第81話 土砂降りと軽音部 その1
2024年10月29日火曜日。
今日はお昼頃からずーっと雨。天気予報によると太平洋に停滞してる前線の影響らしい。
放課後、私は雨の中ほぼ1ヶ月ぶりに凛子さんのマンションに向かっていた。
傘を打つ土砂降りの雨の音も凄いけど、もう真冬みたいな空気が肌を刺してチクチク痛む。
新開地に来たのはあのレコードを聴いた日以来だった。
『きょう華さんにパイ山でエンカウントしました』
『グリーンハウスとかいうお高いカフェに連れてかれて無理やり奢られました』
『めっちゃムカつきました』
2日前、家に帰ってすぐそんなLINEを凛子さんに送った。
理由は対バン相手の事だからメンバー間での情報共有ってのもあるけど、それよりなにより、ずっっっと華さんに腹が立ってたからだ。
お風呂上がりにスマホを見るとメッセージが返ってきていた。
『火曜日 夜6時から時間あるか?』
私の華さんの愚痴をスルーした返信だ。凛子さんらしい。
普段なら「ひとの話無視すんなよ」ってイラッとなるんだけど、それより返信の内容に私は食いついた。
『あります!ひょっとしてスタジオ練習いけます?!』
そう返すと少し間を置いて凛子さんは返してきた。
『葵が夜中までバルのバイトだから無理だ』
がっかりする私。けどすぐにこう続く。
『華と何があったのか春香に話しておきたい』
「えっ」
華さんとの因縁はこのまま教えてもらえないと思ってたから、私は一も二もなく応じた。
『放課後はいっつも暇です!』
そして2日後。つまり今日。
夕方、凛子さんから突然新しいメッセージが届いた。
その時私は軽音部の部室で、クラスメイトや軽音部員を前にギターを弾いてる所だった。




