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BLUE in the ガールズバンド  作者: あまだれ24
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第35話 ジャズとロコモコ その2


「それはそうと…こんな雨の中umieでも行ってたん?」


葵さんがテーブルの足下に置かれたカゴに収まった荷物を見て尋ねてくる。


もうロコモコを食べ終わっている咲ちゃんが「そうです」と答えた。


「ほんまは今日ハーバーランドでイベントがあったんですど…雨で中止になってもて」

「ハーバーってことはジャズナイト?」

「知ってるんですか?」


葵さんは水を飲みながら頷く。


「去年もやってるからな、神戸のジャズ好きなら誰でも知ってる思うで。確かにこの雨やと開催は無理やなぁ」


「去年は参戦したんですか?」と咲ちゃん。


葵さんは首を横に振った。


「いいや。ウチは部屋ン中で静かに聴くのが好きやねん。雨の夜に聴くケニー・ドリューなんか最高やで」

「よく分かんないけど…なんかかっこいい」


キラキラと目を輝かせる咲ちゃん。マンガなら両目がハートになってそうだ。


私はちょっと体を寄せてその耳元で囁いた。


「気をつけなよ。タダより高いものはないんだから…」

「?」


「どないしたん春香ちゃん?」


葵さんがこちらを見つめている。笑顔だけど目がちっとも笑ってない。


「いやー…なんでも」

私はあわてて目を逸らしてロコモコを口に運んだ。


そのとき宮間さんが咲ちゃんの追加の料理を運んできた。ナシゴレン。


見た目は目玉焼きの乗ったピラフかチャーハンだ。私も食べたことがない。


咲ちゃんはさっそく満面の笑みでスプーンを手に取り、大きな口を開けて頬張った。


「はじめて食べたけど…甘辛くておいしい!」

「インドネシアとマレーシアの食べものでな、味付けは何種類もあるねんけど、ここのはケチャップマニスっていう甘口のソース使ってる」


「へー。これケチャップの味なんや」

「ケチャップいうてもトマトやなくて、大豆で作った真っ黒のソースの名前。日本やと本当にトマトケチャップ使うアレンジもあるけどね」


「詳しー。さっすが店員さん」


咲ちゃんはどんどん食べ進める。

食べるのが遅い私はようやく残り3分の1くらいだった。


見ると葵さんはもう食べ終わってる。冷えた水を飲みながら、何となくという感じで聞いてきた。


「今日は春香ちゃんが誘ったん?」

「いえ、咲ちゃんからです」

「なんや。凛子にCDもらってジャズに目覚めたんかと思ったけどちゃうんや」


葵さんが肩をすくめて頬杖をつく。


「てことは咲ちゃんがジャズ好きなん?」

「咲ちゃんはキッチンカー目当てです」


私がそう教えると葵さんはおかしそうに笑い、黙々とナシゴレンを食べる咲ちゃんを見た。


「それはなかなかこの子らしいなぁ」


「ふぁい?」


話を聞いてなかった咲ちゃんがキョトンとした顔で私と葵さんを交互に見る。

ほっぺたがナシゴレンでパンパンだ。


葵さんがおかしそうに続けた。


「好きなだけ食べやって話やで」

「うおお、ありがとうございます!」


咲ちゃんはそういうとまたメニューを手に取る。


「すごいなぁこの子…」

葵さんが目を丸くした。


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