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[ほとんどの子供は保護されてそれぞれの国へ返されてる。そこで親戚をたらい回しされる]
うつむいてたえっちゃんは顔を上げてユダを見る。そんな可哀想な事は出来ない。と。
ユダは目で諭す。
[それでも、しっかりと一人前になれた子供も大勢いるんだよ。えっちゃんの仲間も頑張れば出来るんじゃない?]
[全ての可哀想な人を救うのは無理なんだよ。生活保護を受けて一人暮らしの老人。イジメにあって引きこもりになった若者。不慮の交通事故で全身麻痺になった大人。親から暴力を受けてる子供。子供から暴力を受けてる母親。世界に目を向けてみるかい?内紛で銃を持つ子供。身体を売って家族を養ってる女の子。餓死する子供。キリがない]
ユダは首を振って話を続ける。
[マーロンもまだ幸せなんだよ。寒さを凌げる服や住まいがあるからね。三日食べてない子供だっているんだ]
[諦めろって言うんですか?]
[そうじゃない。全てはモノの見方一つで変わるんだ。君達の人生はこれからだ。離れ離れになってもずっとじゃない。おそらく10年も経てばまた一緒に暮らせる。その時でも幸せはあるんだよ。何か分かるかい?]
えっちゃんは首を振る。
[再会という喜びを味わえるんだ]
えっちゃんは何を言えばいいか分からない。確かにユダの言う通りだ。でも何か違う。その何が違うかが分からない。確信もない。
[今は幸せ?]
ユダは尋ねる。えっちゃんはうなづく。
[なら今を大事に]
ユダは話題を終わらせた。
[私に出来る事があれば]
えっちゃんはこれしか言えなかった。
[全てを思い出せたら全てを教えて欲しい]
えっちゃんはユダの言葉にうなづく。




