セブンス×アナザーワン Ⅲ ‐ 法力と暴力 2‐
ハジメは焦っていた。
魔力展開や、能力領域を展開した上級生数十人に囲まれていたからだ。
(ただでさえ時間がないってのに…!)
〜・〜・〜・〜〜・〜・〜
30分ほど前に遡る。
ジジイ《・・・》の話に付き合っていたら気づけば入学式の時間に近づいてきたため、
「もうそろそろ時間がなくなってきたからもう俺行くぞ?」
「んん?なんじゃ、お主時間なぞ気にして。」
「入学式は大講堂だっけ?でやるんだろ?よく知らないけどここに来るまでそれらしきものを見なかったし、ちょっと離れてるんだろ?」
なんだかよくわかっていないような表情を浮かべていた、アルファスだったが急に思い至ったかのように真剣な眼差しをこちらに向けた。
「まさか。-----同じここまで徒歩できたのか?」
「そんな訳ない。経験として電車?に乗ってきたよ。」
「つまり、駅からここまでは徒歩ってことなんじゃな?!ワシのくれてやった魔導機関式自家用車をつかわずに?!そもそも、お主、学則や要綱の案内は全て目を通したのか!?」
「なんだよ、それがどうしt」
「「今すぐ走って大講堂へ行けェい!」」
大声を上げて立ち上がるアルファス。
「ここから大講堂までは100巨離ほどある!お主の走り《・・》なら今から向かえば始まる少し前につけるはずじゃ!いそげ!」
言いたいことは山ほどあったが、100巨離(巨人族換算の測量距離量。巨人一人当たりの平均身長から取っていて、1巨離:私たちの世界で言うところのおよそ1kmである)ほども離れているのであれば、今ここでぐずぐずしてたら間に合わない。
魔本三冊を肩下げ袋に入れると、ハジメは廊下を出てすぐ1番近い階段から屋上に出れる階段を駆け上がり、ポケットから丸薬が詰まった薬箱取り出しつつ屋上へ飛び出す。
「『起動』《ア・ウェイクン》!!!!!」
爆発的な光に包まれ、ーー誰かが見ていたのであればまるで一条の光となって。
比喩ではなく。
ハジメは、空へと駆けた《・・・・・・》。