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BLUE in the ガールズバンド  作者: あまだれ24
37/85

第37話 ジャズとロコモコ その4


まだ雨が降り続いていたので、私たちは階段を降りるとそれぞれ傘を開く。


「咲ちゃんはどこの駅やっけ?」

「阪神電鉄の神戸三宮です」

「奇遇やね、ウチは三宮からJRやわ」

「おおっ。じゃあ一緒に行きましょう!」


阪神電鉄も阪急電車もJRも同じ三宮駅だ。あとモノレールのポートライナーも。


三宮駅には4つの路線が集結している。


でも葵さんは(アパートを追い出されていなければだけど)兵庫区の隣りの長田区に住んでるんだから、三宮駅より隣の元町駅から乗る方がどう考えたって近い。


私の視線に気付いた葵さんが、咲ちゃんには悟られないようこっそりウインクしてくる。


何の合図だよ…


共犯になれってか。


親友としてこれ以上は見過ごさないぞ。


「じゃあ私も三宮で阪急乗ろうかなー。雨降ってるし」


葵さんが調子に乗って咲ちゃんに余計なことをしないよう見張るため、一緒に三宮駅まで行くことにした。


本当なら歩いて帰るほうが早いんだけど。


「それじゃあ行きますか」


今度は咲ちゃんが先頭になって歩き出す。


私たちが横断歩道を渡り、トアロードという名前の坂道にさしかかった時のことだった。


目の前を咲ちゃんと並んで歩いていた葵さんが突然、ピタッと立ち止まる。


「ちょ、いきなり立ち止まったら危ないじゃないですか」


「あ…ごめん」


葵さんがぼんやりとした声を出す。


今までお喋りしていた隣の咲ちゃんとは反対側、トアロードの登り坂になった方に顔を向けていた。


どうしたんだろと思って葵さんの視線の先を見る。


コンビニがあり、大きなケースを背負って走っているひとがいて、さらにその向こうには有名なライブハウス。


その前に大勢のひとが集まっていた。


「わっ…すごいお客さん。プロのバンドが全国ツアーでもやってるのかな」


「ライブハウスってプロも来るん?」咲ちゃんが首をかしげる。


「来るよ。東京ドームとか武道館みたいな大きい会場でできるバンドなんてひと握りだもん」


「へー。プロにも格差があるんやなー」


「どんなバンドもそこからトップを目指すんだよ」


「意外と地道なんや」


「でもそれがかっこいいんじゃん。私もツアー憧れるなぁ」


そうやって私と咲ちゃんが喋っている間に、葵さんは無言でまた歩き出していた。私たちはあわててあとを追う。


葵さんはそのあと、私たちが三宮駅の構内でそれぞれの改札に向かって別れるまで、やけに口数が少なかった。


後日その理由が分かったとき。


蘭子さんの失踪をめぐる私たちの状況は、新たな局面を迎えることになった。


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