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鏡の中の虚構

作者: 愛薇


「人を疑うな。人を信じよ。」


誰かが私に言ってくれた言葉です。

誰だったかはわからない。

何故こんなことを私に言ったのかもわからない。

其の人は私が悩んでいることを知っていたと思う。


其の人は本当に実在する人なのかも私は知ることができない。


私は一般的な家庭に生まれた。

母は優しく、兄とは仲が良い。といっても偶に喧嘩はするくらいの普通の兄妹。

父は私が幼い時に居なくなってしまった。

しかし、悲しくはなかった。この家が暖かいからこの家に帰ろうと思えた。

今は父代理のような人がいる。1週間帰ってきていないけれど。

叔母と祖父は教育熱心な人だった。私は意味のない事を毎回やらされていた。テスト範囲ではないところをテストの前日に覚えさせられていた。

叔父は血が繋がっていない。(あくまで私の推測)祖父に似ている人が誰一人としていない。

だから、少し探ってみた。

かなり難しいことかと思ったが半日で真相にたどり着いた。

やはり血は繋がっていなかった。


私は誰のことも愛したことがなかった。

というか愛せなかった。

いつも捨てられるのを恐れて作り笑いで誤魔化してばかり。

「優しいね」

クラスでよく話してる人(A子とする)に言われたことがあった。A子以外に母にも叔母にも言われたことがある。

「私はただ誰にも関心がないからどうでもいいだけなんだよ。」

勿論そんな事を言ったことはない。


私は読書が好きで休み時間もずっと読んでいた。

本の続きが知りたいのにA子は何時も私に話しかけてきた。

話してる内容は面白くなかった。

昨日みたテレビが面白かったとか最近有名な俳優がカッコいいとか。

私は心底興味がなかった。


私はクラスでいじめられていた。

私が何かしたというわけではない。

それにいじめといっても私は特に何も感じてはいなかった。

クラスの人に言われて始めて気づいた。

でも、私はそれでいいと思っている。

話してる相手がいじめられていてそのいじめが私に向いたようだ。

学校では人助けのような事をしている。

私はパリピ集団の様な人と(仕方がなく)仲良くしている。理由は勿論学校の状況を素早く聞くため。

そのおかげで私は不登校のクラスメイト(Bちゃん)を救うことができた。

隣のクラスの子(Bちゃんと仲が良い)に聞いた話だが、凄く感謝していると言っていたらしい。


悪い気はしない。私はただ誰にも不幸になってほしくないと思っているから。

Bちゃんと特別仲が良いわけではないがなんとなく放って置けなかった。

そういう事を偽善っていうのだろう。


私は寝るのが好き。

どうしようもないくらい消えたくなる時は誰だってあるはず。人間だから。

でも何で悩んでいるかわかるでしょう?

それすらわからない。ただ落ち込んで、消えたくなる。

だから私は眠る。モヤモヤを少しでも忘れられるようにカミサマに祈って。


一度、私が自分を演じてることがバレた。

彼女は私に哀しそうな目で見つめた。

「なんでそんなに自分を隠すの?貴女は生きたくないの?」

いきなりすぎて驚いた。

彼女は茶髪で毛先を紅く染めていた。サイドテールを赤いリボンで結んでいる。

スポーツ万能で成績優秀、おまけに芸能活動もやっている学校の人気者。

彼女の目を見てすぐにわかった。この子に演技は通じないと。だから思ってる事を言った。

「…人間は誰しも生きないといけない訳では無い。」

彼女は目に涙を浮かべていた。

「どうして…死にたいの?」

何故死にたいか、その時初めて聞かれた。後から聞いた話だが目を見れば判るらしい。

「…死にたいわけじゃない。ただ解放されたいだけ。それに、人は遅かれ早かれいつかは死ぬ。」

これは本当の事。もしかして今起きてる事は夢で本当の私は幸せに過ごしているんじゃないかと考えた事はあった。

でも、どう足掻いても私はドン底。

一度みた光に焦がされて光を夢見た憐れな人。

光側では居られない。

彼女は拳を硬く握り締めていた。

「…貴女には暗闇は似合わない。」

ボソッと呟いてその場を去っていった。

光側(かがみのむこう)は私には眩しすぎる。

それ以来彼女が私の前に現れる事はなかった。

呟いた言葉を私は今でも鮮明に覚えている。彼女の姿も彼女の声も。

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