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BLUE in the ガールズバンド  作者: あまだれ24
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第75話 ラフィングスターズの末裔 その4


「ラフィング...スターズ?」


まったく聞き覚えのない名前だった。しかもその末裔となるとますます意味が分からない。


けど華さんは開いた右手を心臓の上に当て、とても誇らしげな顔をする。まるで宝塚俳優みたいなポーズだ。


「そう!あの伝説のラフィングスターズよ」

「伝説の...?」

「驚いたでしょ。まあ無理もないことだけど」

「えっと...ラフィングさんって誰ですか?」


正直に尋ねると彼女は両目を丸く見開き、メデューサでも見たようにフリーズした。


そんなに驚かれるような事なのかな...と首をかしげてラテをちびりと飲む。


とりあえずググッてみようとスマホを取り出すと同時に、華さんの石化が解除された。


「あっあんたラフィングスターズを本当に知らないの?!」

「そんなに有名なんですか? ひょっとして昔の俳優さんとか...」

「人名じゃないわ! バンド名よ!」

「バンド?」


私はまた首をかしげた。これっぽちも聞いた事がことがない。


「あんた...本当に神戸のバンドマン?」華さんが信じられないという顔で見てくる。


「失礼な。れーっきとした神戸のバンドマンですよ。小学校までは千葉の船橋市に住んでましたけど」

「船橋?」


なぜか華さんが驚く顔をする。そして少し早口で言った。


「あたしも船橋の出身よ」

「えっうそ?」

「うそじゃないわ。実家は津田沼のイオンモールのすぐ近くよ」


イントネーションで関西の人じゃないのは分かってたけど、さすがに地元が同じって事までは気付かなかった。


しかも津田沼のイオンモールは習志野市とのちょうど境にある、お父さんの運転する車でよく行った場所だ。


「めっちゃ懐かしい。そこよく家族で買物に行ってましたよ。フードコートでたまにステーキ食べさせて貰ったなぁ」

「あんたもしかして...あたしの実家(ウチ)の近所に住んでたの?」


偶然の地元の一致に目を丸くしていた華さんは、そこでハッという顔をした。


「ふ...船橋の話はいいの。それよりあんたが神戸のバンドマンの癖にラフィングスターズも知らないって事のほうが大問題よ」

「悪かったですね大問題で」


彼女は気を取り直すようにグラスに直接口をつけて、残りのアールグレイを一気に飲み干す。そしてまたパーにした手を自分の心臓の上に置き誇らしげに続けた。


「ラフィングスターズはね、神戸で活動した日本初のプロのジャズバンド。伝説のバンドなのよ!」


「ま...またジャズか...」


デジャブに似たものを感じて困惑した。凛子さん、葵さん、それに華さん。なんでこの人達は相手が知ってる前提でジャズの話をするんだろ。


ワンチャン私の知らないところで流行ってるとか...?


「で...そのラフィングスターズの末裔が華さんってどういう意味なんです?」

「そのままの意味よ。あたしの名前は岩波華。名高きラフィングスターズのメンバーの曾孫なの」


華さんは左胸に手を当てた宝塚ポーズのまま続けた。


「だからあたしはね...偉大な曽祖父の誇りの為にもあんた達に勝って、あの日の脱退(・・)が正しかったことを証明しなきゃいけないのよ」


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