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わたしだけのかみさま-宗像祈の配信録-  作者: 三嶋トウカ
第一章:宗像祈の雑談部屋

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8/18

第8話:内容確認_4


「お次。これもね、うん。呪いと同じくらいあったんだけど、匿名さんが疲れちゃってるんじゃないかなって。プライベートでも仕事でも、人間関係とか体調とかぜーんぶひっくるめて、心も身体も疲れ切っちゃってるんじゃないかな? っていう心配をいただきました。だから、こう、普段だったら気にしないこともつい気になっちゃうし、見ないような部分も目立って目に入っちゃうし。まずはしっかりと休んでから、色々考えてみない? って。疲れ溜まると、メンタルかなりしんどくなるからね。それ自体は私も経験してるから、リスナーさんの気持ちわかるな」


 意見の多かった順にかいつまんで話していく。匿名さんが希望するなら、今回まとめた結果は渡すつもりだ。役に立つかはわからないが、細かい意見も載せているし、本人の希望には沿うだろう。


「少数ですが、複数あった意見も出してみると、たまたま恨みを他にもかっていて、誰かがマジで手を下したタイプ。こういうタイプの話って『この人他でもトラブル起こしてるんじゃない?』って思っちゃうよね。そういう他に被害を被っていた人が、知らないところで復讐しちゃったの。……それが身の回りでこれだけ起こったらビビるんだけどさぁ。可能性はゼロじゃないよね。相手がいわゆるトラブルメイカーなら、可能性全然あると思う」


 相手がトラブルメイカーなら、有り得る話だ。


「……最後はこれもオカルトになるけど、家の呪いだったタイプ。土地の呪いって話もあったね。もうその住んでる場所がそもそもダメ。引っ越したら解消されるんじゃないか……って意見もあったよ。後、それに付随して、風水とか見てみるのは悪くないんじゃないかなって。形から入るのはいいかもね。ご家族も気にしないんだったら、家や土地について調べたり、何をどこに置いて、色がー……とかはやるのはアリだよね」


 私から見て攻撃的なコメントや誹謗中傷にとれるもの、ふざけた内容や意味がよくわからないものは省いて読んだ。彼女を傷付けるつもりはないし、本気で悩んでいるなら茶化す必要もないからだ。今回の話に必要ない。


 「一旦、この神様についての相談はここで終わりにします。ですが、意見や想像でも何か匿名さんに伝えたいことがあれば、また意見箱に送ってください。皆さまからいただいた内容は、まとめて匿名さんにお渡しする予定です。それから、匿名さん、こちらの配信聞いていただけていますか? こんな感じで、リスナーの方々から意見いただきました! もし、追加情報があったり、もっと深堀して聞きたいことがあればこちらで取り上げますので、メッセージ送ってくださいね!」


 匿名さんは聞いているはずだ。だからこちらから配信中に問いかけてみる。これは他のリスナーさんへ『匿名さん本人も配信は聞いているから、下手なことは言うなよ』という牽制でもあるのだが、効果は不明だ。でも、普通の神経の持ち主だったら、本人が聞いているところに悪口や攻撃はしてこないだろう。


 このまま他にもきていた簡単な私への質問に答えながら、今日の配信は終わった。

「ふー……ちゃんと伝わったかな……」


 実は、前回の放送が終わり、配信を聞いていた人の集計を見ると、途中から一気に人が増えていたのだ。たまたまおススメで配信がアプリのトップに上がったようなのだが、話している内容が変わっていると思われたのか、みんなこういう話が好きで興味をそそられたのか、アプリで私をフォローしてくれる人が目に見えて増えていた。それはリンクを貼ってあるSNSも同じで、つられたのかこちらも同じようにフォロワーが増えていた。嬉しいことである。

 人が増えればそれだけ目に留まる機会も増える。そして意見も増える。私自身好きでやっていることだが、それが大きくなっていくことへ喜びを感じていた。


 現状、これ以上私にできることはない。あるとしたら、これから増えるかもしれない意見をまとめ、匿名さんからの意見を待つことだけだ。

 私に匿名さんから詳細を聞く権利はあるし、匿名さんも認めてくれている。が、話すことは義務ではない。詳細を聞きたくて今は仕方がなかった。

 何だか小説の一ページを読んでいるような、推理ゲームの台詞を進めていくような、そんな高揚感が確かにあった。

「何だか不思議な感じだよね。神様に祈ってこんなことになるのかなぁ……。めちゃくちゃ効果出てない? 直接縁や所縁のある場所へ出向いたわけでもなく、ご利益のある神社へ詣でたわけでもなく……。本人が不思議な力でも持ってるって言うの? あー、わっかんない!」


 これは神様に祈った結果なのか。それとも偶然なのか。私にとってももうそれは、大きな謎へレベルアップしていたのだ。謎ならば解くしかない。そしてきっと、リスナーさんもこの謎の解答を待っているのだろう。不謹慎だとわかってはいるが、やはり非日常を期待している。

 私はただ匿名さんからの新たな連絡を待った。


 それから、意外にもすぐに匿名さん、なーこさんからメッセージが届いた。

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