバタンと暴れるような音が聞こえたけど」

「なんでもないよママ。私ね、高校は月詠学園に行こうと思う」


「え⁉」

「ちゃんと佐野先輩の後輩になりたい。月詠学園に通うためなら、内申点のために面倒で無駄な時間だけど中学も行く」


「萌花……。うん……うん……。そうだね。萌花は強いね。お母さんの誇りだよ」

「たかが中学に通うくらいで大げさ。それじゃ、私はやる事あるから」


 涙ぐむママを見るのがちょっぴり気恥ずかしかったこともあって、私は一方的に宣言して、すぐに自分の部屋のドアを閉めた。


 そして今日、佐野先輩と交換した連絡先を眺めてニマニマした後に、次のサイクリング計画を練るのであった。

被害者2。


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