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貞操逆転ギャルゲーに転生してヒロインのママ達ばっかり攻略してたらヒロインが病んだ  作者: マイヨ@電車王子様2巻【4/24発売】


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第13話 娘の想い人

【早見理恵──視点】


「ねぇ~! ちょっと聞いてよママ! って、なんで電気も点けないで座り込んでるの?」

「…………はっ⁉ あ、綾乃ちゃん……」


 娘に声を掛けられて、私はようやく現実の世界に戻って来た。

 辺りを見回すと、すっかり日は落ちて、書斎の中は真っ暗になっていた。


「大丈夫? 体調でも悪いの?」

「う、ううん。平気よ」


 そう言って空元気を見せるが、まだへたり込んだ床から起き上がれる気にならない。


「そう? って、そうだ。ママ聞いてよ! 清彦が部屋に来たんだけど、私、結局何も出来なかったよ~」

「そ、そうなんだ……」


「も~! 何度、清彦の事を押し倒そうかと思ったか~! 我慢出来た私エラい!」


 同性の親子という事で、こういうことに対してオープンな我が家では、娘は割とあけすけに話してくれている。


 これは、母親の私を信頼してくれているという事の表れだ。

 でも、だからこそ、胸の奥が痛んだ。


「でも、淑女たるものいきなりガッツイちゃったら駄目だもんね。折角、最近の清彦は女の子ともちゃんとコミュニケーションを取るようになってるんだし。ここでは焦らず慎重に」


 ズキッ……。


「あ、でも。ちゃぶ台で一緒に勉強してる時に、消しゴム取ろうとして手がちょっと清彦と触れちゃったんだ♪ でも、清彦は別に嫌がったりしなかったし。あれ、絶対、私の事気になってると思うの♪」


 ズキズキ……。


「ママ、聞いてる?」

「え⁉ あ……うん。聞いてるよ」


 心配そうに覗き込んでくる綾乃。

 甘酸っぱい恋愛小説のティーンの主人公みたいな娘。

 無邪気に男の子との進展を自慢してくる娘の顔。

 そして、本当に母親の事を心配している娘の顔。


 それらは、今の私にはただの罰でしかなかった。



 ──お母さんはさっき、娘の想い人の男の子に抱きしめられた。



 そんな罪悪感に、胸が押しつぶされそうだった。


 でも、その罪を吐露することも出来ない。

 そんな事をしたら皆が不幸になる。


 そして最も救いがたいのが、抱きしめられた温もりを私が手放しがたく思っている事。


 ──度し難い……。


 そう、自分を嫌悪する。

 でも、自分が母親である事をいくら自分に言い聞かせても、胸に去来したままのトキメキは消えてくれない。


 ──『俺と付き合ってよ理恵さん』


 私が書くラブコメ小説のヒーローみたいに、清彦君は私の心をあっという間に攫って行ってしまった。

 男の子に、それも娘と同い年で、小さな頃から見守って来た男の子からの告白。


 ラブコメ小説を書いておきながら、私には恋愛経験なんて無かった。


 そもそも思春期の頃の私は男の子から縁遠い生活を送っていた訳で、そんな奴がラブコメ作家をしているというのもおかしな話だが、『処女の方が良い作品を書ける!』というのが業界の常識だ。


 まぁ、男が貴重なこの社会で男と恋愛が出来る層の女性と言うのは、ほぼイコール超上流階級の人間なので、そんな人たちがキモい妄想ラブコメ小説なんて書く訳ないのだ。



 ──『うん。『カノジョ♡』って登録名にしちゃった』



 ワキャアアアアアァァァアアア!


 連鎖して思い出した清彦君の小悪魔的な行動が思い出され、思わず叫びそうになってしまう。



「どうしたのママ⁉ 黙ったと思ったら、ニヤケた顔して」

「……え⁉ あ、ごめん」


 ヤバい……。

 つい顔に出てた。


「まったく……。まだ徹夜したダメージが抜けてないんじゃないの? もう、若くないんだからさ」


「そうね。ママも、もうオバ……」


 ──『自分をおばさんって言うの、俺好きじゃないんだよね。理恵さんは綺麗なんだから、今後それ言うの禁止ね』


「…………」


 私は、つい口癖になっている言葉を飲み込んだ。


 ──べ、別に、か……彼氏の言う事を聞いてる訳じゃないから……。そういうのじゃないから……。でも……。


「ママ? もう……また妄想の世界に行っちゃったの? ほら、疲れてるんだったら早く寝る」


 そう言って、娘の綾乃は呆れて、自分の惚気話をするのを諦めて書斎を後にした事に、私が気づいたのは大分後の事だった。

欲とは度し難く。


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― 新着の感想 ―
バレたら家庭崩壊待ったなしのタイトロープ! 下手すれば母娘ともに壊れちゃうけど…大丈夫だよね?
ママン、エグい可愛いやん
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