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えっちゃんが目覚める。隣に体温。リンかと思ったがベッドの柔らかさでリョウさんのホテルだと把握した。身体をズラすようにベッドから出る。
携帯電話を充電。リョウさんのも。
携帯電話には三件の着信。三件とも知らない番号。ミヤビ達からの連絡は無い。
連絡が無いのは悪い事が起きてない事。
カーテンの隙間から外を見る。雪は降ってないが曇り。どんよりと薄暗い。時計は昼前11時。
ノックの音。モニターには女性のホテル従業員。手には掃除用具。ホテリエと呼ばれてる人。
ドアを開けて、まだ寝てるから後で。と言って帰ってもらった。
小さな振動する音。携帯電話の着信。
無意識のうちに振動する音に気付くようになった。
コースケから。電話は切れたがトイレに入りコースケにかけた。
[調子は戻った?]
[ええ、もう大丈夫。リョウさんは酔っ払ってまだ寝てるわ]
[どこまで聞いた?]
コースケの問いにどこまで答えていいか分からなかった。
[金が必要なのは?]
コースケがえっちゃんの戸惑いに気付き質問する方式に変える。
[三十歳までに四億円必要]
簡潔に答える。
[イラストレイヤーの事は?]
[聞いてない。海外への広報戦略しないと。とは言ってた]
[仕手集団の対策は?]
[考えてる最中]
[エクスコの顔出しは?]
[考えてる最中]
コースケは黙った。が、
[エクスコの番号は?]
[聞いてない。番号って?]
えっちゃんが逆に質問する。
[エクスコの戦略は何パターンかあるんだ。その番号でおおよその進め方が変わっていくんだ。そうか。詳しい説明はまだなんだな。かなり酔っ払ってた?]
[最後まで聞き取れずに寝てしまったわ]
えっちゃんは答えた。
リョウさんが起きた気配。
[リョウさん起きたわ。代わる?]
[いや、いい。また連絡する]
電話が切れる。えっちゃんは水を流してトイレから出た。
リョウさんはベッドの中であぐらをかいていた。
えっちゃんは水を渡す。リョウさんは声に出さないで、ありがとう。と言い水を一気に呑んだ。口元から少し水が溢れ、首から胸元へつたう。胸元ははだけていた。えっちゃんは目をそらす。
[頭痛いわ]
リョウさんの声はアルコール焼けで少ししゃがれていた。立ち上がって棚から薬を取り水と共に飲んだ。
リョウさんはルーム電話でホテリエと会話。それからリョウさんは携帯電話をチェックする。
えっちゃんも携帯電話をチェックする。ラインが一件。




