表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
BLUE in the ガールズバンド  作者: あまだれ24
63/80

第63話 日曜日よりの使者 その2


「春ちゃんよ!夢は自分の努力で叶えるもんやで!」


咲ちゃんが顔を合わせるなりそう言ってきた。


場所は三宮駅の北側の広場。通称パイ山。

はじめてTRUE BLUEのライブを見たあの日も待ち合わせに使った、神戸では有名な広場だ。


「あ...うん」


私は目の前で拳を握りしめてガッツポーズしてる咲ちゃんをぽかんと眺めた。


この子はいったい何を言ってるんだろう...


2時間前。


適当にチェンソーマンのデンジ君のスタンプを返すと、咲ちゃんはすぐに返信してきた。


『じゃあお昼の12時にパイ山に集合ね』


「えっ?!」突然の決定に呆気にとられる。


けど今さら断った所で咲ちゃんの中で決定が変わらないことは私がよく知ってる。間違いなく私が来るまで待ち続けるのだ。


ため息をき、訳が分からないままLINEを返した。


『りょーかい』


するとコナンの安室透がピースしてるスタンプが返ってきた。


そのあと私は何とか英語の宿題を終わらせて、徒歩で待ち合わせのパイ山に向かった。


そしたらガッツポーズの咲ちゃんに迎えられたのだ。


「でさ...作戦会議ってなに?」


とりあえず改めて尋ねた。


「しっ...大事な話やからまずは場所を移さんと...」咲ちゃんが突然私の耳元に顔をよせ、右手で衝立(ついたて)みたいなのを作りヒソヒソと声を潜める。


まるで敵のスパイでも警戒してるみたいだ。


目もキョロキョロしてる。最初はふざけてるのかと思ったけど、咲ちゃんはこういう意味のわからないボケはしない子だ。


「あのさ...そんな重要な会議なの?」

「あたりまえやん。春ちゃんの人生がかかってるんやから」


咲ちゃんが真剣な声で私の目をまっすぐ見る。めちゃくちゃ真面目な表情だ。


やっぱりふざけてるわけじゃない。


なんかよく分からないけど、私は頷いて咲ちゃんに従い徒歩でその場を移動した。


咲ちゃんが移動中も真面目な顔で黙ってるので、気まずくなってとりあえず喋りかけた。


「あ、あのさ...にしても英語の課題難しかったよね」

「ほんま? めっちゃサービス問題やったやん?」

「さ...サービス問題」


しまったと思う。そうだ。この子はめちゃくちゃ勉強できる子なのだ。


凛子さんといい咲ちゃんといい、いつもヘラヘラしてる人の方が勉強できるのなんなんだろう?


ひょっとして...余裕があるからこそのヘラヘラなのだろうか。やっぱりそうなのか。


自分との実力差に落ち込んでいると咲ちゃんの足がピタッと止まる。パイ山から北に歩いて5分ぐらいの場所だった。


「ここで作戦会議をします」

「ここは...?」


車道に面したオフィスビルの外に階段があり、地下になったお店の入口に続いている。


看板にお店の名前が書いてあった。


「インドカレーのお店...アールティー」


階段の前に立った瞬間から他では嗅いだことのない、本格的なスパイスの濃密な香りにたじろぐ。


私が人生ではじめて来るインド料理屋さんに腰が引けていると、咲ちゃんは鼻歌を歌いながらスタスタと階段を下りて行った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ