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BLUE in the ガールズバンド  作者: あまだれ24
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第14話 名探偵咲ちゃん その2


「心配せんでもサンデーはまだまだ大丈夫やから。コナンあるし高橋留美子はサンデーでしか描かへんし『葬送のフリーレン』とか世界的アニメの原作が連載してるから…」


まばたきもせず焦点の合ってない目で早口で喋る咲ちゃん。


よく分からないけど、どうやら彼女の地雷を踏んじゃったらしい。


「おーい戻って来ーい」


軽く身を乗り出して両手で肩をゆする。


その顔やめて。本当に怖いから。


「春ちゃんよ!」

「わっ?!」


いきなり大きな声を出されたので驚く。


あわてて周囲に目を走らる。


どの席も大学生っぽい人や同じ高校の制服を着た人達たちでガヤガヤうるさくて、誰もこっちを見てなかった。


「なんですか…咲ちゃんさん?」


ホッとして座り直し、念の為声のトーンを落とし気味に聞き返す。


咲ちゃんはまた真面目な顔をしている。この子の表情は本当にコロコロとよく変わる。


「さっきな、その失踪したバンドの人の証言信じたいけど信じきれへんって言うてたやろ?」

「うん」


「それなんやけど…やっぱり虚実入り乱れてるって考えるのが妥当ちゃうかな」

「だよね。私もそんな気がする」


「でさ。さっきなんか引っかかるなーっていうたやん」

「何か分かったの?」


咲ちゃんが頷く。思わず座り直した。


「春ちゃんはさ、蘭子さんの話から『レコードを見つけたのは花隈駅から終点の新開地駅までの3駅』って推測したんやんな?」


「うん。でも三宮の隣の花隈駅は私もよく使ってるけど、そんなお店ないよなぁって」


「まあどこまでが真実かは分からんけど、もしほんまに駅中のお店でレコードを手にしたとするやん」

「うん」


「それ阪急と他の電車を『勘違い』してた可能性あるくない?」


「他の電車って…JRってこと? 」


私の場合JR神戸線の三宮駅より向こう(西)というと、海水浴場のある『須磨海浜公園駅』までしか乗ったことがない。


でも、大阪の梅田駅から須磨海浜公園駅の間に地下駅なんてなかったはず。


「春ちゃんもまだまだ神戸暦が浅いと見えますな」


咲ちゃんは顎に手を当てニヤッと目を細めた。


「阪急とJR。そして大阪の梅田を出て三宮で停る電車がもうひとつあるではないですか。ヒントは我らが猛虎、阪神タイガース」


「タイガースって…野球チームだよね? 蘭子さん野球ファンじゃないと思うけどなぁ」


野球のことは大谷翔平と、阪神が去年18年振りに優勝したとかで話題になってた事ぐらいしか知らない。


やれやれという表情で肩を(すく)めて咲ちゃんはスマホを操作する。


「ほれ」その画面を見せてきた。


表示されているのは知らない電車の路線図。


「これは阪神タイガースの親会社でもある阪神電鉄、通称『阪神電車』の路線図」


「阪神電車? はじめて名前聞いたかも」


「春ちゃんよ、この阪神電車こそがJRと阪急と並び三宮駅に停る『もうひとつの電車』なのさ!」


咲ちゃんが自信満々の表情を浮かべた。


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