第7話:内容確認_3
「もし聞いていない方いらっしゃいましたら、アーカイブチェックしてみてくださいね! というところなんですが、今回は再度いただいたメッセージを読みたいと思います。アーカイブは、良かったらこの配信が終わったら聞いてみてくださいね。前回の私の感想とか、空気感とかもあると思うので。他にもね、雑談してるからね!」
前回のモノを後から聞いてもらうより、今自分でもう一度もらったメッセージを読むほうが早い。そう考えて、開始早々私はあのメッセージの内容を読むことにした。時間が経ったことで、読みながら何か思いつくことがあるかもしれないし、目に見えない繋がりがわかるかもしれないと期待して。
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宗像祈様
初めまして。
私の名前は、匿名希望でお願いいたします。
いつも祈の雑談部屋、拝聴しております。
……
……
……
祈様は、どう思われますか?
率直な意見をお聞きしたいと思っております。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
匿名希望
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「はい、以上が前回も配信させていただきました、相談の書かれたメッセージです。リスナーさんにも話を聞いてほしい、ということで、今回相談メッセージを読ませてもらっています。……そう、相談なんですよ。匿名さんは、相談しているんです。ここですね。『私はもう、神様に祈らないほうが良いのでしょうか? 神様に祈らなくなったら、もっと酷いことが起らないかと心配です。それとも、もっと強く祈ればよいのでしょうか。私は何か、神様を怒らせるようなことをしてしまったのでしょうか』の部分。……やっぱり、前回の配信の後、結構リスナーさんたちから短いものも長いものも、コメントもらったんですよ。それをね、私まとめてみたんです。簡単にですけど。どんな意見……コメントが多いのかなって」
私は目の前に置いてあったパソコンで、事前に用意していた表をスクロールしながら順に目で追っていった。普段、こんな表は作らない。結果をわかりやすくするために作ったが、少しだけ思う。これだけの労力を注ぐ内容なのか、と。私はこの話が嘘でも気のせいでもなく『本当に神様に祈った結果だったら良いな』と思っていた。それが、人為的なものでも、オカルト的なものでも。
私は趣味でこの配信をしているだけで、別に誇れるような強みも特技もない。そのくせ好奇心だけは人一倍あって、普通の兼業主婦をしているだけなのに、非日常的なドキドキワクワクするような、そんなことを待ち望んでいたのだ。そんななか、もしかしたらその非日常に当てはまるかもしれないことが、向こうからやってきたのだ。今はその結果がどうなるかは考えていないし、考えるつもりもない。ただ、なんでもない私の誰も知らない好奇心を埋めるためだけに、今匿名さんのメッセージを利用している。
これで匿名さんの不安が解消されれば万々歳だし、私も好奇心が満たされて嬉しい。もしかしたらこれを機に相談メッセージが増えて、今よりも大きなコンテンツになるかもしれない。
『悪いほうへは転ばないだろう』と、タカを括って私は現状を楽しんでいた。
「まずはですね。そうだろうな……って思う方も多いのではと思いますが、ダントツは『気のせい』でした。こう、本当にたまたま悪い出来事が重なっちゃった感じね。それこそ、悪いことは立て続けに起こる、と。意外にあったのが『呪い』と『相手が悪いなら当然の報い』ですね。パターンは色々皆さん考えてくれて、そもそも相手が悪いんだからの因果応報タイプ。それだけ悪いことしたんだから、そりゃ天罰が下るよってね。それだと、確かに神様に祈った結果……かもしれないけど、匿名さんが祈らなくても結果は同じだったかも。祈ったから罰が当たったのかもしれないし、元々天誅食らう予定だったかもしれないし。身近で起こったことだから、気になっちゃったよね、みたいな」
これが一番いい結果なのかもしれない。気のせい、たまたま起こった、因果応報。それだったら、気に病まなくて済む。
「もう一つは、呪いは呪いでも、マジで匿名さんが呪っちゃって生霊とか念飛ばしたタイプ。ちょっとオカルト入るのと、気を悪くしたら申し訳ないけどリスナーさんの意見も聞きたい、ということだったから話させてもらうね。これはホントにもう、神様に願った結果というかなんというか。強い気持ちがカタチになっちゃった感じ。気持ち的には倍返ししてやりたいよね。……って私なんか思っちゃうけど。とくに子ども関係! でも、このタイプなら、神様に祈ることをやめたら、もう起こらなくなるのかも? ……うっかりでも、一回生霊飛ばした後って、お払いとかしなくても勝手に消えていくのかな? 因果応報に見えるけど、しっかり仕返ししてた雰囲気ある」
このタイプであれば、もしかしたら祈ることを止めたら終わる可能性もある。
……それだとありがたいが、中途半端に辞めた時、何か帰ってしまうのではないかという懸念点もある。私が心配しているだけかもしれないが。




