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どういうつもりとは


「どういうつもりだったんだ」

ルシアーノにそう問い詰められエリザベスは呆気に取られてしまった。


あの後部屋で休んでいたエリザベスはお茶会が終わったルシアーノに執務室まで来るように言われ、来てみれば第一声がこれだった。


どういうつもりと言われてもドレスを汚されたのはエリザベスである。

「どういった意味でしょうか」

「そのままの意味だ。ドレスくらいで騒ぎ立ててどういうつもりだと言っているんだ。」

苛立ちを抑えたような低い声でルシアーノは続ける。


しかしエリザベスは何て答えたらいいのか皆目見当がつかなかった。

ドレスで騒ぎ出したのはエリザベスではない。

しかしルシアーノの怒りは相当なものらしく、今までのルシアーノとは口調も態度も別人のようにエリザベスをにらみつけていた。


エリザベスは戸惑いながらも、やはり王都とはルールが違うのだと思った。

地方に住む親戚が、王都はルールが厳しいから疲れるわ、と言っていたのを思い出していた。


しかしこれはエリザベスが責められるのか。

まず王都ではドレスを汚されるのは大変なことなのだと説明した方がいいのかもしれない。その上でエリザベスは怒ってなどいない事を伝えればいいのではないか。

エリザベスはそう思い、意を決して「せっかくのお茶会でお騒がせしたことは謝罪致します。ただ王都では‥‥」と口を開いた瞬間だった。


「ここは王都ではない!!辺境領だ!!!!」


耳をつんざくような怒鳴り声だった。

ビリビリと震える空気にエリザベスも氷のように固まってしまった。

扉付近に立っていたルシアーノの護衛が色めき立つ。


それをサッと手で制してルシアーノの前に滑り込んできた男がいた。

ルシアーノの側近のアレクだ。

「エリザベス様、失礼いたしました。主は少し興奮しているようです。本日はお呼びだてしておいて申し訳ありませんが、また後日お話をさせていただいてもよろしいでしょうか。」


エリザベスはすぐに返事ができなかった。

震え出しそうになるのを堪えることしかできない。

足はすっかりすくんでしまっていた。もし立っていたらヘナヘナと座り込んでいただろう。

だがそこはエリザベスである。

全てを隠して

「はい、かしこまりました。失礼致します」

と自分を奮い立たせ立ち上がると、お辞儀をして部屋を後にした。


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