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11 RE:BoRn

「毎日・・・・ね?それも未来予知から描いたことと?」


「そう、そもそもヘルカメ神によって私自身とマコの未来を見抜かれていた。

 ただ私としても望むところだった。あとはマコ自身が変質したからここでの決断次第だけど・・・・」


 変質・・・・つまりこのコード塗れの数字人間になったことが未来をより不正確なものへ昇華させたという訳か。死なない世界線も存在していた。

 ということは今の部分から確定的な話が導き出された。


 そもそも()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。ということだ。

 ヘルカメには感謝である。カメはカメでも万年の方であったか。


「どうもその行為が必要なようだな。」


 利用する。という悪質な思考しかできないこの自分を恨みたいものだ。沙月の件といい、合理性を優先するように誘導されているようだ。

 他にも潜んでいるのは沙月の証言から既に確定事項だ。いずれ同じように僕の元へとまた一人また一人と特殊な人材が集合するのだろう。これもひとえに計算された行動であり、未来への投資、軍の編成というとんでもない内容を実現するためでもあろう。


 あの時点で異次元の侵攻は確定だった。そのために僕は利用されたとみるべきが自然だが、どうも理由が薄い。


「マコ・・・・・」


 ナギは既に目つぶって構えている。

 沙月は背中から殺意の波動が流れ出ている。少し突っつくと今にも襲撃しそうな雰囲気である。

 だから僕は自然に何の躊躇いもなく、ナギへキスをした。口と口が付くという行為に僕は何も感じない。これも彼女が今現代の女性であるということだから。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 充血している沙月が怖いことぐらいだな。これが恐怖心?なのか?


「あ、ありがとう・・・・」


 彼女の赤い目が綺麗な黒と茶色の瞳に染まっていく。仮契約から正式契約へと切り替わったのだろう。現に以前より目元の魔力が落ち着きを取り戻しており、より鮮明に未来を見えるように調整されたのではないか。

 例えば、自身の見える世界が現実と未来の両方を見れるという戦闘において強力なスキルとなったように。


「・・・・・・・・・魔五斗様?」


 沙月も何故か目を瞑って構えている。ただ、沙月に関しては欲情する自分がいる。


 大神は沙月には強くキスをしてしまう。本能からの行為に千条は気づく。


「むぅぅぅぅぅぅ!」


 激おこである。そして沙月はうっとりとしつつもどこか勝ち誇ったようにフンっ!と威張っている。


「うむ・・・・・やはり好きというのは行為ことなのだろうな。」


「ねぇ!マコ!私も彼女と同じにして!」


 流石に無理


「無理じゃないよね?理論はできてるよね?」


 心の声すら遮られるほど、未来を見透かすようになっている。変に覚醒させたのは間違いだったのかもしれない。


「沙月のことを知っているようだし、この部屋だから話すが、沙月の場合は完全に違法とされる禁忌の『再生』魔法『再構築と再構成』を行った。

 遺伝子レベルから性格や脳内などを全て変化させられるいわば、悪道とされる行為だ。とても褒められるべきものではない。ただ理論上は太陽の光や紫外線による肌質変化を利用した、新たな肌質のみ再構成をするといった細胞の表面のみを常時変化させる。といったことが可能かもしれない段階までは来ている。

 ただ、今それを実行したとしても、持続力に懸ける。日焼けサウナほどではないが、それでも定期的なメンテナンスが必要になる。がん細胞や病的内容にも直結するリスクがある。

 『再生』で無論直せはするが、全て細胞含めたものをバックアップからインストールという行為に等しいため、結果元通りになるだけの可能性が生まれる。」


「へぇ・・・・・」


 絶対意味わかってない。


「流石は魔五斗様です。」


 コイツに至っては話を理解するしないではなく、決まり文句だと思っている。


「それでもいいから早く!」


 人間の愚かだと感じるのが、この感情ゆえのリスクを避けない傾向である。人間として生物としての強みともとれるが、原則感情論で動くと痛い目を見る確率が70%を上回るので、高レベルで避けたい。


「ねぇ!早く!」


 ただ時代の変革とリスクは不確定要素も多く、100%成功率など皆無と言っていい。


「・・・・・興味が出たな。」


「なっ!ま・・魔五斗様!?」


「そこのソファへ横になってくれ。」


 沙月の驚きをスルーしていく。なんといってもこの実験と検証は生の人間を使った、許可ありきの正規の発明といっても過言ではない。

 こんなチャンスを逃す手はない。


「う、うん・・・・」


 千条渚はソファへ言われたとおりに横たわる。


「では、解析開始・・・」


 スキャン・・・・読み取り、千条渚・年齢17歳・・・3サイズ・・・・身長・・・・体組織・・・魔法抵抗・・・・魔力水準・・・・


「素晴らしいお力ですが・・・・」


 華城沙月は大神の魔法行使に見惚れるも、その相手が千条渚という何とも言えない状況であった。


「コードオートスタート」


 再構成・・・魔力属性・・・雷属性、風属性・・一部分解・・・再構成・・・色素変化開始


 千条渚の身体が徐々に大神が望む黒く濃い褐色な肌へと変化していく。手先から頭、足と少しずつ大神による細胞の上書き再構成が実行されていく。


 上書き完了・・・・異常・・・・魔力構成と神器による一部抵抗あり・・・解体・・・拒否勧告・・・定期メンテナンスと定期ローディングが必須


「やは・・・・りか。」


 今回はナギという賢者の変質だ。普通のごく一般人を変化させる行為とは訳が違う。

 沙月は今このレベルの僕なら魔法組織や遺伝子などといった違法行為無しに変質を完了させられる可能性が非常に高い。

 しかし、無駄に魔力抵抗の高い賢者相手である場合、この辺が成果として限界なのかもしれない。幸いなのが、病的要因はカットできたことである。


「ん・・・・・・あっ・・・・これ・・・」


 ナギは自分の身体をあちらこちら観察して確かめている。


「無属性じゃないんだ・・・・」


「すまない。というべきか。だが、神器がどういう反発をするのかが不明確な場合、おすすめされる行為ではないと思われる。」


「うん・・・わかってる。でもありがとう・・・・」


 変化したナギは美し過ぎて困り果てる。つい、いつもの調子で話すことができない。


「さて!本日は用も済んだので、お引き取りを願いますね!」


 沙月の強硬性は相変わらずである。


「はぁ!何言ってんの!?メンテだってあるし、私神器の対価だってあるんだからね!?」


 また始まったが、何故か美しくほほえましい。これが愛なのか?


「それに私、ここに住民票も何もかも移したから今日からここに住むの!」


 どうしてこの狭い一室に女子2人に男子1人が住まなくてはいけんのだ?まぁ、美人2名だから大歓迎だ。


 既に大神の理性はぶっ壊れていた。

 こうして、大神の狭い一室に3人との同棲という異例な出来事が開始されることに。






































 朝


 狭いベットで目を覚ます。


「ん・・・おはよう。」


「おはようございます。魔五斗様」


 君たちが僕の上で小競り合いをしていることから、いつ目覚めたのかを勝手に記録するようコードが君たちの体内組織に組み込まれている以上、その情報が僕に流れてくるので必然的に睡眠をとっていたとしても分かる。


「うむ、今日も美しいな。」


 本能的につい愛でたくなる。この完成度・・・・素晴らしい。

 確実な成功とは言いずらいが、それでもある程度理論から実態へと成果をアップできたのだ、これは素直に喜ばしい。


 こうして大神は流れで2人とキスをしてから朝の支度を行う。


「魔五斗様、朝食は白米、お味噌汁、キュウリのお漬物、鮭でございます。」


「ありがとう・・・・」


 何か当たり前になっていく風景にはツッコミを入れたくはなる。


「ただ・・・・」


 2人を見ると・・・・肌質は変質させたが、まだボリュームが足りない。付属品やら必要な内容を身体に刻みたい。というのが本音である。

 車を作る際、外側を作っては中身をエンジンや必要な最低限だけ揃えて動かせるようにした。ただそれだけであり、車本来のカスタムや魅力は引き出せていない。


「何か・・・・・いえ、失礼しました。」


「何かあったら遠慮なく言ってね。」


「ああ、そうするよ。」


 いや、たかだが2人で何完成した気でいるのだ?素体が完璧にクリアできていないのに、他を気にしてもまったくもって何も成果など得られない。


 大神は改めて認識をし直す。


「さて、お食事したら学校へ行くか。」


 こうして3人は黙々と食事を摂った後、洗い物を千条渚が行い、学校へと向かっていく。


「今日もう既に編入手続きを済ませたのか?」


「うん。どう?結構似合う?」


「ああ、ケッコウニアッテイルヨ」


「・・・・・・・・」


「フフ・・・・」


 流石に論理性に欠けるような答えは求めないでくれ。自身の描くソレとは違うのだ。この時点で選ばれるべき言葉の選択肢はこれしかなかった。


「むぅぅぅぅぅぅ・・・・まぁいいやマコが褒めてくれたし。」


 どうやら杞憂であった。恋といった感情は時として都合がいい方向に転ぶ。だからこそ、どうコントロールしてやるかが重要である。


「むっ?なんか悪いこと考えてるし・・」


 本当によく見ているよ。


「魔五斗様、本日のカリキュラムですが・・」


 沙月は何故かご機嫌そうに淡々と読み上げていく。


「そうか、ではいつも通りこなしておくとしよう。」


「あ、私も合わせるからあとで教えてね〜」


「貴女既に知ってるでしょうに。白々しい。」


「はあ!」


 道中元気そうです。今日も天気がいいな。

 まさか自分がそんなありきたりな事を呟いてよそ見するとは思わなんだ。そして背後にはなんとなく見知った気配とうるさいガヤが付き纏っている。


「お、おいおい!」


「あら?啓介じゃない。」


「あら?じゃないですよ!?」


 流石に普段おちゃらけていても敬語を忘れないとは、部下の鏡だよ。


「いやいや!なんで!?へ?どういうことだ?」


「あーーー・・・ごめんね。我慢できなくて来ました。」


「辛いな、破天荒な上司を持つと。」


「なんで監視対象に同情されるのやら・・・」


「本音出てますよ。」


 うっかり漏らした三上の発言に沙月が淡々と返すも、肝心の三上は脱力気味である。

 大事な任務を上司によって上塗りにされる訳なので、そうなるな。お役御免かな?


「えーーと・・あっでも、じいが居ないから護衛役お願いしてもいいかしら〜なんて?」


「いや、必然的にそうはなりますが・・・」


 ガヤガヤと外野がうるさくなってくる。


「とっとといくぞ、ここでまた迷惑な城戸一族に絡まれるぞ。」


「その冷淡さの一部を俺に分けてくれよ・・・」


 お前の頭をインストールと読み込みを行って学校中にばら撒いてやってもいいんだぞ?


「ちょっ!アンタ!」


「噂はなんとやらだな。」


「つか待て!大神!」


「ちょ!千条様の肌なんか変だぞ!?おい!」


 お前ら3人で話しかけてくるな。鬱陶しい。


「あまり魔五斗様の手を煩わさないでいただいてもよろしいですか?お話なら正妻である私を通してからにして下さいませ。」


「何言ってんのよ!貴女!?私が最初なんだから!この泥棒猫!」


「おや?騒ぎの元凶が何か言っておりますね?なんと無責任な。そんな人が最初?笑わせないでください。」


「貴女も騒ぎを引き起こしてるでしょうが!?」


 どちらにせよ俺からしたらは2人とも該当者であり、お陰で僕が絡まれるようになっただけだ。

 しかしいずれは遅かれ早かれ天満のせいである程度目立つ可能性は示唆されている。


「新たな騒ぎを作らない・・・流石に1人ずつな。」


「私が先よ!」


 城戸真凜が女性の特権を行使してグイグイとやってくる。


「アンタ!私の父様に何をしたの!?」


「何?とは?」


「父様が胸部に怪我をしてたのよ!

 龍神から特殊作用で精霊自体にダメージを与えてるって言ってたし!」


「そもそも魔力欠乏症からそこまで回復してたのな。」


「っ!、お陰様でね・・・それよりもよ!」


「答えは自分の目と耳で聞け。だな。

 大賢者になるんだろ?なら事実確認を自分の目で行わずにして立証しようとするその様は果たして君のいう大賢者なのか?」


「っっ!・・・・そう・・ね。

 ごめんなさい。確かに・・・光龍が言ってたからって・・でもちゃんと意味があるのよね?

 確かに気に食わないけど、理由もなしに打算もなしにそんな事しない筈よね・・・分かった。」


 城戸真凜、直情的な性格と判断していたが、賢者の素質は十二分にある。

 しかし光の龍神も迷惑なことをする。こうやって焚き付ける事で、こちら側はお前を監視しているぞ。と言い聞かせている。

 異次元の生物が反応するように、僕自身も何故僕なのかが分からないので、変に付け狙われても困る。


「よし、次」


「テメェ!」


 僕の胸ぐらを容赦なく掴もうとした瞬間、沙月の鎖が四方から飛び交い、腕をガッチリ固定し、その動きを封じる。

 そして後ろの首筋にはナギが雷魔法でピリピリと指先から首へ目掛けて発動寸前で待機していた。


 何故ここだけコンビネーションなのか疑問だ。


「なっ・・・・・」


「貴方に発言権はありません。またぶっ飛ばされたいのでしょうか?」


「ちょっとお痛が過ぎるよ?」


 賢者に改造魔法師相手に流石の有力候補の息子さんでも厳しいと見るべき。

 そのギラギラとした瞳は依然僕を見抜いている。プライドゆえなのか、諦めが悪い。


「千条渚・・・様、どうして?」


 一応敬称つける間柄であったのか。流石の父親だな。


「彼は私にとって最も大事な人だから。」


 するとその発言に反応したのか、周りがおいおいとガヤつく。

 発言とは時に人を刺激させるから、時と場所ぐらいは選んで欲しいものだ。


「おい、あれよく見たら若くして賢者になった『伊奘冉(いざなみ)の未来姫』じゃねえーか。」


「あのダブルソーサラーの!?」


「あんな肌してたっけ?・・・」


 勘のいい奴らは気づく。しかしこれはこれでマイナス面ばかりでもないかもしれない。

 逆にここまで賢者の魔力干渉を超えた上での安全かつ素晴らしい療法で変革を行えたという・・・考えようによっては魔法科省から賞状もだが、名誉教授として名前を残すことも可能となる。

 飛躍し過ぎたが、噂を作るにはいい機会かもしれん。


「魔五斗様、外野が多くなっておりこのまま色々と不都合が生じてしまうかと。」


「そうだね・・・・ま、ある程度認知をつけさせた訳だし、あとは沙月たちの反応からどう結び着くかだね。」


「かしこまりました。ご期待に添えるよう精進させていただきます。」


 ・・・・とにかく質問しないでYESとしか言わないから怖いよね。


「行くか・・・」


 自然と離れていくうちに沙月拘束魔法が解けていくだろうと思い、そのままなんか叫んでいる城戸京太を無視して学校へと向かっていく。


「朝から大騒ぎね。」


 途中黒田さんに会うことに。


「それになんか増えてない?」


「増えて・・・るな。」


 しれっとだが、城戸真凜が付いてきている。なんだコイツ?

 三上はナギの護衛であり、その護衛対象がわざわざこちらに住み着いてきた。


「うん、やはりなんか大所帯だ。」


「なんで今見直して納得してんのよ。」


 黒田さんも何かと突っかかってくるが、何か気になることでもあるのだろうか。

 正確に言うと彼女は純粋なただの好奇心で動いている。一見プライドが高く人当たりが強いとされるが、性根はしっかりしており、自分の物差しをしっかりと持っている。


「エルフさんとはどいう関係ですかなー?」


「いちいち騒がない。」


「騒いでない!」


 騒いでる。と言っても平行線なのでスルーが適切である。


「それに賢者様まで、お初にお目にかかります黒田家の黒田・ラクーシャ・カーチャと申します。」


「これはご丁寧ありがとうございます。

 私、千条家の不詳ながら当主を継がせていただいております、千条渚と申します。以後お見知り置きを。」


 これぐらい普段からしっかりしてくれていると助かるんだが。


「よろしくお願いします。

 早速なんですが、いつからそんなに黒くなられたのでしょう・・か?」


「あ、こ、これはね・・・昨日かな?」


 なんで疑問系なの?


「説明?してくれますか?」


 なんで怒ってんの?あいや、結構やってること酷いかな・・いや、新なる思想は何事も反発から始まるとされる。

 そう考えればこれもデモンストレーションだ。


「それ」


「私がっ!お願いしたの!ほら!?わ、私!コイツの奥さんだか、らさ!」


 割と当主やってて大丈夫なのかぐらいテンパっている。

 そしてこの革命は既に始まっている。この戦いを、この時代を制するのは僕であると言うこと。ここから証明して見せましょう。

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