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BLUE in the ガールズバンド  作者: あまだれ24
74/83

第74話 ラフィングスターズの末裔 その3


「そしたらあんたらがボロ負けした時、凛子や葵が言い訳する材料を与えちゃうでしょ?」


「うわぁ...」


TRUE BLUE側のチケット販売の遅い理由が思っていた以上にゲスくて、私は思わず両手で手で口をおおった。


TRUE BLUEと私たちの人気に歴然と差があることは事実だけど、腹立たしいことに華さんは私たちが負ける前提で考えてる。


「死ぬほど性格悪いですね」

「そう? もしあんたらがTRUE BLUE(あたしたち)に勝ったらその時は舐めてたことを謝ってやるわよ。勝てればの話だけどね」


うわームカつく...と奥歯をギリギリ噛み締めていると、店員さんが注文を持ってきてくれた。


私はカフェラテのホット。華さんはアイスのアールグレイとショコラのタルトだ。


「ここのアールグレイ美味しいのよ。ライブ前と練習後のミーティングは大体ここでするんだけど、うちのメンバーもよく頼むのよね」


そう言ってさっそくストローでアイスティーを飲み、美味しそうな顔をする華さん。


ミーティングのために毎回千円以上するドリンクを平気で頼むなんて、お金に困ってないバンドしかできない。


私たちには絶対無理だ。


「お金に余裕...あるんですね」

「そりゃTRUE BLUEだもの」


当たり前でしょと言う顔をしてくる。


またイラッとしたけど我慢して、気をまぎらわせるために目の前のラテを口に運んだ。


「あっ...おいしい」


思わず言葉が漏れる。コーヒーの風味はしっかり濃い。けど濃厚なミルクの自然な甘さが苦味をやわらげていて、すっごく飲みやすい。


すると「でしょ?」と満足気(まんぞくげ)な声が聞こえた。


ハッと顔を上げると案の定、華さんが勝ち誇ったような満面の笑みを浮かべている。


「ね? ここはコーヒーも紅茶も美味しいのよ」

「こっ…コメダのオーレだっておいしいですっ」


コメダ狂の凛子さんじゃないけど、いつも飲むコメダのカフェオーレを見下された気がして咄嗟にそう言い返していた。


あーやだやだ。華さんは嫌味っぽくて苦手だ。


早く話を済ませて咲ちゃんの所に戻ろう。そう決めてこちらから先に話を切り出した。


「それで…なんで私をわざわざ呼び止めたんですか?」


すると彼女はフォークだけで綺麗にタルトを切りながら、チラッと上目遣いで私を見る。


「対バンのチケットの事だけどね、ルール変更してあげてもいいわよ」

「ルール変更?」

「そう。お互いにチケットの追加販売は無し。100枚限定で勝負するの」


あまりに意外な提案すぎて少し混乱した。


だって...そんな事しても華さんには何の得にもならない。得しないどころか、本来なら得られるはずのチケ代の利益まで失ってしまうのだ。


しかも私たちはゲスト扱いだから、ライブハウスの高額なレンタル代を支払う必要がない。


チケットの枚数を減らすことは、明らかにTRUE BLUEだけが損をこうむるルール変更だった。


「ひょっとして…私たちに情けをかけるんですか?」

「馬鹿ね。さっき言ったばかりでしょ、あんたらが負けた時に言い訳の材料を与えないって」


フォークをお皿に置いて顔を上げ、まっすぐ私の顔を見てくる華さん。


その目は真剣だった。冗談で私をからかってる雰囲気じゃない。


だから彼女が向けてくる戦意の強さが肌で分かり、私は思わずたじろいだ。


「どうして...そんなに私たちを目のかたきにするんです? 私が盗作を批判したこと...そんなに怒ってるんですか?」


すると華さんはキッパリと首を横に振った。


「違うわ。あのレコードの事は関係ない。ただあたしはね、脱退を決めたあの日...いつか絶対あんたたちのバンドに勝つって誓ったの」


そして私の目を睨むように凝視して続けた。


「ラフィングスターズの末裔としてね」


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