【序章】日常
「宿題が...終わら...ねえ...」
世界の終わる様な絶望した声で呟かられた一言
8月の暮れ、扇風機の音だけが鳴るこの部屋は確かに重苦しい雰囲気を放っていた。
「くそっ!...こうなったら輝義に土下座して助けてもらおう!」
そんな無責任な事を言いながら少年は親友に電話をかけると
目的の相手はそう長くないコールでその呼び出しに応じた。
「おーす。こんな時間にどうかしたのか?」
電話口の向こうの輝義の無垢な問いに少年は罪悪感を覚えながら話を切り出す。
「あぁ...実はな、今かなり深刻な、じrgy」
「宿題なら自分でやれよ?」
言葉は遮られた無慈悲な一言で、親友の口からこんなに冷たい言葉が出てくると思っていなかった少年は唖然としながら、だが少年は挫けない何故なら状況は既に絶望的。
故に、今更多少の事ではめげる先がないのだ。
「.....そ、そんな事言わずに...な?」
なにが(な?)なのか正直自分でも解っていない少年たが今の少年に出来る精一杯の抵抗だったが。
「いやさ、お前の母ちゃんに言われてるんだよ。あんまり甘やかすな!ってさ」
「あの!クソババアぁ!!!!」
「そんな言い方するもんじゃねえぞー」
「俺の親友にいらねえ入れ知恵しやがって!許せねえ!」
「お前の母ちゃんは、その親友に宿題をおんぶに抱っこなのが許せねえんだろ...」
そんなくだらないやり取りをしながら2人は結局いつもの様に笑い合っていると。
輝義に着信が入った。
「ん?なんだ?こんな時間に誰だろう?.....なんだこれ?2年後?よくわかんねえな...なあ出た方がいいと思うか?」
「え?よくわかんねえけど出てみろよ面白そーじゃん」
無邪気に笑いながら無責任なことを言う少年はすっかり己の置かれている絶望的状況を忘れている。
「んーそうだな、んじゃあ出てみるか!じゃっ!そういう事で宿題頑張れよ!光!」
そして電話は切られたそこには輝義の捨て台詞で現実に引き戻された光だけが残った。
「ぬうおあーあああーぁぁー!!!!宿題どうしようううう!!!!!」
こうして日常を過ごし非日常に憧れる少年達はその望みを叶える。
初投稿です。
手探りですが頑張って書いてみたいので
お目汚しさせてください。