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わたしだけのかみさま-宗像祈の配信録-  作者: 三嶋トウカ
第一章:宗像祈の雑談部屋

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第5話:内容確認_1


 勿論、事前に許可はとっているし、相談自体意見箱を模したメールフォームのような機能を利用して投稿する人も多いので、意見箱のページに注意書きも記載している。

 配信自体は、よくある会社の昼休憩の時間に合わせて生放送、もしくは録音したものをタイマー予約して行っている。今回は生放送だ。自分の話す内容から、勝手に成人以上相手が良いだろうと考えており、それなら社会人の人が聞きやすい時間に、と考えた結果だ。夜の配信もするが、その時はもっぱら録音である。夜に生放送は難しい。家族が揃っているし、その中で喋るのは恥ずかしくて嫌なのだ。


 今回のようにSNSのDMで届くことも稀ではあるが存在する。普段あまりDMを見ないため、気が付くのに遅れることもあるから、タイミングが良かったと言えよう。

「匿名さん何だろう? 昨日の配信聞いたとか、そういうのかな?」

 私はメッセージを開いた。自分が最後に送った『メッセージありがとうございます。こちら、配信時に相談として読ませていただきますね。一通目以外は読まないことも承知しました。配信して反響がありましたら、そちらまたご連絡させていただきますので、しばらくお待ちくださいませ。 宗像祈』のメッセージの次に、ポコン――と新しいメッセージが表示されていた。


「はいはい、何でしょうかね」

 パッと見ても、スクロール一つに納まらない文章だとわかるソレを、私は文章の先頭からじっくりと目を通していった。


 ***

 宗像祈様


 昨日の配信で私のメッセージを読んでいただき、誠にありがとうございました。

 非常に嬉しく思いました。

 また、配信に載せるのは送ったうちの一通目のみとしていただき、こちらも重ね重ねありがとうございます。


 本日は、そのお礼と、お願いをさせていただきたくご連絡させていただきました。


 このようなお願いは不躾、かつ、困惑されるかもしれません。

 が、もし可能でしたら、何か通話ツールを使ってお話を聞いていただけませんでしょうか。

 勿論、お話させていただく時間の、お手当をお支払いさせていただきます。


 欲を申しますと、会って直接お話させていただきたいと思っております。

 本当に、このことは誰かに詳細を話したくて仕方がないのです。

 でも、残念ながら私にその相手はおりません。

 黙っているには、色々なことが起き過ぎたように思います。


 当然ながら、抵抗もあるかと存じますので、無理にとは申しません。

 こちらがお願いしている立場ですので、不快な思いをさせてしまいましたら申し訳ございません。


 次回の配信で、他のリスナー様の意見も聞けそうですので、そちら楽しみにしております。

 予想では、気のせいや呪いが多いのではないかと思っております。

 私も、気のせいだと思いたいです。

 というか、私の思い違いであってほしい。


 それではまた、メッセージを送らせていただくことがあるかとは思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。


 匿名希望

 ***


 この匿名さんだが、実は相互フォローをしている相手だった。今使っているアカウントは、配信を始めたころに作ったものだが、その初期に匿名希望さんからフォローされたため、嬉しくて嬉しくてフォローバックしていた。

 今はフォロワーも増え、すべてフォローを返すとタイムラインがよくわからなくなってしまうので控えているが、匿名さんはフォローしている人にしかポストしたものを見られないようにしている。いわゆる鍵付きアカウントだ。

 自ら発信するばかりで、なかなかフォロワーさんたちとの交流も、相手からリプライがなければすすんでいっていなかったが、気になって彼女のポストを遡って見てみることにした。


「……普通だ」


 スクロールしていくらか投稿を見てみるものの、そこには日常が呟かれているだけで、特に目立った内容は見られない。一日のポスト数はそこそこあるようだが、どれも『疲れた』とか『お腹空いた』『ご飯何にしよう』という短いものがほとんどで、私が思っているような――今回のメッセージに繋がるようなものはない。たまに家族と出かけた、こんなものを食べた、何を見に行って何を買ったといった内容も書かれてはいるが、あまりコメントや反応のスタンプもついていないように見える。リプライの数も少なく、フォロワーはいるものの、そこまで交流はしていなさそうだ。 始めたのはそこそこ昔に見えるが、SNSに重きを置いていないのだろう。


 メッセージでは匿名希望だったが、アカウント自体の名前は【なーこ】と書かれている。彼女はなーこさん、私よりも歳は上で、仕事をしているらしい。夫、お子さん二人との四人暮らしで、マンションに住んでいる。仕事が忙しい時は夕ご飯に総菜が並ぶこともあるし、美容院へ行くことがリフレッシュだったり、アプリで好きな漫画をいくつも読んだり、動画サイトでアイドルやゲーム実況を見る普通の人だ。


「んー……会ってみたいと言われてもなぁ。全然知らない人だし、あんまり顔バレもしたくないし。通話で事足りるんじゃないかなとは思うけどー……」

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