【Ultima-Thule Vapors】
――今日も、このずっと霧雨が降り続いている。
実際の所、それが何時からで、何時までで――
或いは、これが標準で、止む方が異常で――
そんな事を、考えた事も無かった。
『……弱ったな。残量が余り無い――』
「何が?」
『エネルギーの残量だよ――結構ケチったのに――』
「……んな訳分からんモノ着込まなきゃ外出も儘成らないのに、よくお外に出る気に成ったな」
――『谷』に在った俺の住処に、この『甲冑女』が落下して来なければ。
『……言いたくは無いが、君の方が異常なんだからな? そもそも、何であんな所に――』
「しらねぇよ……お前がぶっ壊してくれたカラクリ――
マロノーとパイローンが壊れなければ、ある程度教えてくれたかも知れないがよ?」
『……その節は、本当にすまない事を……』
人の寝床に唐突に降って来て、一切合財吹っ飛ばしてくれたからな――
まあ、態とじゃないんだろうが――
「まあ、崖から足滑らせて落ちて、その下のに当たる、って確率の方が稀有だ。きにすんな。
それより、どうすんだ? 残量が余り無い――って――」
『……想定していたルートに、『ハブ』が在る筈なんだ。其処へ行ければ、補充出来る。
で、その補充を繰り返しつつ――』
「『鏡の野辺』とか言うとこへ行くんだったか――」
『その予定だったんだ――あの場所があんなに脆くなっているとは』
「……そもそも何でそんなとこまで行かなきゃならんの?」
『あ、いや――ちょっと、それは』
これだ。
「『人種』違うからってあれじゃねぇ? 協力求める態度じゃ無い気がすんだよなぁ?」
『いや、そうでなく……言える事と言えない事が……』
「そらぁ――こっち、お前さんがたの言うところの『夜型』ですけどねぇ?」
『――そもそも論、何で昼間も動けてるんだよ……『夜歩き』』
「それもしらねえっつうの。天気悪いからじゃね?
逆にお前らが貧弱に成り過ぎなんだよ――『昼這い』。
んだよ、温度やら紫外線やら一定じゃないと、って――」
ぐぬぬ、じゃねえ。
「……まあ、協力はするよ。こっちも寝床無くした訳だし。
良き寝床見つけるまで、道中には付き合うよ」
『――感謝するよ――』
「感謝はいいから、ちゃんとしたロードマップ示しましょうねー」
『――だから!! なんでヴィクトリアンな吸血鬼スタイルで!!
トラディショナル極まる格好で、そんなセリフ吐くんだよ!?』
「潜水服の親戚の姿で、女子だって強弁する奴が道案内だからだよ」
――今日も、このずっと霧雨が降り続いている。
その霧の底を、ずっと二人で歩いている。
果たして、何処へ行くのか。
何時からだったのか。
良く分からないまま――
夜も昼も無く。




