王女様VS平凡な俺
このあと、この彼女にこの世界について説明いろいろ説明してもらった。
俺が召喚されたこの世界は魔法が発展していて、剣や銃などの武器は祭りごとくらいにしか使われないらしい。まあ、剣や銃を主としている一族も少数ながらいるらしいが、魔法に比べると、やはり劣るらしい。ちなみに、俺は召喚魔法というかなり高位の魔法で召喚されたらしい。しかも、本来持つはずの特殊魔法というチート的な力を持たず、平凡勇者と言われ、最弱とバカにされるらしい。―能力を持った異世界人たちは普通に勇者と言われのだろう。泣きたくなる…。
まあ、この世界について説明されたあと、近くの町までこの金髪美少女に案内してもらうことになった。
あ、そういえば1番大事なことを聞き忘れていた。
「そういえば君の名前は?」
「私は、シルビア・マグリスよ。貴方は?」
「俺は、裕太。小鳥遊裕太だ。」
「この国の名前もマグリス?だったような…」
「えっと、一応この国の第一王女ということになっているわ。家出中だけれど…」
あ、だから国の名前が苗字に……じゃね〜〜〜!
家出なんかしてんじゃねーよ!王女様!
まあ、理由があるのだろう。き、聞いてみよう…。
「王女ということは驚いたけど、なんで家出なんだ?」
「そんなもの決まってるじゃない。森の中にいる強い魔物とたたかうためよ」
うん。とりあえず、すごい強烈な王女様ということはわかった気がする。あまり関わりたくないかもしれない…。
「えっと、家出なんかして大騒ぎになったりしないの?」
「それはないわね。家出なんかいつもの事だし、この国では私に勝てるものなどいないわ。だから、そんな私か召喚した勇者が弱いはずがないのだけれど。」
納得いかなそうな表情を俺に向ける。試しに戦いましょう!とか言いそうな雰囲気だから、話を元に戻すことにした。
「でも、風呂や食事なんかはどうしているんだ?」
「それについては問題ないわ。これから行く町で宿を取っているの」
なるほど、それなら問題ない……わけじゃないけど、大丈夫そうだ。俺が心配する必要は無いだろう。
「あ、そういえば、これから行く町には小さな闘技場があるのだけれど」
「そうなんですか。すごいですねー」
これは、まずい。嫌な予感がする
「貴方のお手並み拝見といきましょう!」
うわー。超嬉しそう顔してる。断りずれー。まあ、俺の実力を見てすぐに諦めてくれるだろう。
俺は、小さくうなずいた。
「あと、言っておかなければならないのだけど、貴方は私の従者ということになっているの。おでこの丸ポチがあるでしょう?」
俺はおでこに手を触れる。確かにビー玉くらいの大きさの丸ポチがある。
「それが従者に証みたいなものになっていて、貴方の位置もわかるようになっているの」
俺は、その瞬間寒気を感じた。言葉1つ1つが怖い…
「だから、逃げたりしようとしたら…わかるわよね?」
もう無理。この王女様怖すぎだろ!
そんなこんなで町に着き、とりあえず闘技場に向かうのだった。その途中、俺のおでこに視線をたくさん感じたが気にしないようにしよう。
「それにしてもいい町だな」
人々は優しく、農業も盛んで、建ち並ぶ家も奇麗なつくりをしている。
「ここは、カインベルン。主に農業が盛んな町よ」
「へぇー、それで、泊まっている宿というのはどこなんだ?」
「そんなことより今は貴方と闘技所で戦う方が先よ」
どうやら、この王女様は戦うことしか頭にないらしい。こうなったら、適当にやって終わらせるしかないみたいだ。
「ここが闘技場よ」
その闘技場は、学校の体育館ぐらいの広さで、結構古い感じの建物だ。
それぞれ準備をし、闘技場の中に入り、戦闘態勢に入る。
俺は闘技場から借りた鉄の剣を片手に構える。剣の長さは、地面から腰くらいの長さで、日本刀に似ている。
一方、王女様は鉄の剣ではなく、魔法によって形づくられ、火を纏った剣を片手に構える。どうやら、剣が魔法に勝てないのは、この魔法の剣によるところがあるらしい。
「じゃあ、私からいかしてもらうわ」
そう言った次の瞬間、王女様の剣はもう首元まできていた。
キイィィィーーーーーン!
剣と剣がぶつかり合う。
思わず反応して王女様の攻撃を防いでしまった。やばい。本気でくる!
「私、今本気で殺しにいったのだけれど。まさか、防がれるとは思わなかったわ。これは、久しぶりに楽しめそうね」
やばい。昔の血が騒ぎ始める。
「じゃあ、次は俺の番だな」
完全に気配を消す。魔法ではない。
呼吸方、仕草によって、相手に自分を周りと同じ背景だと認識させる。―残念ながら技名とかは特にない…。
そしてゆっくり王女様の前まで近づく。彼女はまだ俺の存在に気づいておらず、あたりをキョロキョロとしている。ちょっとかわいいかも。
そして彼女の首元に剣を置いたところで、俺を認識させる。
「貴方、どこにいたの?」
彼女は、俺に怯えるようにそう聞いてくる。もちろん首元に置いた剣はそのままだ。
「ずっとそのまま目の前を歩いてきたんだ。ちなみに魔法も使ってない。俺が使ったのは気配を断つ体術だ」
「そんな体術あるわけないじゃない!」
「あるんだよ。俺は小さい頃はずっとそんなことばかり教えられてきたからな。お前は魔法に頼り過ぎなんだよ」
「そ、そ、そんな…」
「お前は、魔法使い相手なら無敵かもしれないが、俺相手には相性が悪かった。お前の負けだ」
その瞬間、王女様が膝から崩れ落ちる。
「う、う、うぅ、うぇぇぇーーーー〜〜ん!」
なんと急に泣き始めてしまった。
30分程泣き、ようやく落ち着いてきた。
「それで、私に勝って何を要求する気かしら?」
その声は、今にも消えてしまいそうな声だ。
いつから、そんな話になったのかはわからないけど…。そうだな、1度くらいは欲しかった物があったな。
「じゃあ、俺と友達になってください」
俺は、少し恥ずかしそうに王女様にそう告げた。
まだ小説を書き始めたばかりなので、感想とかどんどんくれると嬉しいです。