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青い空とオアシスの虹《改てい版》

作者: 秋葉竹



地図にはない街の道

黒の電線がところどころ垂れ下がり

優雅な猫の欠伸も

地球儀のうえの出来事のようにみえる


降りそそぐ朝の陽光が

赤から白へと改変を遂げ

まるでつまらない肩慣らしを終えたみたいに

長い一日が始まる値打ちはあるのか

スローカーブみたいな問いかけが

道ゆく人々の頭を小突きつづける残像がみえる


またさわやかな風の香り

鼻腔をくすぐる見あげると

矮小で無能な私の人生への負債を

簡単にひっくり返してくれている青空が広がり


………


………………


とか、

まぁ、色々あったりはするのだが


それでも

そんな中で、私は、


それでもなんとかじぶん自身を

騙し騙し

やっては来たけれども

暮らしては来たけれども

生きては来たけれども


ある日とつぜん

なにもかもを

ほうり投げ出したくなる

その日は訪れたのだ


若者よ

書を棄てて

旅に出よう!


そんな大上段から頭をぶん殴る

実現不可能に想える呼びかけを

聴いたのはほんとうだが


どだい

若者でもないのだし

書物なんて

まるで

読んでなんていないのだし


ほんとうに

それが原因かどうかは

不明なのだが


………


………………


とか、

まぁ、色々あったりはするのだが


それでも

そんな中で旅に出るのだ、私は。



地図にはない砂漠のオアシス

白く清潔な細かい砂が

霧のように舞っている


まったく

なんだって

こんなところまで

来たんだろうか


あの日の出来事が嘘のように想えるよ


忘れられないよ

生活している日常風景に

痛いほど大粒で

降りそそぐ悲しみが

心に消えない波紋を描くから

まるで釣り合わなくても

生きていくのに必要なしがらみや

生きている日々の日常とかいうものや

そういう

全てを棄てて

旅にでようと思ったんだ


若者よ

スマホを棄て

旅に出よう!


てなパクリのスローガンで

私の青白い胸を

すっかり燃え立たせて

もう

なにもかもいらないから


ひとりで

流浪の旅へ出ようと

むろんゆくさきは

道に迷って野垂れ死ぬ

広大な砂漠の世界


スローモーションでしか動けない

もはやようやく最期のときかと

生きることを真剣に諦めかけたとき

だれもいない砂漠の彼方に

黒い影がみえたんだけど


その影が

オアシスだったというわけ


私って、強運?

神さまに生かされてる?


泣きながら水を飲んで浴びて泳ぐ

すると水の色のするさわやかな風の香りが

鼻腔をくすぐる

矮小で無能な私の人生をチャラにして

簡単にひっくり返してくれている

青空がえんえんと広がり


『私の人生にも価値はあったんだ』と

ちょっと調子に乗ってるかもしれないけど

そう思い込んでしまうほど


なぜなら

そのオアシスでみた心を洗い

心を癒す美しい

できたての七色の虹の橋の下で


思いどおりの夢をみながら

たっぷりと

心ゆくまで

眠れたんだから、


ゆっくりと

ねむれたんだから………













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