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BLUE in the ガールズバンド  作者: あまだれ24
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第47話 ホンモノとニセモノ その1


「あんたらときたら…なんで毎回コメダなのよ。よく飽きないわね」


華さんがテーブルに肘をつき、ため息混じりにそう言った。とてもダルそうな表情と口調だ。


今は夜の9時20分。


場所は元町商店街の中にある、凛子さんの行きつけのコメダ珈琲。


この前、蘭子さんの話を聞くために私と凛子さんが待ち合わせたのと同じお店だ。


「一条さ…あんたってオシャレなお店知らないの? 神大生って勉強のしすぎで他の事に頭回ってないんじゃない?」


「文句があるならお前の隣に座ってる春香に言え。あと神大をディスるのは構わないがな、コメダをディスる奴だけは許さん」


テーブルを挟んで凛子さんと華さんが無言で睨み合う。一条は凛子さんの苗字だ。


今にも二人の間でバチバチと火花が散る効果音が聞こえてきそうだった。


「神大はええんやね」と葵さん。


「一条のくせに偉そうに。ばかばかしい」


華さんがフンッと鼻を鳴らして目を逸らす。その目が今度は隣に座る私を横目に睨んできた。


「チンチクリン…あんたなんであたしをコメダ(ここ)に連れてきたの?」


「な、なんででしょ? 凛子さんが感染(うつ)っちゃったのかな? あははー」


不意に睨まれた私は目を合わせるのが怖くて、キョロキョロ視線を彷徨わせながらそう答えた。


特にコメダを選んだ理由はない。


けど、どこかお店に入ろうと思った時点で無意識に足がここへ向いていたのだ。


「なーにが凛子が感染(うつ)るよ。このバンドのメンツで集まるって言ったら毎回毎回コメダコメダコメダ。もういい加減トラウマだったんだよね」


華さんが腕組みしながら、露骨に苛立たしげなトーンで呟く。


そのとき。


「お待たせしましたー」


女性の店員さんが注文した食べ物と飲み物を持ってきてくれた。


「おおきにー」葵さんが飲み物を受け取り、凛子さんと自分の前に置く。


私たちはひとつのテーブルを挟んで椅子に座っていた。

葵さんと凛子さん、そして私と華さんの組み合わせだ。


喧嘩にならないよう華さんには私の隣に座ってもらった。


もっとも華さんの正面が凛子さんだから、あまり意味なかったんだけど…


「よし。ひとまず話は食べたあとだ」


凛子さんが真剣な声を出す。


いつも必ず注文するドミグラスバーガーを前に、さっきまでの険しい表情が嘘のようにニコニコしていた。


「あんた、まだ飽きないのそれ? ミーティングの度に食べてたやつじゃない」


「お前だっていつもそれ注文してただろ」


ハンバーガーを手にした凛子さんの視線の先には、華さんのオーダーした、エビカツをパンでサンドして3等分にカットしたエビカツパン。


「なーんにも覚えてないのね。これは『エビカツパン』で、あたしがいつも食べてたのはただの『カツパン』。あれはもうトラウマなの」


華さんは怒った様子でそう言って、エビカツパンをひとつ掴んで豪快に頬張った。


私もさっそくサンドイッチを口に運ぶ。葵さんは夜メニューのチーズカリーグラタンだ。


全員お腹が空いていたらしく、ほぼ満席の賑やかな店内で4人とも黙々と食べ続けた。


ハムサンドを頬張りながら何気にチラッと隣を見る。


(ひそ)かな笑みを浮かべて、美味しそうにカツパンを食べる華さん。


いま改めて気付いたけど、その横顔は咲ちゃんと同じくらい綺麗だった。


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