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公園内。埋める場所がなかったので、神社の林へ。木の後ろ側に手頃な木切れで穴を掘り埋めた。
後ろから拍手の音。えっちゃんは振り返り身構える。外国人が二人。いつの間に?いつから?
逃げ出す場所を決める。
一人の男が両手を広げて外国語で喋る。
英語ではない。
[大変ごめんなさい。でもとてもクールで素晴らしいです]
もう一人の男がカタコトの日本語を口にした。おそらく通訳。
男がまた口を開くが、えっちゃんは踵を返し走り出した。
怪しい雰囲気ではなかったが、自分が二人の気配に気付かなかった事。今の自分は冷静な判断が出来ない事。風が悪い方向に吹いてるからおそらくまたなんらかの悪い出来事になりそう。との判断から逃げ出す結論を下した。
もう帰ろう。やっとえっちゃんは帰る気になった。やはりこういう時はロクな事が起きない。大人しく部屋に閉じこもってるのが一番だ。
あの外国人二人は若かった。二十代後半。ヨーロッパ系な顔立ち。雰囲気は日本への旅行者。着ている服はカジュアルだが洗練されていた。暗くて分からなかったがミュージシャンっぽいイメージがえっちゃんの印象だった。
再び携帯電話の振動。電話をかけてきたのはコースケ。素直に出る。
[どこにいる?謝らなくていいから]
コースケの第一発生。
[◯◯駅のそば。コースケさん。心配かけてごめんなさい]
えっちゃんは心から謝った。えっちゃんが、さん付けをしたのに驚いたのか一瞬の間が空き、
[大丈夫ならいいんだ。少しマズイ事になった。詳しくは後で話すが、オルカが殴られた]
[誰に?]
[簡単に説明すると、仕手集団とトラブル。その仕手集団の怒りを買ってしまったんだ。今どこに?]
えっちゃんは、コースケが何を言ってるのか全く分からなかったが、居場所を答えた。
◯◯へ。と。コースケが誰かに言った。タクシーに乗ってるのだろう。
[すぐに行くから動くな。五分ほどで着くそうだ]
コースケは言って、説明し始めた。




